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675ジレット王国

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ジレット王国に到着した俺達は、形跡を残さない様にエアウォークで壁を乗り越えて入国した。
さっそく町を見回っているのだが

「獣人の姿が全くない。」
「おまけに、ギスギスした雰囲気で嫌な感じだな。」

何が起きるのか分からないので、ヤマトには姿を消してもらっている。
城を見たが確かに塔は建っていなかった。そして

『マクニス王国と違い、城壁が有るだけでシールドは張られていない様じゃな。』

そうとなれば、今夜はゆっくりと休むに限る。
夕食は宿の向かいの店で取ったが、不味い。

「見ない顔だな。兄さん達は、冒険者なのか。」

未だ早い時間で客も少なく、店員が話しかけてくる。

「そうだ。今日、王国に入った所だ。町を歩いたが、少し変な感じがするな。」
「まぁな。ここだけの話し、マクニス王国に戦争を仕掛けようとしたが、
 武器や荷物を全て奪われ、貴族なんて裸にされたって話だ。
 マクニス王国が内部紛争をして無ければ、今頃反撃されていただろうな。
 軍がピリピリして、それが町の雰囲気に影響しているんだ。」

浩司が店員から色々と情報を聞き出してくれたが、

「マクニス王国も内部紛争で酷い状態になっているだろ。
 叩きのめすチャンスだと言ってる貴族も居るらしいぞ。」
「実際に、国からの武器の発注が凄いからな。
 俺なんて、新しい武器を調達したくても出来ずに待たされている。」
「兵士は無傷だったからな。武器さえ出来れば、また戦争か。
 さっさと、人間様の世界を作って欲しいよな。
「戦争をするなら、町に住みついている獣人達にやらせれば良いじゃないか。」
「マクニス王国は獣人に優しいと言うから、わざと負けてくれんじゃねぇか。」
「そりゃ、良い考えだ。」

食堂に居た男達が話しに加わり、食堂にいる全員が笑っている。
浩司が怒りを抑えているのが分かる。
俺も、これ以上話しを聞く気も無く、金を払うと宿に戻った。
次の日は夕方まで店を回って食材や練成に使える素材を購入して過ごし、暗くなった所で、

「そろそろ行動を開始しようか。」

ヤマトに浩司の気配を消してもらい、俺達はエアウォークで城壁を越えて城内へと潜り込む。
中は広く、手当たり次第に調べてみたが、遺跡とは関係ない只の城の様だ。
貴族らしき人間が至る所でマクニス王国との戦争の話しをしている。

「未だ、武器が揃えられないのか。」
「内乱で疲弊したマクニス王国を手に入れる機会だと言うのに」
「兵士は5体満足なんだ。武器さえ揃えば一気に殲滅できる。」
「ギリス教にもっと金を出してもらうのはどうなのだ。」
「いや、これ以上 奴等に権力を握らせるのは危険だろう。」
「連続の内乱。そう簡単に復活できるはずが無い。後は我々の力だけで十分間に合うだろう。」

まさか、町の噂通り本当に戦争を行うつもりだったとは。

『にゃんで、この国はマクニス王国に戦争を仕掛けるのにゃ。』
『世界全てを自分の物にしたいのじゃろう。』
『手に入れてどうするのにゃ。』
『自分の理想な世界を作り上げたいのじゃ。人間至上主義の国を。』

人間至上主義なんて自分だけで思っていれば良いのに、何故 広めようとするのだろう。
宗教の下に戦争なんて、そんなの只の政治でしかない。
まぁ、貴族なんて政治屋と大して変わらないみたいで、奪った土地からの利益を考えている人も多いみたいだ。
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