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614引率

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5日ほど過ぎた夕方、薬草採取に行ったメンバーが戻ってきた。
ここ数年間で薬草が増えていたみたいで大量に採取してきたらしい。
トムさん達が受けて来た薬草採取の依頼量を考えると、俺が教えた薬と併用すれば1年は持つ量になるらしい。

トムさん達は、直ぐにでも帰りたいみたいだが、移動は明日まで我慢してもらう事にした。
風呂は探索魔法で彼等が戻って来るのを知って埋めてある。
アーク、クリームには悪いが、トムさん達に見せない方が良いとの判断だ。


ジャバに町に着いたらギルド会館に行く予定だったが、門番が俺達を確認すると

「Aランク冒険者のガラ様御一行ですね。
 遺跡周辺の調査結果につきましては、領主様に報告して頂けないでしょうか。
 出来ましたら、このまま領主様の屋敷に向かって頂けると助かります。
 後から、ギルドマスターも伺いますので。」

兵士の2人が駆け出したので、領主とギルドに行ったのだろう
1人が俺達の馬車先頭に立ち、「領主様の屋敷へ案内します。」と言う。
トムさん達がどうしますかとガラに伺うか、ここは従う以外の選択肢は無いみたいだ。

俺達は兵士に引率されて領主の屋敷へと向かったのだが、引率する兵士が歩きなのでゆっくりだ。
領主が対応する為の時間でも稼いでいるのだろうか。

「サリナさんとヨハンは我々の後ろの方で目立たない様にしてください。
 姫と王子に対して変な事はしないと思いますが、知られない方が良い。」

ガラは気を使っているが、今の2人なら完全に平民にしか見えないので大丈夫だろう。
馬車が屋敷に着くと、直ぐにユーケル侯爵の元に案内された。
兵士とトムさん達には馬車で待機してもらう事にした。

「ガラ殿、そして仲間の方々。私がこの町を収める侯爵のユーケルだ。
 なんだ、エチゴ殿、拓殿、浩司殿も一緒なのか。
 戻ってきた早々、屋敷まで来てもらい感謝する。
 ギルドマスターが来たら今回の調査の報告をしてもらいたい。」

そう言っている間に、ギルドマスターが来たので

「出来れば、侯爵とギルドマスターだけに話をさせて頂けないでしょうか。」

ガラの発言に、周囲に居た家臣が何か言おうとするが、その前に

「他の者は、席を外してくれ。話は私とギルドマスターで伺おう。」

ユーケル侯爵が人払いをし、ガラが調査の報告を行った。
賢者が人柱となり、魔道具により魔力が暴走し今回の事件が起こったという推測を話し
遺跡で発見した賢者の本やノート、魔道具を拡張バッグから取り出した。
魔道具は危険だったので、俺が細工をし動かない様にしてある。
この町で崇められている賢者が今回の原因という話を知る者は最低限に抑えたほうが良い。
そして、この様な魔道具の存在も・・・

「賢者様のご遺体はどうした。」

ユーケル侯爵にそう問われ、ジークさんとトムさんが馬車に乗せてある賢者様の遺体を部屋まで運んできた。
2人は遺体に礼をすると、賢者様の日記を読んでいた。

「ご苦労だった。
 賢者様は本当にこの町の者を救おうとしてくれていたのだな。
 賢者様を救ってくれた事、この地に住む者として本当に感謝する。」

ユーケル侯爵はそう言うと、ギルドマスターと一緒に俺達に頭を下げた。

「調査の報酬についてはギルド会館で受け取ると良い。
 賢者様を助けてくれた礼は、私の方で別に用意させてもらう。
 気になるのは盗人の件だな。」

「ユーケル侯爵。もしかすると、数年前に勇者の遺跡で魔道具が発掘されたと言う噂と関係が有るのかも知れません。」

数年前、勇者の遺跡で強力な力を秘めた魔道具が見つかったとの噂が流れた。
4大王国の内のアスラーン王国とグランザムの王国が魔道具を手に入れる為に戦になったと言われている。
丁度その頃、ジャバの町に初めて見る冒険者達が見かけられる様になったらしい。

「多分、その者達の誰かが遺跡に侵入したのだろう。
 マクニス王国からの遺跡調査を断ったというのに、全く何て事だ。
 賢者様のご遺体が傷付かなかっただけでも運が良かった。」

確か俺達がエチゴさんの護衛をして初めて遺跡探索に向かった時、
襲ってきたアンデットがアスラーン王国とグランザムの王国の戦いで無くなった兵士達だよな。
そんな時から闇の魔力が人柱を門として放出されていたのか。

「賢者様のご遺体については、こちらで丁重に埋葬させて頂く。
 遺跡から発掘された品についてだが、こちらで買い取らせて貰えないだろうか。」
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