656 / 744
656諦めるな
しおりを挟む
******(シュミト公爵)
体の大きなオーガにとって通路が狭く、何とか防ぐ事ができている。
そして、バラキエ侯爵の存在が大きい。
侯爵は魔法の腕が立つとは聞いていたが、剣術もなかなかだ。
しかし、何処まで持たせられるか。
「シュミト公爵は、サリナ姫を良く思っていないと考えていましたよ。」
バラキエ侯爵は、まだ話す余裕があるのか。
「そうだ。姫様の気持ちは分かるが、綺麗ごとで時期尚早だとな。
俺は偏見を無くすのには、時間が必要だと思っていた。
急げば反発が大きくなると。」
オーガの拳が俺の顔をかする。
「しかし、ラグテルの町を見て思い知った。
姫様の考えが時期尚早なんじゃなく、俺の考えが古過ぎたってな。
時代は動いている。この先、姫様の様な方が絶対に必要だ。」
「ここで、姫様の為に死ぬおつもりか。」
「この先の世界を見ないで、死んでたまるか。生き残るための戦いだ。」
そうは言っても、このオーガの皮膚が硬過ぎて剣が通らない。
「しかしバラキエ侯爵こそ、そこまでして何故戦う。」
「私の事は知っているでしょう。ただ上に登りつめたいだけです。
そのためには、生き残らなければ意味が無いですからね。」
「今はそう言う事にしておいてやる。」
バラキエ侯爵なら、そんな事をしなくても上に登る力を持っている癖に。
「騎士共、オーガの目を狙え。」
皮膚が剣を通さないのなら、柔らかい所を狙うしかない。
バラキエ侯爵がハイオーガの拳を受け流し、俺がハイオーガの体勢を崩す。
そのタイミングで目を攻撃しようとしたが、攻め込んだ兵士は吹き飛ばされた。
兵士を追撃しようとするオーガの前にバラキエ侯爵が立ちはだかるが、オーガの強力な一撃を受けそこない左腕が切り落とされた。
バラキエ侯爵は歯を食いしばり、何とか右の手のひらに火の塊を作り出し、切り落とされた部分を焼き止血をしていた。
こんな化け物に、魔法も無くどう戦えば良い。
この戦いに諦めそうになっている兵士たちに対しバラキエ侯爵が叫ぶ。
「お前達は、サリナ様を助けるんじゃなかったのか。諦めてどうする。
倒れた者を後ろに下げろ。諦めるな。」
俺達がやられたら、もうサリナ姫を守ることは出来ない。
何としても防いでやる。
******(拓)
塔に近付くにつれ、魔力の放出が厳しくなってきた。
エアウォークを止め闇の魔力で気配を消して階段を駆け上がる。
すると、階段の先の方で戦う音が聞こえる。
男が2人に、ハイオーガが1体。
ハイオーガの体で奥が見えないが、護衛の兵士達が足止めをしているのだろう。
バラン将軍が男2人を倒すとハイオーガに斬りかかって行った。
「浩司、俺達でも魔法の放出が厳しい。ハイオーガを倒すなら無茶をする事になるぞ。」
「拓ちゃんがフォローしてくれるんだろ。」
『吾輩も力を貸すにゃ。力が弱っても、あんなハイオーガ1体なら行けるにゃ。』
俺達もバラン将軍の後に続いてハイオーガの前に出た。
ただし、ヤマトには闇魔法で姿は隠してもらっている。
驚いたのは、血だらけになった貴族の姿だった。バラキエ侯爵が片腕を失っていた。
何故、そんな状態になってハイオーガと戦っている。
「バラン将軍、助けに来てくれたのか。彼等は。」
もう1人の貴族が声を掛けてくる。
「味方だ。良く耐えた。ハイオーガを叩きのめすぞ。」
「「「おう」」」
バラン将軍とバラキエ侯爵、もう1人の貴族がハイオーガに攻撃を仕掛ける。
体の大きなオーガにとって通路が狭く、何とか防ぐ事ができている。
そして、バラキエ侯爵の存在が大きい。
侯爵は魔法の腕が立つとは聞いていたが、剣術もなかなかだ。
しかし、何処まで持たせられるか。
「シュミト公爵は、サリナ姫を良く思っていないと考えていましたよ。」
バラキエ侯爵は、まだ話す余裕があるのか。
「そうだ。姫様の気持ちは分かるが、綺麗ごとで時期尚早だとな。
俺は偏見を無くすのには、時間が必要だと思っていた。
急げば反発が大きくなると。」
オーガの拳が俺の顔をかする。
「しかし、ラグテルの町を見て思い知った。
姫様の考えが時期尚早なんじゃなく、俺の考えが古過ぎたってな。
時代は動いている。この先、姫様の様な方が絶対に必要だ。」
「ここで、姫様の為に死ぬおつもりか。」
「この先の世界を見ないで、死んでたまるか。生き残るための戦いだ。」
そうは言っても、このオーガの皮膚が硬過ぎて剣が通らない。
「しかしバラキエ侯爵こそ、そこまでして何故戦う。」
「私の事は知っているでしょう。ただ上に登りつめたいだけです。
そのためには、生き残らなければ意味が無いですからね。」
「今はそう言う事にしておいてやる。」
バラキエ侯爵なら、そんな事をしなくても上に登る力を持っている癖に。
「騎士共、オーガの目を狙え。」
皮膚が剣を通さないのなら、柔らかい所を狙うしかない。
バラキエ侯爵がハイオーガの拳を受け流し、俺がハイオーガの体勢を崩す。
そのタイミングで目を攻撃しようとしたが、攻め込んだ兵士は吹き飛ばされた。
兵士を追撃しようとするオーガの前にバラキエ侯爵が立ちはだかるが、オーガの強力な一撃を受けそこない左腕が切り落とされた。
