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569見た目重視

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ナターシャの件も有るが、5日間の冒険者としての活動、2日間の特訓と今まで通りの生活をすることにしたのだが

「今日はギルドの依頼は中止だね。」

昨夜、地下庭園で睡眠をとるはずだった方々は、朝まで起きていたみたいで只今睡眠中。
護衛の兵士も寝不足のようだ。
部屋で寝るのに小さい青白い光にしたのだが、夜空の中に居る様な感じに興奮して寝付けなかったらしい。
そんな中、クリスティーヌさんだけが朝からテキパキと仕事をしていた。

俺達も護衛を引き受けているので、流石に出かける訳にはいかないだろう。
今日は雨も降っているので、休む口実が出来て良かったのかも知れない。
この空いた時間を使って、気分転換にこの間手に入れたラッターの毛皮に練成術使い金色の毛皮に変えてみる事にした。

『毛皮の細胞を活性化させる感じじゃろう。
 練成術で光の魔力を練り込むようにすればいいはずじゃ。
 少しづつ魔力を流し、十分に浸した所で一気に弾けさせるのじゃが、この魔力加減が難しいらしい。
 弱いと変化せず、強すぎると黒く変色してしまう。
 加減方法は術者次第じゃ。実際にやって、試すしかなかろう。』

意外とアバウトだ。
それにしても、グリムの記憶力には感心してしまう。体が本になると記憶方法が違うのだろうか。

少しづつ魔力を流して、浸透したところで、パッと弾けさせると・・・
見事に真っ黒な毛皮に変身した。
魔力量が多過ぎたらしい。

『灰色よりは綺麗かもしれにゃいが、我輩の艶のある毛並みの方が綺麗にゃ。』

ヤマトが言う通り、美しさ的にはイマイチだな。
練成術を使い毛を柔らかく出来たので、保温としては使えそうだ。
数枚黒くして、やっと金色の毛並みに成功した。

「意外と魔力量の調整が難しいな。金色になる魔力量の幅が狭すぎるだろう。」

『じゃからこそ、希少価値なんじゃろう。しかし、面白いものじゃな。』

手に入れたラッターの毛皮53枚中13枚を金色にすることが出来た。

『これをどうするんじゃ。』

「俺が持っていても使い道が無いから、欲しい人にあげるよ。」

『しかし、こんにゃのを欲しがるのか?
 練成術で柔らかくにゃったけど、もっと触り心地の良い暖かいのを持っているにゃ。』

ヤマトの言う様に、確かに既に持っているコートやマフラーの方が触り心地もよく、暖かい。
それに、生地もしっかりしていて魔法防御力も高い。
それに比べて、ラッターの毛皮は金色なだけだ。

「要らなければ売ってしまえば良いよ。」

しかし、そんな心配をする必要は無かった。
毛皮をジェニファーさん、ロビンさんに見せると

「「買うわ」」

即答だった。女性は、実用的より見た目を重視するのだろうか。
ギルドの依頼を受けて手に入れた物なので欲しい人で分けてもらい、俺の手数料代わりに失敗し黒くなった毛皮で孤児院と工場の人達用にマフラーを作ってもらうようにお願いした。
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