異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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648待ち伏せ

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次の日、俺達は朝早くから馬車で移動を開始した。
目的地は、以前サリナ姫とヨハン王子が誘拐された時、ナターシャ達が拠点として使っていた遺跡。
裏でバラン将軍に動いてもらい、国から許可を得ている。
既に、国としての検証が終わり、何も発見できないほどの破壊がされていたが
何か見落としが無いか、改めて調べてみる事にした。
表向きは、考古学者の一行として・・・

遺跡自体は地下に有り、以前に見た時は地上は草原で覆われていた。
しかし今は草原だった場所は、大きく陥没し周囲は土を掘り返されていた。

「国は大掛かりな作業をしていたんだな。」

浩司が掘り返された穴を見て驚いていた。
しかし、これだけの作業をして何も見つからないとは・・・
俺も探索魔法で調べてみたが、瓦礫の下を調べる事は出来なかった。
このメンバーなら問題無いので、アイテムボックスに瓦礫を収納しようとしたが、瓦礫となっても遺跡という巨大な塊としてしか認識できず取り込む事が出来なかった。

「瓦礫の間にも魔力が通らないのか。遺跡の素材って何で出来ているんだろうね。」
「どうする拓ちゃん。諦めるか?」
「この遺跡の入口は斜めに伸びているから、やってみたい事がある。」

俺は土魔法とアイテムボックスを使い、崩れた通路のしたに空洞を作り上げる。
最後に魔力を込めてホールを発動させると、積み重なった瓦礫が俺の掘った空洞に崩れ落ちていく。

「凄いな。拓殿にしか出来ない技だな。」

見ていたバラン将軍が驚いている。
そして、崩れた瓦礫の奥に崩れていない穴が出てきた。

「完全に潰す事は出来なかったみたいですね。
 床や壁の強度を調べますから、少し待っていてくれますか。」

調べてみたが、強度が低い。
その事を伝え、俺と浩司がエアウォークで中を調べてみるが
床も壁も高熱で焼かれて、ガラスは溶けていた。
見事に証拠隠滅に成功している。
手掛かりになる様な物は見つからず、俺と浩司は確認できる範囲で写真を撮りまくり皆の所に戻った。

「写真ってやつは便利だな。」
「しかし、何も無い。本当に全てが消炭になってしまったな。」
「この証拠隠滅は、敵ながら流石だ。」

撮った写真を皆で見ているが、新しい発見は無かった。
その日は、遺跡の側でテントを張る事にした。


「浩司、どうやらお見えになったみたいだ。」
「正直、本当に来るとは思わなかった。」

夜中に俺達のテントに気配を消して近付いて来る人影・・・
俺達は気配を消して、そいつらがテントに向かって魔法を放とうとしている所を

「フレイムアロー」「ダークマインド」

一気に倒して、捕えた。

「何だよ。俺達が待機していた意味が無かったじゃないか。」

そう言いながらも、他のメンバーが出て来て敵から武器だけでなく全て剥ぎとり裸の状態で縄で縛る。
不意打ちを食らわせようとしていた自分達が不意打ちを食らわされるとは思っていなかったのだろう。
あっという間に攻撃者は無力化され、猿轡を噛まされてしまった。

「さて、お前達は何故俺達を狙った。」

バラン将軍が1人の猿轡を外して質問をするが、こちらを睨みつけるだけで答える事は無かった。

「先に言っておくが、ここにはサリナ姫もヨハン王子も居ないぞ。」

敵全員のオーラが揺れた。

「ナターシャの差し金だろうが、残念だったな。」

敵のオーラは揺れる事はなかった。
ナターシャ達の差し金では無かったのか。では一体誰の差し金だ。
そこに、兵士の1人がバラン将軍の耳元に話しかけると

「お前達は、ギリス教の信徒だったのか。」

バラン将軍が驚いたように言うと、見た目は平然を装っているが全員のオーラが不安に染まっている。
彼等から剥ぎとった服にギリス教を示す物は何も無い。
これは只のハッタリだが、襲撃者達には十分な効果が有ったみたいだ。

こんな場所に襲撃を掛ける人間が、簡単に話す訳も無く
場合によっては、捨て駒の可能性も高い。
バラン将軍が質問を行っている間、俺は襲撃者のオーラを見て本当か嘘を見抜いている。
言うなれば人間嘘発見器。
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