バラキエ侯爵は歯を食いしばり、何とか右の手のひらに火の塊を作り出し、切り落とされた部分を焼き止血をしていた。
こんな化け物に、魔法も無くどう戦えば良い。
この戦いに諦めそうになっている兵士たちに対しバラキエ侯爵が叫ぶ。
「お前達は、サリナ様を助けるんじゃなかったのか。諦めてどうする。
倒れた者を後ろに下げろ。諦めるな。」
俺達がやられたら、もうサリナ姫を守ることは出来ない。
何としても防いでやる。
******(拓)
塔に近付くにつれ、魔力の放出が厳しくなってきた。
エアウォークを止め闇の魔力で気配を消して階段を駆け上がる。
すると、階段の先の方で戦う音が聞こえる。
男が2人に、ハイオーガが1体。
ハイオーガの体で奥が見えないが、護衛の兵士達が足止めをしているのだろう。
バラン将軍が男2人を倒すとハイオーガに斬りかかって行った。
「浩司、俺達でも魔法の放出が厳しい。ハイオーガを倒すなら無茶をする事になるぞ。」
「拓ちゃんがフォローしてくれるんだろ。」
『吾輩も力を貸すにゃ。力が弱っても、あんなハイオーガ1体なら行けるにゃ。』
俺達もバラン将軍の後に続いてハイオーガの前に出た。
ただし、ヤマトには闇魔法で姿は隠してもらっている。
驚いたのは、血だらけになった貴族の姿だった。バラキエ侯爵が片腕を失っていた。
何故、そんな状態になってハイオーガと戦っている。
「バラン将軍、助けに来てくれたのか。彼等は。」
もう1人の貴族が声を掛けてくる。
「味方だ。良く耐えた。ハイオーガを叩きのめすぞ。」
「「「おう」」」
バラン将軍とバラキエ侯爵、もう1人の貴族がハイオーガに攻撃を仕掛ける。
2
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
お布団から始まる異世界転生 ~寝ればたちまちスキルアップ、しかも回復機能付き!?~
雨杜屋敷
ファンタジー
目覚めるとそこは異世界で、俺は道端でお布団にくるまっていた
思わぬ″状態″で、異世界転生してしまった俺こと倉井礼二。
だがしかし!
そう、俺には″お布団″がある。
いや、お布団″しか″ねーじゃん!
と思っていたら、とあるスキルと組み合わせる事で
とんだチートアイテムになると気づき、
しかも一緒に寝た相手にもその効果が発生すると判明してしまい…。
スキル次第で何者にでもなれる世界で、
ファンタジー好きの”元おじさん”が、
①個性的な住人たちと紡ぐ平穏(?)な日々
②生活費の為に、お仕事を頑張る日々
③お布団と睡眠スキルを駆使して経験値稼ぎの日々
④たしなむ程度の冒険者としての日々
⑤元おじさんの成長 等を綴っていきます。
そんな物語です。
(※カクヨムにて重複掲載中です)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
はずれスキル『模倣』で廃村スローライフ!
さとう
ファンタジー
異世界にクラス丸ごと召喚され、一人一つずつスキルを与えられたけど……俺、有馬慧(ありまけい)のスキルは『模倣』でした。おかげで、クラスのカースト上位連中が持つ『勇者』や『聖女』や『賢者』をコピーしまくったが……自分たちが活躍できないとの理由でカースト上位連中にハメられ、なんと追放されてしまう。
しかも、追放先はとっくの昔に滅んだ廃村……しかもしかも、せっかくコピーしたスキルは初期化されてしまった。
とりあえず、廃村でしばらく暮らすことを決意したのだが、俺に前に『女神の遣い』とかいう猫が現れこう言った。
『女神様、あんたに頼みたいことあるんだって』
これは……異世界召喚の真実を知った俺、有馬慧が送る廃村スローライフ。そして、魔王討伐とかやってるクラスメイトたちがいかに小さいことで騒いでいるのかを知る物語。
ソードオブマジック 異世界無双の高校生
@UnderDog
ファンタジー
高校生が始める異世界転生。
人生をつまらなく生きる少年黄金黒(こがねくろ)が異世界へ転生してしまいます。
親友のともはると彼女の雪とともにする異世界生活。
大事な人を守る為に強くなるストーリーです!
是非読んでみてください!
おいでませ異世界!アラフォーのオッサンが異世界の主神の気まぐれで異世界へ。
ゴンべえ
ファンタジー
独身生活を謳歌していた井手口孝介は異世界の主神リュシーファの出来心で個人的に恥ずかしい死を遂げた。
全面的な非を認めて謝罪するリュシーファによって異世界転生したエルロンド(井手口孝介)は伯爵家の五男として生まれ変わる。
もちろん負い目を感じるリュシーファに様々な要求を通した上で。
貴族に転生した井手口孝介はエルロンドとして新たな人生を歩み、現代の知識を用いて異世界に様々な改革をもたらす!かもしれない。
思いつきで適当に書いてます。
不定期更新です。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~
櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる