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656諦めるな
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******(シュミト公爵)
体の大きなオーガにとって通路が狭く、何とか防ぐ事ができている。
そして、バラキエ侯爵の存在が大きい。
侯爵は魔法の腕が立つとは聞いていたが、剣術もなかなかだ。
しかし、何処まで持たせられるか。
「シュミト公爵は、サリナ姫を良く思っていないと考えていましたよ。」
バラキエ侯爵は、まだ話す余裕があるのか。
「そうだ。姫様の気持ちは分かるが、綺麗ごとで時期尚早だとな。
俺は偏見を無くすのには、時間が必要だと思っていた。
急げば反発が大きくなると。」
オーガの拳が俺の顔をかする。
「しかし、ラグテルの町を見て思い知った。
姫様の考えが時期尚早なんじゃなく、俺の考えが古過ぎたってな。
時代は動いている。この先、姫様の様な方が絶対に必要だ。」
「ここで、姫様の為に死ぬおつもりか。」
「この先の世界を見ないで、死んでたまるか。生き残るための戦いだ。」
そうは言っても、このオーガの皮膚が硬過ぎて剣が通らない。
「しかしバラキエ侯爵こそ、そこまでして何故戦う。」
「私の事は知っているでしょう。ただ上に登りつめたいだけです。
そのためには、生き残らなければ意味が無いですからね。」
「今はそう言う事にしておいてやる。」
バラキエ侯爵なら、そんな事をしなくても上に登る力を持っている癖に。
「騎士共、オーガの目を狙え。」
皮膚が剣を通さないのなら、柔らかい所を狙うしかない。
バラキエ侯爵がハイオーガの拳を受け流し、俺がハイオーガの体勢を崩す。
そのタイミングで目を攻撃しようとしたが、攻め込んだ兵士は吹き飛ばされた。
兵士を追撃しようとするオーガの前にバラキエ侯爵が立ちはだかるが、オーガの強力な一撃を受けそこない左腕が切り落とされた。
バラキエ侯爵は歯を食いしばり、何とか右の手のひらに火の塊を作り出し、切り落とされた部分を焼き止血をしていた。
こんな化け物に、魔法も無くどう戦えば良い。
この戦いに諦めそうになっている兵士たちに対しバラキエ侯爵が叫ぶ。
「お前達は、サリナ様を助けるんじゃなかったのか。諦めてどうする。
倒れた者を後ろに下げろ。諦めるな。」
俺達がやられたら、もうサリナ姫を守ることは出来ない。
何としても防いでやる。
******(拓)
塔に近付くにつれ、魔力の放出が厳しくなってきた。
エアウォークを止め闇の魔力で気配を消して階段を駆け上がる。
すると、階段の先の方で戦う音が聞こえる。
男が2人に、ハイオーガが1体。
ハイオーガの体で奥が見えないが、護衛の兵士達が足止めをしているのだろう。
バラン将軍が男2人を倒すとハイオーガに斬りかかって行った。
「浩司、俺達でも魔法の放出が厳しい。ハイオーガを倒すなら無茶をする事になるぞ。」
「拓ちゃんがフォローしてくれるんだろ。」
『吾輩も力を貸すにゃ。力が弱っても、あんなハイオーガ1体なら行けるにゃ。』
俺達もバラン将軍の後に続いてハイオーガの前に出た。
ただし、ヤマトには闇魔法で姿は隠してもらっている。
驚いたのは、血だらけになった貴族の姿だった。バラキエ侯爵が片腕を失っていた。
何故、そんな状態になってハイオーガと戦っている。
「バラン将軍、助けに来てくれたのか。彼等は。」
もう1人の貴族が声を掛けてくる。
「味方だ。良く耐えた。ハイオーガを叩きのめすぞ。」
「「「おう」」」
バラン将軍とバラキエ侯爵、もう1人の貴族がハイオーガに攻撃を仕掛ける。
体の大きなオーガにとって通路が狭く、何とか防ぐ事ができている。
そして、バラキエ侯爵の存在が大きい。
侯爵は魔法の腕が立つとは聞いていたが、剣術もなかなかだ。
しかし、何処まで持たせられるか。
「シュミト公爵は、サリナ姫を良く思っていないと考えていましたよ。」
バラキエ侯爵は、まだ話す余裕があるのか。
「そうだ。姫様の気持ちは分かるが、綺麗ごとで時期尚早だとな。
俺は偏見を無くすのには、時間が必要だと思っていた。
急げば反発が大きくなると。」
オーガの拳が俺の顔をかする。
「しかし、ラグテルの町を見て思い知った。
姫様の考えが時期尚早なんじゃなく、俺の考えが古過ぎたってな。
時代は動いている。この先、姫様の様な方が絶対に必要だ。」
「ここで、姫様の為に死ぬおつもりか。」
「この先の世界を見ないで、死んでたまるか。生き残るための戦いだ。」
そうは言っても、このオーガの皮膚が硬過ぎて剣が通らない。
「しかしバラキエ侯爵こそ、そこまでして何故戦う。」
「私の事は知っているでしょう。ただ上に登りつめたいだけです。
そのためには、生き残らなければ意味が無いですからね。」
「今はそう言う事にしておいてやる。」
バラキエ侯爵なら、そんな事をしなくても上に登る力を持っている癖に。
「騎士共、オーガの目を狙え。」
皮膚が剣を通さないのなら、柔らかい所を狙うしかない。
バラキエ侯爵がハイオーガの拳を受け流し、俺がハイオーガの体勢を崩す。
そのタイミングで目を攻撃しようとしたが、攻め込んだ兵士は吹き飛ばされた。
兵士を追撃しようとするオーガの前にバラキエ侯爵が立ちはだかるが、オーガの強力な一撃を受けそこない左腕が切り落とされた。
バラキエ侯爵は歯を食いしばり、何とか右の手のひらに火の塊を作り出し、切り落とされた部分を焼き止血をしていた。
こんな化け物に、魔法も無くどう戦えば良い。
この戦いに諦めそうになっている兵士たちに対しバラキエ侯爵が叫ぶ。
「お前達は、サリナ様を助けるんじゃなかったのか。諦めてどうする。
倒れた者を後ろに下げろ。諦めるな。」
俺達がやられたら、もうサリナ姫を守ることは出来ない。
何としても防いでやる。
******(拓)
塔に近付くにつれ、魔力の放出が厳しくなってきた。
エアウォークを止め闇の魔力で気配を消して階段を駆け上がる。
すると、階段の先の方で戦う音が聞こえる。
男が2人に、ハイオーガが1体。
ハイオーガの体で奥が見えないが、護衛の兵士達が足止めをしているのだろう。
バラン将軍が男2人を倒すとハイオーガに斬りかかって行った。
「浩司、俺達でも魔法の放出が厳しい。ハイオーガを倒すなら無茶をする事になるぞ。」
「拓ちゃんがフォローしてくれるんだろ。」
『吾輩も力を貸すにゃ。力が弱っても、あんなハイオーガ1体なら行けるにゃ。』
俺達もバラン将軍の後に続いてハイオーガの前に出た。
ただし、ヤマトには闇魔法で姿は隠してもらっている。
驚いたのは、血だらけになった貴族の姿だった。バラキエ侯爵が片腕を失っていた。
何故、そんな状態になってハイオーガと戦っている。
「バラン将軍、助けに来てくれたのか。彼等は。」
もう1人の貴族が声を掛けてくる。
「味方だ。良く耐えた。ハイオーガを叩きのめすぞ。」
「「「おう」」」
バラン将軍とバラキエ侯爵、もう1人の貴族がハイオーガに攻撃を仕掛ける。
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