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680勇気
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「ジレット王国に戻るのか。」
ラグテルの町に帰ろうと言わない俺に浩司が声を掛けてくる。
「戦争を回避させたいし、獣人もどうにかしたいよな。」
『何か良い考えでも有るのか』
どうにかしたいと気持ちばかりで、何も考えが浮かばない。
『拓は全てに手を出し過ぎじゃにゃいのか。
勇者の遺跡を目指しているのに、こんにゃ所で時間を掛けていて大丈夫にゃのか。』
「・・・」
ナターシャ達が陰で動いているのなら、直ぐにでも全てが始まりし場所を目指した方が良い。
『仕方がにゃいにゃ。先ずは飯にゃ、腹がへっては良い考えも浮かばないのにゃ。』
踏ん切りの付かない俺に、ヤマトが何時もの調子で食事を強請った。
結局、俺達は再びジレット王国に忍び込んだ。
気配を消して、獣人達の住んでいる区域を高台から眺めている。
体力の有りそうな獣人が飯の炊き出しをしていた。
スープを配っているのだが、具が殆ど無い。
「やはり、こんな国は出た方良いだろうね。」
「500人以上は居るな。人数が多過ぎるだろう。」
「行動を移すにしても、この人達がやる気にならないとどうしようもないか。」
人間の俺達が話しかけても、聞く耳を持つ事は無いだろう。
『獣人達もこんな国から出たいと思っているはずじゃ。
後は、誰かが背中を押してやれば良い。』
グリムの提案に従って、俺達は行動を開始した。
******(獣人)
俺達は、このジレット王国でゴミ溜めの様な場所に押し込まれ、何とか生きている。
未だ俺達は力が有るので魔獣を狩り肉を取る事が出来る。
皆で分けあって何とかやっていたが、ここに来て税金を上げられてしまった。
配っている炊き出しも殆ど具の無い物しか用意できない。
「これ以上、取られたら俺達は死んでしまう。」
国に状況を伝えたが
「だったら死ねばいい。ここに住まわせてもらっているだけでも有難く思え。」
全く相手にもされない。
ギリギリの生活をしている中、怪我をした仲間が次の日 怪我が治っているという不思議な現象が起きた。
調べてみると、怪我が治ったのは1人や2人では無かった。
全員、寝ている間に治っていたと話す。
そして昨夜、寝ていた俺は強い気配を感じて飛び起きると、直ぐ横に目には見えない何かが居た。
「貴方達は、このままジレット王国に居続けるのですか。」
その何かから、声を掛けられた。耳元で囁かれる様な声だった。
「我々は国を出ても行く先が有りません。
他の国に逃げようにも、連れていけない人達が大勢います。」
幼い子供、老人、長い旅をするだけの体力の無い人達がいる。
無理に連れて行っても、道中で倒れるだけだ。
その人達を置いて逃げる訳にはいかない。
「この国の獣人全員が勇気を持つのなら、国に災害が襲った時 行動に移しなさい。
私から2人の使者を遣わしましょう。」
目の前の気配は光る女性の姿に変わり、進むべき方向を指さした。
「貴方様は何者ですか。
もしかして、獣人の怪我を治してくれたのは貴方様ですか。」
俺の問いかけに光の人が微笑んだ様に感じたが、答えを聞く前に俺は眠りに落ちた。
随分とハッキリした夢だと思った。
しかし、他の仲間も同じ夢を見ていたと言う。
「ただの夢じゃないみたいだな。」
「何の災害が起きるのか分からないが、皆に準備だけはする様に言っておこう。」
「獣人全員が勇気を持つならと言っていた。」
「俺にもそう言った。」
「誰も欠けることなく行動に移さなければならないって事だろう。」
災害が何時なのかは分からない。直ぐなのか、1ヶ月先の話しなのか・・・
俺達はこの国に住む獣人に、俺達の見た夢の話しをして、
秘密裏にこの町を出て行く準備を始めた。
子供達には当日まで話さず、大人だけに話を伝える。しかし、年寄りは
「私達は、ここに残るよ。ここを出ても、皆の足を引っ張るだけだ。」
多分、俺達の話を信じていないのだろう。
俺達が皆を動かす為に、作り上げた話だと・・・
「信じてくれ、あの方はこの国の獣人全員と言ったんだ。
誰1人も、こんな国に置いていく訳にはいかない。」
何度も説得し、全員でこの国を脱出する事を受け入れてもらった。
ラグテルの町に帰ろうと言わない俺に浩司が声を掛けてくる。
「戦争を回避させたいし、獣人もどうにかしたいよな。」
『何か良い考えでも有るのか』
どうにかしたいと気持ちばかりで、何も考えが浮かばない。
『拓は全てに手を出し過ぎじゃにゃいのか。
勇者の遺跡を目指しているのに、こんにゃ所で時間を掛けていて大丈夫にゃのか。』
「・・・」
ナターシャ達が陰で動いているのなら、直ぐにでも全てが始まりし場所を目指した方が良い。
『仕方がにゃいにゃ。先ずは飯にゃ、腹がへっては良い考えも浮かばないのにゃ。』
踏ん切りの付かない俺に、ヤマトが何時もの調子で食事を強請った。
結局、俺達は再びジレット王国に忍び込んだ。
気配を消して、獣人達の住んでいる区域を高台から眺めている。
体力の有りそうな獣人が飯の炊き出しをしていた。
スープを配っているのだが、具が殆ど無い。
「やはり、こんな国は出た方良いだろうね。」
「500人以上は居るな。人数が多過ぎるだろう。」
「行動を移すにしても、この人達がやる気にならないとどうしようもないか。」
人間の俺達が話しかけても、聞く耳を持つ事は無いだろう。
『獣人達もこんな国から出たいと思っているはずじゃ。
後は、誰かが背中を押してやれば良い。』
グリムの提案に従って、俺達は行動を開始した。
******(獣人)
俺達は、このジレット王国でゴミ溜めの様な場所に押し込まれ、何とか生きている。
未だ俺達は力が有るので魔獣を狩り肉を取る事が出来る。
皆で分けあって何とかやっていたが、ここに来て税金を上げられてしまった。
配っている炊き出しも殆ど具の無い物しか用意できない。
「これ以上、取られたら俺達は死んでしまう。」
国に状況を伝えたが
「だったら死ねばいい。ここに住まわせてもらっているだけでも有難く思え。」
全く相手にもされない。
ギリギリの生活をしている中、怪我をした仲間が次の日 怪我が治っているという不思議な現象が起きた。
調べてみると、怪我が治ったのは1人や2人では無かった。
全員、寝ている間に治っていたと話す。
そして昨夜、寝ていた俺は強い気配を感じて飛び起きると、直ぐ横に目には見えない何かが居た。
「貴方達は、このままジレット王国に居続けるのですか。」
その何かから、声を掛けられた。耳元で囁かれる様な声だった。
「我々は国を出ても行く先が有りません。
他の国に逃げようにも、連れていけない人達が大勢います。」
幼い子供、老人、長い旅をするだけの体力の無い人達がいる。
無理に連れて行っても、道中で倒れるだけだ。
その人達を置いて逃げる訳にはいかない。
「この国の獣人全員が勇気を持つのなら、国に災害が襲った時 行動に移しなさい。
私から2人の使者を遣わしましょう。」
目の前の気配は光る女性の姿に変わり、進むべき方向を指さした。
「貴方様は何者ですか。
もしかして、獣人の怪我を治してくれたのは貴方様ですか。」
俺の問いかけに光の人が微笑んだ様に感じたが、答えを聞く前に俺は眠りに落ちた。
随分とハッキリした夢だと思った。
しかし、他の仲間も同じ夢を見ていたと言う。
「ただの夢じゃないみたいだな。」
「何の災害が起きるのか分からないが、皆に準備だけはする様に言っておこう。」
「獣人全員が勇気を持つならと言っていた。」
「俺にもそう言った。」
「誰も欠けることなく行動に移さなければならないって事だろう。」
災害が何時なのかは分からない。直ぐなのか、1ヶ月先の話しなのか・・・
俺達はこの国に住む獣人に、俺達の見た夢の話しをして、
秘密裏にこの町を出て行く準備を始めた。
子供達には当日まで話さず、大人だけに話を伝える。しかし、年寄りは
「私達は、ここに残るよ。ここを出ても、皆の足を引っ張るだけだ。」
多分、俺達の話を信じていないのだろう。
俺達が皆を動かす為に、作り上げた話だと・・・
「信じてくれ、あの方はこの国の獣人全員と言ったんだ。
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何度も説得し、全員でこの国を脱出する事を受け入れてもらった。
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