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548格好良くて可愛い
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ラグテルの町に戻ると、カレー工場やカレー専門店、果樹園の確認をさせてもらった。
カレー専門店は既に内装も出来上がり、開店を待つだけとなっている。
料理人として働いてもらうルミナスは店の2階に引越を終え、大工達へ提供するカレー作りを店で行っていた。
残った建物はカレー工場となるが、予定通りに作られている。
果樹園の方も、多くの木が植えられ、春になったタイミングで残りの木が一斉に植えられる様に土の準備は終わっている。
ニックさんのお陰で、全てが問題なく進んでいる。
今日は冒険者としての仕事は休みなので、皆と特訓を行った後は部屋で練成術で物作りをしている。
「襲われたのを忘れる位、平和だな。」
「拓ちゃん、どうした。」
俺のつぶやきに浩司が聞いてくる。
「ラグテルの町にいると、平穏な日常が続くと思って。」
「その割には、空いた時間は常に何か作っているよな。大丈夫か。」
「このまま、何も起こらなければ楽なんだけどね。
ナターシャ達の対策以外にも、色々と手を出しているから。
正直、こんなに大変になるとは思ってなかった。」
この世界の人達が使える技術の範囲で物作りをしている。
広めているのは、既にある技術の応用でしかない。
直ぐに手伝う必要がなくなると思っていたが、この状況は予想外だ。
「拓ちゃんって凄いよな。普通は、核となる技術は隠しておいて、他に真似できないようにすると思うけど。」
「特別な技術は使っていないからね。それでも、十分に儲けたよ。
ただ、それほど金の使い道が無いのが残念だけど。」
元の世界のように常に新商品が有る訳でもなく、特別な物でなければ自作品の方が良い。
実際に、この家に有るものなんて俺が作った物ばかりで購入品は殆ど無い。
「全ての件も片がついたら、拓ちゃんはどうするんだ。」
「優雅に遺跡と食の旅行をするに決まっているじゃないか。
町に出てきてから、一介の冒険者に対して過度の出来事が発生し過ぎなんだよ。
大体、闇組織と戦うなんて、過剰な設定だと思わないか。」
サリナ姫やヨハン王子が誘拐され、トムさんを初め仲間が大怪我をしている。
こんな危険な状態は要求していない。
少しでも安全になれるように、出来る対策は打っておきたい。
俺の顔を眺めていた浩司が、
「拓ちゃん、気分転換を兼ねて2人で出かけようぜ。」
誘ってくれると、すかさずヤマトが
『それは良いにゃ。我輩は、ハングライダーで空の散歩に行きたいにