異世界遺跡巡り ～ロマンを求めて異世界冒険～

583一般市民とは？

一息付ける状態になったが、サリナ姫とヨハン王子が気になる。
自分達がここに来た為に襲われたと落ち込んでいる。
しかし、あの襲ってきたメンバーを考えると、ラグテルの町も無事では無かったはずだ。
そう言っても２人の性格上、気にならないはずがないだろう。

「戻ったら、皆さんは俺達の家に来た方が良いでしょう。
　拓が強化したので、ニックさんの所より十分な警護が出来ます。
　拓、すまないが部屋については考えて貰えないか。」

ガラが提案に俺達は同意するが、サリナ姫とヨハン王子は「これ以上、迷惑は掛けられない」と固辞しようとする。

「２人に何か有れば無視は出来ないですよ。
　それなら、一緒に防御力の高い所に居て貰った方が良い。
　あの家、なかなか頑丈に作ってあります。
　素材にしてもガラスや柱、壁もミスリルを混ぜて強化し、更に俺の魔力をふんだんに染み込ませ・・・」

安心するように俺が家の説明しようとすると、それを遮るように

「そう言う事だから、とりあえず俺達の家に移ってもらってから今後の対応を考えよう。」

ガラがその場をまとめてしまった。

『こう言う時の拓は、少々くどいからな。ガラは良い判断をする。』

グリムの余計な言葉に、浩司とヤマトは頷かないで欲しい。
帰ったら、トリス練成術師と家の強化について話をすることにしよう。
あの人なら、きっと俺の創意工夫を聞いてくれるはずだ。
２人には安心してもらい、話がまとまったと思ったが

「ありがとうございます。ですが私達は直ぐにマクニス王国へ戻りたいと思います。
　ここに居ては、皆に迷惑を掛ける事になります。」

サリナ姫は受け入れ難いみたいだ。しかし、そのマクニス王国の方が危険だった。
毒をばら撒いた貴族の処刑が行われる。
ここにまで襲ってくるのなら、王都で何が起きるのか分からない。
しかし、処刑については話していないみたいだがどうしたものか。

「サリナ姫、襲ってきた者達の目的は私でした。
　全員退治出来ているので、サリナ姫達がここに居るのは我々しか知りません。
　元々、戻る予定でしたので、明日にでも私だけで領地に戻ります。
　皆さん、２人の事を宜しくお願いします。」

「ブルネリ公爵が戻られるのなら、私も」とロダン侯爵も立ち上がる。
更にサリナ姫達も戻ると言う。

「サリナお姉さん、ヨハンさんは残った方が良い。
　ブルネリさんの言う通りですよ。
　２人がラグテルの町に居る限り、敵は居場所も分からず襲ってくることも無い。
　せっかくだから、一般市民の生活を体験してみたら良いですよ。」

俺がせっかく、２人の気持ちを楽にしようとしているのに

「拓。あの家は一般市民の生活とはとてつもなくかけ離れているからな。」
「そうよ。貴族の屋敷と比べても、ずっと凄いのよ。」
「そうね。おまけに、そこら中に有る魔道具も普通じゃないし。」
「料理だって、貴族並だよね。物によっては貴族でも食べられないよ。」
「特にデザートなんて、その代表格だよな。生クリームを普通に食べれる生活なんて、思いもしなかった。」

クリームのメンバーが余計な突っ込みを入れてくる。
ＯＺのメンバーだけでなく、ブルネリ公爵、ロダン侯爵までも笑っている。

が、この笑いのお陰か２人は留まる事に同意した。
ただ、納得は出来ていないみたいだ。