異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
上 下
552 / 761

552笑えないわよ

しおりを挟む
******(サリナ姫)

早速、その日の夜にお風呂に入りにガラさんの家・・・倉庫に行ったけど

「これって、一体なんなの。」

中に入ると大理石で出来た広いエントランス。夜なので分かり難いけど天井はガラスみたい。
壁には、ロダン侯爵領の子供達が作った風景が彫られた木の絵が飾ってあり
周囲には、同じくロダン侯爵領で作られた陶磁器や拓ちゃんが作ったと思われるガラス細工が飾られ明りが当てられている。
シンプルで上品な作り・・・本当に個人の家なのかしら。

バラン将軍も少し呆然としていたが、直ぐに家の間取りを聞いて兵士の方々に指示を出していた。
暫くエントランスを見せてもらってからお風呂に入ったけど・・・
ガラスで出来た風景が広がり、あまりにも繊細な作りに思わず見入ってしまう。
設置されている魔道具も初めて見るものばかり、お湯の出てくるシャワー、最近付けたというジェットバスは背中や腰に気持ち良い水圧が掛かる。

「はぁ、これは気持ちいいわ。こんなお風呂をどうやったら考えられるのかしら。
 これは、入りに来る価値が有るわね。」

寛ぎながらガラスの景色を見ていると、思わず長湯になってしまった。

脱衣所には温かい風の出るドライヤー、火照った体を冷ます送風機。
普通に置いてあったウチワですら魔力を流せば風を冷たくする魔道具だった。

「予想を超える凄さね。驚きを超えて呆れてしまうわ。」

本当に、拓ちゃんがやりたい放題した結果の家って感じがする。

「それ、私達も同じ事を思った。
 魔道具にしても、こんな使い方なんてもったいなくて普通は出来ないわよ。
 そもそも、こんな発想自体が無いでしょ。」

「この家に居ると、価値観がずれるから気を付けた方が良いわね。
 慣れてしまうと、笑えないわよ。」

ロビンの「笑えない」という感覚は分かる気がする。
この家の便利さは普通では無いと思う。
これに慣れてしまうと、元の生活に満足する事は出来なくなるだろう。

「今日一日で、驚き疲れました。既に私の価値観が崩壊していますね。
 トリスと一緒に生活をしていて耐性が付いたと思っていたけど、この家は想像すら出来なかったわ。」

ヨーコさんも、呆れているみたい。

「でも、魔道具や設備は凄すぎるけど、拓ちゃんの事だからもっと常識から外れているかと思った。」

そういう私に、3人は何とも言い難い表情をしている。
私の感覚って皆とずれているのかしら。
なかなか無い機会だから、自分の常識のズレを直していった方が良さそうね。


男性陣とお風呂を交代し、居間に移動するとジェニファーが飲み物を出してくれる。

「お風呂上りには、これよ。拓ちゃんと浩司さんのお勧め。」

受け取ったのは冷たいガラス瓶に入った飲み物。

「これは?」
「フルーツ牛乳。こうやって飲むのよ。」

ジェニファーが腰に手を当て、美味しそうに一気に飲んでいた。
私も真似て同じように飲むと、

「サリナ、その飲み方は止めた方が良いと思うわ。女性でやるのはジェニファーだけよ。」

ロビンに笑いながら注意された。
それにしても、本当に美味しい。こんなのが普通に飲めるなんて羨ましい。
しかし、私達はこうして楽しんでいるが、

「警備をしてくれている兵士の方々にも飲み物を出してもらえないかしら。」

一緒に行動してきた者達が気になって聞いてみると、既に飲み物とクッキーが配られていた。
立ったままでは大変だろうと、各場所に椅子とテーブルまで用意してある。
おまけに、警備の交代に合わせてお風呂を使う許可をもらい、夜食にとカレーライスまで用意するそうだ。
私達と入るのを遠慮したクリスティーヌも後でお風呂を使わせてもらうらしい。

この辺が、OZが関わる仕事だと参加したがる騎士が殺到する理由なのだろう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界をスキルブックと共に生きていく

大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

処理中です...