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576ロダン侯爵の息子

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薬草の採取も終わり、ラグテルの町への帰る途中

「サリナお姉さん達は下がって。」

俺の探索魔法に待ち伏せをしている一団、多分人間だろう。
闇魔法で気配を断っているのか、近付くまで気が付かなかった。
その事をバラン将軍に伝えると、直ぐにサリナ姫達を中心にして守りを固める。

「俺達が居る事に気が付いたのかよ。使えねぇ魔道具だな。」

そう言いながら出て来た男は、手に持っていた球体の魔道具を投げ捨てた。

「ブルネリ公爵、我々と来てもらおうか。
 そこに居るのは父上か、サリナ姫にヨハン王子まで一緒とは。
 俺は本当に運が良い。」

その男は、ロダン侯爵の息子だった。
父親のロダン侯爵に毒を盛りの立場を奪おうとし、ラグテルの町で人間至上主義を広めようとした男。
そして、その時に一緒に居たメンバー。

「その女はお姫様か。仕返しをした後で楽しませてもらおうか。」

絵に描いた様なチンピラも出てきたが

「あいつは誰だ。」

俺には全く記憶がない。誰がこんなのと係わったのだろうと思ったが、誰も記憶に無いみたいだ。
誰かと間違えているのではないだろうか。

「覚えてねぇとは言わせねぇぞ。てめぇらの所為で、スラム街から追い出されたんだ。」

その男はジークさんとアークのメンバーを指差していた。

『分かったにゃ。腕試しにもにゃらにゃかった男にゃ。』

ヤマトに言われて思い出した。
スラム街で果樹園で働く事が決まった子供達に盗みを働かせようと脅していたチンピラだ。
ジークさんとアークに簡単に潰されて、坑道送りになっていたのか。
その他大勢が彼等の周りに立っている。全員合わせて10人位

「俺達は新しい力を手に入れた。お前達を倒してやる。」

2人が俺達に向かって叫んでいると、全員が短剣を取り出していた。
人間をハイオーガに変える魔道具の短剣だ。

「ついでに、ラグテルの町もぶっ潰してやるぜ。」

元スラム街のチンピラが叫んでいる時

「ぐわっ」「うぉ~」

気配を消した俺と、ヤマトに気配を消されたガラで魔道具の短剣を持った腕を切り落として行く。
こいつ等がハイオーガに変わるのを待つ必要は無い。
合わせて浩司が魔法攻撃を放ったが弾かれた。

『拓、止まるでない。腕を切り落とすんじゃ。』

浩司の魔法が弾かれた事に驚き、動きを止めてしまった俺にグリムが叱咤する。
魔法が駄目なら、剣で潰せば良い。
スラム街の屑の腕を切り落とそうと剣を振り上げたが、体ごと吹っ飛ばされた。
同じ様にロダン侯爵の息子に襲いかかったガラとヤマトも吹っ飛ばされていた。

「なっ、何が起きたんだ。」

『しっかりするんじゃ、奴等の周囲に魔力の壁が出来ておるんじゃ。』
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