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636寄り道

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「気持ちは嬉しいけど、警護の負担を考えたら早くラグテルの町に移動した方が良いと思う。」

サリナ姫の言葉に、ヨハン王子まで頷いている。

「サリナさん。敵はマクニス王国の中であれだけの攻撃をする様な奴らだ。
 警護の点から言うと、ラグテルの町でも対して変わらない。気分転換も必要だ。」

ガラがそう言うと、2人とも納得してくれた。

「だとしたら、一箇所に留まらない方が良くないか。」

ジークさんが、良い事を思いついたかの様な顔で言うと

「そうか、その手が有ったか。」
「OZとなら、優雅な旅が出来るわよね。」
「どうせなら、温泉地を目指すのも良くないかしら。」
「それだったら、未だ行ったことのない土地を巡るのも良いかもしれない。」
「目を瞑った状態で地図を指して、成り行き任せの旅はどうだ。」

話が弾み、完全に旅行計画になっている。
このメンバーで色々と回るのは楽しいと思うが

「話が弾んでいる所、申し訳ないけど
 拠点が無ければバラン将軍も状況が分からなくて困るでしょう。
 それに、カレーや農園、義手義足のサポートも有るので、ラグテルの町には戻りますよ。」

俺はまともな事を言っていると思うが、批判的な視線を向けられるのは何故だ。

「何か動きが有れば、私に連絡が来るようになっている。
 出来れば拠点がある状態で、動いてもらえると助かる。」

バラン将軍が話しているのに、何故か俺を仕方が無い奴だという感じで見る。
腑に落ちない所だらけだが、大人の度量で受け入れよう。


食事も終わり俺は魔道結晶に魔法陣を描いていると、ジェニファーさんとロビンさんがサリナ姫と魔力の制御について教えていた。
サリナ姫自身も、普段から自分なりに訓練している様で上手く制御が出来ているみたいだ。

「サリナお姉さん。良かったら、魔力を抑える指輪を付けてみますか。」

サリナ姫が指輪を付けてみると、何とか動けるみたいだ。
OZやアークのメンバーが初めて付けた時は、まともに動く事も出来なかったからな。
これなら、川下りをするまでには普通に動ける様になれそうだ。


川に付いた所で、カヌーをセットした所で、馬車には先にラグテルの町へを向かってもらう。
残った俺達は、カヌーを繋げて大きな筏をつくり川下りを始めた。

夜、止まっている間に魔道結晶に魔法陣を描き、昼間は川に足を浸して昼寝。
完全に昼と夜が逆転してしまったが、気持ち良い。
俺の横でヤマトも昼寝。但し、ヤマトの場合、夜も寝ている。
たった3日間で無く、1週間位はこのままノンビリと過ごしたい。


ラグテルの町に着くと、マクニス王国の騒ぎが嘘の様に今まで通りの日常が有った。
家に帰ると、ピース医師、トリス練成術師の夫婦が出迎えてくれた。
サリナ姫とヨハン王子の警備と言う事で2人は俺達の家に泊まり、他にもアークのメンバーも護衛として泊まるのだが部屋が無い。
すると、ヨハン王子から

「後から来る兵士の1人は女性だ。
 前回使わせてもらった部屋はクリスティーヌさんとその兵士で使ってもらい
 俺は地下庭園でテント生活をしたいと思う。」

そう言ってくれ、アークのメンバーも地下庭園でのテント生活を楽しむらしい。
テントと言っても十分に立てる高さもあり、ベットにテーブル等も用意したので普通の部屋と変わらない快適さだと思う。
残りの兵士は地下訓練場の簡単な間仕切りをした部屋で過ごしてもらう。
全ての準備が整い、ラグテルの町での生活が始まった。
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