異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
上 下
654 / 761

654籠城

しおりを挟む
******(バラン将軍)

国王や、サリナ姫は大丈夫だろうか。
敵の人数は少ないが、ハイオーガが居るので浮足立った兵士では対応が出来ていない。
悪いが、このまま気配を消して国王の確認を優先させてもらう。

脱出ルートとなっている廊下は全て押さえられていた。
後は、塔の上に籠城するだけか。
そちらに向かおうとすると、城の中で爆発音が起きた。

逃げ遅れて戦っているのか。

急いで音のした方へ向かうと、強力な魔法攻撃が行われた後で敵が倒れていた。

「これは、雷魔法か。」

これだけの威力を出せる味方の魔道師で思い浮かぶのは1人しか居ない。
敵が集まって来るので、その場から離れた。

何とか、彼等と合流出来ないだろうか。周囲を探ると突然上に気配が現れた。
剣を上に向けると構えると

「拓殿、浩司殿。」

探していた2人が居たが、しかしその格好は・・・


自分に気が付いて、気配を消すのを止めたそうだ。
他の脱出ルートも敵が見張りを立てていて、国王やサリナ姫は塔での籠城した可能性が強い事を伝えると

「籠城か。逃げ出しているのなら敵の目を引きつける為に派手にやったけど意味が無かったか。
 しかし、塔か・・・魔法が使えなくなるとは最悪の状況になって来たな。」

3人で塔の方へ向かったが、入口の所に敵が集まっている。
良く見ると、入口が透明な物で塞がり、剣を突き立てても元に戻ってしまう。

「どうやら、固めた水で塞いでいるみたいですね。
 一日は持ちますから、今の内に敵の状況を調べておきましょう。」

拓殿に連れられてエアーウォークで移動する。
早く動けるだけでなく、2階の高さ位なら簡単に飛び上がれる。
これで、気配を消す事が出来れば、城で有ろうと簡単に忍び込めただろう。


******(サリナ姫)

「怪我をした人をこちらに。」

大怪我をした状態でここまで無理に連れて来たので更に酷くなっている。

「ここでは、魔法は殆ど力も出せず、助けるのは無理です。
 サリナ様。職務を全うしました者に、声を掛けてあげてはどうでしょう。」

この貴族は何を言っているの。
通路を塞ぐ時、先に逃げ出した癖に。
しかし、この塔では魔法の力が制限されてしまうのも事実だ。
魔法が使えず、通路が続き大量の敵に囲まれる事も無い為に最後の籠城をする場所になっている。
もし、治療魔法を使えたとしても、ここに居る人では助ける事は出来ないだろう。
貴族の言葉を無視して、兵士に声を掛ける。

「1つだけ命を助けられる可能性があります。但し、激痛が襲い、助かるかは賭けになります。
 助かったとしても、後遺症が残り今まで通りの生活は出来ないかもしれません。
 それでも、貴方に生きるのを諦めて欲しくありません。」

兵士が苦痛の中私を見ている。ポーチから秘薬を取り出して飲ませると
兵士の体がうっすらと輝き苦しみ始めるが傷口が塞がっていく。
そして全ての傷口が塞がり、光が消えると気を失った。

「サリナ様、彼は助かったのでしょうか。」

「一応は。しかし、後で痛みが全身を襲うでしょう。
 それに助かったとしても後遺症が残るかもしれません。
 他の方も傷を負っていますね。少しですが、ポーションが有ります。
 高品質ですから全員の傷を治す事が出来るでしょう。」

私がポーチからポーションを取り出すと

「サリナ様、少しお待ちください。
 この先、戦闘で王族や貴族が怪我をするかもしれません。
 そのポーションはとっておいた方が良いのでは無いでしょうか。」

この貴族は何を考えているの

「いい加減にしなさい。彼等のお陰で助かったのも分からないのですか。」

私に言われて貴族は一瞬怯むが、直ぐに反論しようする。

「では、敵が攻めて来た時は、そなたが先頭に立って戦うと言うのだな。」

貴族より先に父上が話しかけた。
国王である父上に言われ、口を閉じる貴族達。

「サリナ、その者達にポーションを。」

兵士達が国王に対し、膝を付き頭を下げた。
私が兵士達に手元のポーション3つを渡し、全員の傷が治ると

「サリナ様。この身に代えましても必ず貴方様をお守り致します。」

全員が頭を下げで、私に誓いを立てる。
ここに居る兵士は、第一、第二騎士団。
表に出す事はないが、獣人を見下し、獣人に寄る私の事を嫌っていたのに。

「顔を上げなさい。必ず助けは来ます。それまで、宜しくお願いします。」

お願い、どうか間に合って。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

処理中です...