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629救出
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今日は、初めて浩司を俺の家にやって来る。
朝から大掃除。汚くしている訳ではないが、気になって仕方がない。
掃除が終わったら、食事の準備。
軽く家で飲もうと誘っているが、浩司の普段の食欲を考えると量は有った方が良いだろう。
後は、今夜泊る時の用意も必要だな。
自分で言うのも何だが、浮かれすぎて頭の中が春だ。
食事をした後、さりげなさを装って聞いてみる。
「浩司、今日は泊れるのか。」
「拓さんが良いなら、泊りたい。」
可愛い過ぎる。
抱きついてキスをしようとした時、またしても冒険者の格好で少し大人びた姿の浩司が見える。
凄く悲しそうな顔。
「拓さん、どうしたの。」
「俺、何か大切な事を忘れている。
このままだと、本当に浩司の事を傷つけてしまう。」
「何を言っているんだよ。俺は拓さんとこうなれて嬉しいよ。」
「違う。もう一人の浩司が泣いている。」
そう言うと、突然 頭の中にトラックにひかれた事、浩司と一緒に別の世界に行った事が思い出された。
そして、急に体から力が抜け意識を失った。
******(浩司)
拓ちゃんの夢の世界に入ったが、俺は何も触れず、どんなに叫んでも声も届かない。
時々、拓ちゃんが異世界での記憶を思い出すとき、俺の姿を感じられるみたいだ。
夢とはいえ、俺の知らない元の世界での生活。
そこで出会い、好きになったのが俺だったのは嬉しいが、夢だとはいえその一線を越えた拓ちゃんを見たくはない。
どうにか止めたくて叫び続けていると、突然 拓ちゃんが倒れ、夢の世界が壊れた。
何も無い暗闇の中に、男が立っていた。
「お前が本物の浩司か。」
両腕に拓ちゃんを抱えてた俺が話しかけてくる。
いや、拓ちゃんの夢に出てきた もう一人の俺だ。
「本物って事は、自分がどういう存在か分かっているのか。」
「あぁ、今なら分かる。俺は魔法と拓さんの想像から生み出された存在だ。
拓さんの魔力で動いている借物の命。」
「分かっていて、何故拓ちゃんを夢に縛り付けた。」
「分かったのは今だ。それまで自分が作られた存在なんて思ってもいなかった。」
俺そっくりの男が、抱かかえていた拓ちゃんを俺に渡す。
「今の拓さんは、こんな子供の姿なんだな。
拓さんの隣にいるのが、何で俺じゃなくお前なんだよ。」
悔しそうな顔のもう一人の俺。
「後は頼む」
「お前はどうなる。」
「俺の存在は楔なんだ。
拓さんの魔力がある限り俺は存在し、俺が存在する限り拓さんは目覚めることが出来ない。
だから、俺は自分で自分を消滅させる。」
「待てよ、何か生き残る方法は無いのかよ。」
「何を言っている。俺は作られた借物の命なんだよ。」
「だったら、何で泣いているんだよ。」
もう一人の俺は、自分が涙を流している事も気付いていなかったみたいだ。
「仕方が無いだろ。俺が消える以外に拓さんを助ける手段なんて無い。」
拓ちゃんなら絶対に最後まであがき続けるはずだ。
拓ちゃんの魔力で存在し、存在している限り拓ちゃんを夢に縛り付ける存在。
「拓ちゃんの体から出てしまえば、楔としての効果は無くなるのか。」
「拓さんと魔力の繋がりが無くなれば楔で無くなるだろう。しかし、それは俺が消滅するって事だ。」
「なら、お前、俺の中に来いよ。
俺と拓ちゃんの魔力は全く同じものらしいから、俺の魔力でも存在できるだろう。」
もう一人の俺が、俺の体を触ってくる。
俺の魔力を感じようとしているのは分かるが、変な気持ちだ。
「出来るかも知れない。ただ、やってみないと分からない。」
「だったら、やろうぜ。ただ消滅するだけよりずっと良いだろう。」
「本当に良いのか。」
「まぁ、恋敵を助ける様な真似はしたくは無いが、拓ちゃんならこうするだろうしな。
それに、お前は拓ちゃんから生まれたもう一人の俺なんだろ。」
