異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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637火、風、雷

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ラグテルの町に戻ってきてから、俺は一人引きこもり生活をし風の魔道結晶に魔法陣を描き終えた。
さっそく、浩司のブレスレットに装着したのだが

「先に付けてある雷と炎の魔道結晶の影響で魔道具として上手く働かないな。」
『いや、これなら何とかなるじゃろう。
 コアを嵌める配置を代え、腕輪自体に魔法陣を描いて影響を打ち消せられんか。』

強い魔法陣を描いたコア同士を近くに設置しているため、お互いに影響を及ぼしあって上手く魔法陣が発動しない。
腕輪と格闘すること丸一日・・・絶妙なバランスで浩司の魔道具を完成させた。
浩司は、直ぐにでも使いたがっているが

「明日、皆で人の居ない場所へ行ってから試してみようか。
 俺は寝るから。今日は俺という存在は無いものとして過ごしてくれ。」

ベットへ倒れ込むように横になると同時に、俺は夢の世界へと旅立った。


「良く寝た。」

目が覚めて横を見たが、浩司が居ない。外を見ても未だ日の出前。
家の中の気配を探ると、食堂に全員が揃っているみたいだ。

「おはようございます。全員、こんなに早くからどうしたんです。
 何か出かける予定でも有りましたっけ。」

全員が出発の準備を終えているが、何か約束をした覚えが無い。

「何言っているんだ。浩司の魔道具が出来たから人の居ない所で試すんだろ。
 拓の準備が終ったら、出発するぞ。」

昨日、寝る前に浩司にそう言った記憶はある。しかし、こんな朝早くから出掛けるつもりは無かったのだが・・・

『全員が、新しい魔道具に興味が有るのじゃろう。
 後は、浩司が上手く雷、火、風の魔力を扱えるかどうかじゃな。』

魔力操作の特訓を行っているが、3つの魔力を高出力で扱えるのだろうか。


ぞろぞろと人の居ない森の奥へと移動した。
周囲に誰も居ないことを確認し、いよいよ浩司が新しい魔道具を使ってみる。

「それじゃ、行くぞ。」

火、風、雷の魔力を腕輪に込め放出した魔法が目標物の大岩を砕いた。

「魔力を練る所までは良かったけど、放出する時、見事にバランスが崩れたね。」

一部が欠けた大岩。バランスが崩れ、魔力が打ち消しあってしまったみたいだ。
次に、3つの魔力を操作可能な範囲で魔道具に込めて魔法放つと、相乗効果か同量の魔力を使った単一魔法より数段強力な威力で岩を打ち砕いた。

「この魔道具、凄いな。後は俺が使いこなせるようにならないと、宝の持ち腐れか。」

オリジナルグリムへの対抗手段。
しかし、強い武器を持てば、相手は更に強い武器を求める。
負のスパイル
武力強化は必要だと理解しているが、釈然としない。

「なぁ、拓ちゃん。今回の件に決着が付いたら、この魔道具は壊そうか。
 雷のコアだけ残して、他は別の事に使わないか。
 スーパー銭湯や巨大乾燥機とか面白いかもしれないな。」

俺が考えていた事が顔に出ていたのだろうか。
だが、浩司に言われて少し気持ちが軽くなった。
一段落付いたら、こんなのでなく、もっと面白い魔道具作りをしよう。
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