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「とりあえず、成功したかな。サリナお姉さんの気持ちも伝わったみたいだし。」
「とりあえずじゃなく、大成功だ。」

俺は城の城門の上で、転がって空を眺めている。
魔力を使い過ぎて、疲れ切ってしまった。
浩司も疲れた様で横に座っている。

そして俺達の周りには、アーク、クリーム、そしてOZが居てくれ
更に、貴族だろうと誰も近寄らせないようにバラン将軍の配下、第3騎士団の兵士達が城門の上への道を全て塞いでいた。

「拓、浩司、先ずはこの場を離れよう。
 後は、サリナ姫とブルネリ公爵が対応してくれる。」

ガラに言われ、浩司はガラとレオに支えられ、俺はアルに背負われながら城門を後にした。
町は喧騒に包まれ祭りの様な賑わいで、笑顔で溢れていた。
少し、この雰囲気を味わっていたが、もう疲れて起きていられなかった。

次の日、第3騎士団の寄宿舎で目覚めると
サリナ姫、ヨハン王子、ブルネリ公爵、ロダン侯爵、クロイツ伯爵、ヨギ魔道師が寄宿舎に集まり
寄宿舎の一角が再び情報交換の場所となっていた。


国民の不安は治まり、町には活気が戻って来ている。
この先は、国王主体で対応していけば問題ないだろう。
交易についても、それなりの影響を受けるが、いまの状態を維持できれば元に戻す事は出来る。

問題は、貴族達だった。
剣君と斧ちゃんについては、ヨハン王子が手を貸したという事になっていて直接表立った話は無いが
裏では、ヨハン王子の国、グランザム王国との関係をどうするかで動きが活発化しているらしい。
一番煽りを受けているのがサリナ姫と、ヨハン王子と繋がりの深いと思われているブルネリ公爵。
ロダン侯爵やクロイツ伯爵から接触を図る貴族も居るらしい。

そして昨夜の花火は、サリナ姫自身が動いて準備を行った為
あれだけの力を持つ魔道師は誰だと色々と問われているらしい。救いは国王の言葉で

「サリナ、その魔道師はマクニス王国に敵対する可能性はあるか。」
「もし、力づくで何かしようとすれば、反発をするかもしれませんが
 そうで無ければ、友好的に接してくれます。」
「まるで、大魔道師グリムの様な存在だな。
 魔道師についてはサリナに任せよう。他の者達は、手を出す事が無い様に。」

と釘をさしてくれた事だった。
こうなれば貴族といえども、表立って動く真似は出来ないだろう。更に

「魔導士は国民が再び立ち上がるための切っ掛けを作ってくれました。次は、私達が行動を起こす番です。」
「そうだな。直ぐに今後の対応について会議を開く。この状況を無駄には出来ない。」

国王や貴族達は国民への対応方針を決めていた。

「サリナお姉さんの頑張りが、俺達の自由を守ってくれるのか。国も良い感じで動き始めたみたいで良かったですね。」
「それでも貴族が近寄って来て、本当に大変なのよ。こんな事なら、剣君と斧ちゃんに依頼した事にすれば良かったわ。」

サリナ姫の言葉を聞いて、その手を忘れていた。

『拓は、何処か抜けている。』

いやいや、グリムも考え付かなかっただろう。
サリナ姫は大きな溜息を吐いて、話を続けた。

「それでも、裏で動こうとする貴族は多いでしょうね。
 更に問題は、剣君、斧ちゃんの存在と共に他の国にも知られてしまった事かしら。
 ヨハンもグランザム王国への対応が大変みたい。」

思わずヨハン王子を見てしまったが

「あの時、剣君と斧ちゃんが俺の配下に居る様に思われているからな。
 しかし、サリナさんを救うにはあれが一番だった。
 適当に対応しているから大したことは無い。」

そう言ってくれるヨハン王子には感謝しかない。

「それよりも、今回の国が襲われた件の方が重大だ。」

その通りだが、ナターシャ達の足取りは掴めていない。
引き続き、国として調べる事になっているが厳しいらしい。

「ヨハンさん、1つ確認したいのですが、
 グランザム王国の城にもマクニス王国と同様にシールドを張る塔が在りますか。」
「在るな。マクニス王国と同じ様に、中央と5つの塔で構成されている。」
「塔の駆動装置の部屋に入った事は。」
「小さい頃に有るみたいだ。もっとも覚えてはいないがな。拓、それがどうかしたのか。」
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