拓ちゃんを静かに足元に下ろすと、もう一人の俺を連れて夢の世界を後にした。
朝から大掃除。汚くしている訳ではないが、気になって仕方がない。
掃除が終わったら、食事の準備。
軽く家で飲もうと誘っているが、浩司の普段の食欲を考えると量は有った方が良いだろう。
後は、今夜泊る時の用意も必要だな。
自分で言うのも何だが、浮かれすぎて頭の中が春だ。
食事をした後、さりげなさを装って聞いてみる。
「浩司、今日は泊れるのか。」
「拓さんが良いなら、泊りたい。」
可愛い過ぎる。
抱きついてキスをしようとした時、またしても冒険者の格好で少し大人びた姿の浩司が見える。
凄く悲しそうな顔。
「拓さん、どうしたの。」
「俺、何か大切な事を忘れている。
このままだと、本当に浩司の事を傷つけてしまう。」
「何を言っているんだよ。俺は拓さんとこうなれて嬉しいよ。」
「違う。もう一人の浩司が泣いている。」
そう言うと、突然 頭の中にトラックにひかれた事、浩司と一緒に別の世界に行った事が思い出された。
そして、急に体から力が抜け意識を失った。
******(浩司)
拓ちゃんの夢の世界に入ったが、俺は何も触れず、どんなに叫んでも声も届かない。
時々、拓ちゃんが異世界での記憶を思い出すとき、俺の姿を感じられるみたいだ。
夢とはいえ、俺の知らない元の世界での生活。
そこで出会い、好きになったのが俺だったのは嬉しいが、夢だとはいえその一線を越えた拓ちゃんを見たくはない。
どうにか止めたくて叫び続けていると、突然 拓ちゃんが倒れ、夢の世界が壊れた。
何も無い暗闇の中に、男が立っていた。
「お前が本物の浩司か。」
両腕に拓ちゃんを抱えてた俺が話しかけてくる。
いや、拓ちゃんの夢に出てきた もう一人の俺だ。
「本物って事は、自分がどういう存在か分かっているのか。」
「あぁ、今なら分かる。俺は魔法と拓さんの想像から生み出された存在だ。
拓さんの魔力で動いている借物の命。」
「分かっていて、何故拓ちゃんを夢に縛り付けた。」
「分かったのは今だ。それまで自分が作られた存在なんて思ってもいなかった。」
俺そっくりの男が、抱かかえていた拓ちゃんを俺に渡す。
「今の拓さんは、こんな子供の姿なんだな。
拓さんの隣にいるのが、何で俺じゃなくお前なんだよ。」
悔しそうな顔のもう一人の俺。
「後は頼む」
「お前はどうなる。」
「俺の存在は楔なんだ。
拓さんの魔力がある限り俺は存在し、俺が存在する限り拓さんは目覚めることが出来ない。
だから、俺は自分で自分を消滅させる。」
「待てよ、何か生き残る方法は無いのかよ。」
「何を言っている。俺は作られた借物の命なんだよ。」
「だったら、何で泣いているんだよ。」
もう一人の俺は、自分が涙を流している事も気付いていなかったみたいだ。
「仕方が無いだろ。俺が消える以外に拓さんを助ける手段なんて無い。」
拓ちゃんなら絶対に最後まであがき続けるはずだ。
拓ちゃんの魔力で存在し、存在している限り拓ちゃんを夢に縛り付ける存在。
「拓ちゃんの体から出てしまえば、楔としての効果は無くなるのか。」
「拓さんと魔力の繋がりが無くなれば楔で無くなるだろう。しかし、それは俺が消滅するって事だ。」
「なら、お前、俺の中に来いよ。
俺と拓ちゃんの魔力は全く同じものらしいから、俺の魔力でも存在できるだろう。」
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俺の魔力を感じようとしているのは分かるが、変な気持ちだ。
「出来るかも知れない。ただ、やってみないと分からない。」
「だったら、やろうぜ。ただ消滅するだけよりずっと良いだろう。」
「本当に良いのか。」
「まぁ、恋敵を助ける様な真似はしたくは無いが、拓ちゃんならこうするだろうしな。
それに、お前は拓ちゃんから生まれたもう一人の俺なんだろ。」
拓ちゃんを静かに足元に下ろすと、もう一人の俺を連れて夢の世界を後にした。
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