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623毒男拓、再び
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ラグテルの町へは馬車にしてはゆっくりと移動をしている。
人通りの少ない街道を選んでは露天風呂も用意して楽しい旅だ。
これでも、サリナ姫やヨハン王子の護衛依頼を受けているので、ブルネリ公爵には各町から報告を入れている。
一度、兵士に手紙を見せてもらったが、
「これは何語で書かれているのですか。」
全く読めない。
「他の国の言葉では無く、暗号ですよ。
これから我々が取るルートと目的地が書かれています。」
誰かに読まれる可能性があると言う事か。
俺達の仲間内でも暗号を作ってみるのもカッコいいかもしれない。
「暗号か。まぁ、俺達には面倒なだけで必要無いな。」
必要性の有無では無いのだが、俺の思いはガラによって否定されてしまった。
今夜は川原で宿泊。
丁度良い感じに開けた場所が有ったので、未だ早いが馬車を止めて宿泊の準備。
準備が終わると、クリスティーナさんは馬車へ
最近気が付いたのだが、クリスティーナさんは時間が有れば色々と書き綴っているみたいだ。
珍しく食事の時間になっても馬車から出て来ないので、俺が呼びに行くと
「すっ、すみません。つい書き物に熱中してしまいまして。直ぐに伺います。」
テーブルの上の紙を慌ててしまっていた。
それにしても、何を書いているのだろう。
気になったが、流石に気軽に聞ける相手では無い。
「ジャバの町でもらった料理を少しアレンジしてみた。
面白く出来たから、是非食べてくれ。」
頂いた料理のままだと、申し訳ないが少し物足りなく感じていたので、毎回レオがアレンジをして出してくれる。
醤油やみりん、味噌等を使っているので、何となく和食に近い物が多い。
「レオさん、更に料理の腕が上達したんじゃない。この煮物なんて絶品よ。」
サリナ姫が褒めると浩司が
「確かに、味付けのセンスが良いよな。拓ちゃん、料理の師匠としてはどうなんだ。」
と俺に振って来る。
「確かにね。俺が教えたのは家庭の味だけど、これは料亭の味だよね。
センスもそうだけど、レオは獣人だから味付けが繊細なんだよ。」
「拓、獣人だからって、どういう事なんだ。」
ガラが不思議そうに聞いて来る。もしかして気が付いてないのか。
「獣人全てがそうかは分からないけど、レオの場合俺達より嗅覚や味覚が鋭い。
だから、繊細な味付けや香り付が可能なんだ。
ただ、センスが無ければ意味が無い事だけどね。
アルにしても、感覚が鋭いから薬作りに向いていると思うよ。」
皆が納得する中、
「なら俺も、料理人に適しているのか。」
アルが嬉しそうに言ってくるが、アルの独特なセンスは料理人には向かないと思う。
どう答えれば良いか困っていると
「アルが作ってくれる料理は美味しいですよ。
ですが、薬作りと料理の両方を極めるのは難しいでしょう。
薬を作っている時のアルの顔を見ていると、薬作りの方が向いている気がします。」
エチゴさんが代わりに答えてくれた。
そう言われて、アルの嬉しそうな顔。さすが、エチゴさんだ。
「本当ですか。俺も薬作りの方が向いている気がしていたんですよ。
それに、まだまだ拓が保管している毒の解毒剤作りも残っているしな。」
アルの言葉に反応し、全員が俺の事を見る。
旅をするなら、危険を避ける為にも毒を知っておいた方が良いだろう。
サリナ姫やヨハン王子は何故、自分の食事を見つめている。
俺が毒を盛る真似をするとでも思っているのだろうか。
「そういえば、以前に拓が二日酔いを悪化させる薬を作ろうとしていた話しが有ったよな。」
「有った有った、始めて遺跡を見に行ったエバの町での話しだよな。」
ガラとアルが余計な話しを蒸し返す。
アーク、クリームが自分のグラスと俺を交互に見る。更にはガゼルス将軍まで・・・
「そんな薬は造れていません。大体、有ったとしても、こんな野外で使う訳無いでしょう。」
俺は否定をしたのだが
「造ろうとしたのは本当だったのか。」
「野外で無ければ使う可能性もあるのか。」
ロウガさんとジークさんのボソッと呟いていますが、全員に聞えています。
俺にとって非常に気まずい感じの空気が
「拓でも、そこまでは・・・なぁ。
それよりも、河原の風は気持ちが良いな。
旅の途中で、こんな美味しい物を、こんな野外で食べれるなんて最高の贅沢だ。」
ヨハン王子が無理やり話しを切り替え、全員がそれに乗り雰囲気を変えてくれた。
