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632腹を括る

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「拓ちゃんも夢から覚めたとはいえ、かなり体にも負担が掛かっているらしい。
 一応、リッチとも話したけど、後2日ほど神殿で休んでから皆の所に戻ろうと思う。」

ヨギ魔道士の治療も終っているので、体調を直してから戻っても問題ないだろう。
それに、俺以上に浩司が疲れきっているみたいだ。
まともに寝れていないのではないだろうか。

「浩司もゆっくり寝た方が良いよね。リッチ、どこか部屋を貸してもらえないかな。」
「入り口を出た所なら好きな場所を使ってもらって構わない。
 起きたら、顔を出してくれ。渡したいものがある。」
「分かった。」

ゆっくり寝てもらおうと浩司には1人で寝てもらおうと思っていたが

「動けない。」

浩司は俺を後ろから抱きしめたまま、軽い鼾をかき始めた。
動けないのは辛いが浩司の体温が心地よく、その鼾を聞きながら俺もいつの間にか寝ていた。
目覚めた時には浩司の疲れも取れたのか、スッキリした顔になっていた。
これは疲れが取れたというだけでは無いのだろう。

「そういえば、拓ちゃんは夢の中で俺と初めての夜を迎える所だったんだよな。
 元気になったし、夢の中の続きをやってやる。」

元気になり過ぎた浩司に、きっと夢の続き以上に責められ終わった時には2人とも汗だくになって笑っていた。
汗を拭いて改めてリッチの所へ行くと

「これを渡そうと思ってな。この先、必要になるのだろう。」

リッチから風と光の魔道結晶を渡された。

「昔は他にも有ったのだが、今残っているのはそれだけだ。有効に活用してくれ。」

改めてリッチに礼を言い、地下のムハンマの神殿を後にした。

「帰りはハングライダーで帰ろうか。
 もしかすると、誰かがムハンマの神殿を目指しているかもしれない。
 空から見落とさない様に確認していかないと。」

以前、俺達が通って来たコースを空から見ていると川沿いに移動しているOZのメンバーを発見。
姿を隠すのを止め、皆に向かって手を振ると、皆が手を振り返してくれる。

「良かった。無事に戻って来れたんだな。浩司も大変だっただろう。」

皆に合流し、俺と浩司が居なくなった後の事を聞くとマクニス王国に戻りたく無くなってきた。
俺と浩司が出て行ったのと入れ違いに、オリバー隊長がやってきた。
俺が呪いに掛かった話しを聞くと、ガラだけを別の部屋に連れて行き何が起きたか話してくれたらしい。
その中で、オリジナルのグリムがヨギ魔道師に呪いを掛ける際

『我が分身の弟子なら、我が弟子と同じ事。これは儂からの弟子への試練じゃ。』

と言ったとの事。
知っているのはバラン将軍、ヨギ魔道師、そしてオリバー隊長の3人だけ。
オリバー隊長は話しをしただけで、何も問う事はしなかった。

「多分、戻ったら聞かれるだろうな。どうするかは、拓、浩司、グリムに任せる。
 俺達は、お前達が決めた方針について行く。」

ガラの言葉に、他のメンバーも頷いている。

『これは、腹をくくった方が良さそうじゃな。』
『何か有れば吾輩が守ってやるにゃ。ドンと構えていれば良いにゃ。』
「バラン将軍達なら大丈夫だ。何とかなる。」

浩司が俺の頭に軽く手を乗せる。
それしかないか。これ以上、グリムの事を隠す訳にはいかないだろう。
正直、俺達って隠し事ばかりだな。

街道に馬車が止めてあり、ジークさんとニコラスさんが待機してくれていた。
グリムの事は、アークやクリームにも説明した方が良いだろう。
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