本当に、俺の事を危険人物の様に見るのは止めて欲しいものだ。
人通りの少ない街道を選んでは露天風呂も用意して楽しい旅だ。
これでも、サリナ姫やヨハン王子の護衛依頼を受けているので、ブルネリ公爵には各町から報告を入れている。
一度、兵士に手紙を見せてもらったが、
「これは何語で書かれているのですか。」
全く読めない。
「他の国の言葉では無く、暗号ですよ。
これから我々が取るルートと目的地が書かれています。」
誰かに読まれる可能性があると言う事か。
俺達の仲間内でも暗号を作ってみるのもカッコいいかもしれない。
「暗号か。まぁ、俺達には面倒なだけで必要無いな。」
必要性の有無では無いのだが、俺の思いはガラによって否定されてしまった。
今夜は川原で宿泊。
丁度良い感じに開けた場所が有ったので、未だ早いが馬車を止めて宿泊の準備。
準備が終わると、クリスティーナさんは馬車へ
最近気が付いたのだが、クリスティーナさんは時間が有れば色々と書き綴っているみたいだ。
珍しく食事の時間になっても馬車から出て来ないので、俺が呼びに行くと
「すっ、すみません。つい書き物に熱中してしまいまして。直ぐに伺います。」
テーブルの上の紙を慌ててしまっていた。
それにしても、何を書いているのだろう。
気になったが、流石に気軽に聞ける相手では無い。
「ジャバの町でもらった料理を少しアレンジしてみた。
面白く出来たから、是非食べてくれ。」
頂いた料理のままだと、申し訳ないが少し物足りなく感じていたので、毎回レオがアレンジをして出してくれる。
醤油やみりん、味噌等を使っているので、何となく和食に近い物が多い。
「レオさん、更に料理の腕が上達したんじゃない。この煮物なんて絶品よ。」
サリナ姫が褒めると浩司が
「確かに、味付けのセンスが良いよな。拓ちゃん、料理の師匠としてはどうなんだ。」
と俺に振って来る。
「確かにね。俺が教えたのは家庭の味だけど、これは料亭の味だよね。
センスもそうだけど、レオは獣人だから味付けが繊細なんだよ。」
「拓、獣人だからって、どういう事なんだ。」
ガラが不思議そうに聞いて来る。もしかして気が付いてないのか。
「獣人全てがそうかは分からないけど、レオの場合俺達より嗅覚や味覚が鋭い。
だから、繊細な味付けや香り付が可能なんだ。
ただ、センスが無ければ意味が無い事だけどね。
アルにしても、感覚が鋭いから薬作りに向いていると思うよ。」
皆が納得する中、
「なら俺も、料理人に適しているのか。」
アルが嬉しそうに言ってくるが、アルの独特なセンスは料理人には向かないと思う。
どう答えれば良いか困っていると
「アルが作ってくれる料理は美味しいですよ。
ですが、薬作りと料理の両方を極めるのは難しいでしょう。
薬を作っている時のアルの顔を見ていると、薬作りの方が向いている気がします。」
エチゴさんが代わりに答えてくれた。
そう言われて、アルの嬉しそうな顔。さすが、エチゴさんだ。
「本当ですか。俺も薬作りの方が向いている気がしていたんですよ。
それに、まだまだ拓が保管している毒の解毒剤作りも残っているしな。」
アルの言葉に反応し、全員が俺の事を見る。
旅をするなら、危険を避ける為にも毒を知っておいた方が良いだろう。
サリナ姫やヨハン王子は何故、自分の食事を見つめている。
俺が毒を盛る真似をするとでも思っているのだろうか。
「そういえば、以前に拓が二日酔いを悪化させる薬を作ろうとしていた話しが有ったよな。」
「有った有った、始めて遺跡を見に行ったエバの町での話しだよな。」
ガラとアルが余計な話しを蒸し返す。
アーク、クリームが自分のグラスと俺を交互に見る。更にはガゼルス将軍まで・・・
「そんな薬は造れていません。大体、有ったとしても、こんな野外で使う訳無いでしょう。」
俺は否定をしたのだが
「造ろうとしたのは本当だったのか。」
「野外で無ければ使う可能性もあるのか。」
ロウガさんとジークさんのボソッと呟いていますが、全員に聞えています。
俺にとって非常に気まずい感じの空気が
「拓でも、そこまでは・・・なぁ。
それよりも、河原の風は気持ちが良いな。
旅の途中で、こんな美味しい物を、こんな野外で食べれるなんて最高の贅沢だ。」
ヨハン王子が無理やり話しを切り替え、全員がそれに乗り雰囲気を変えてくれた。
本当に、俺の事を危険人物の様に見るのは止めて欲しいものだ。
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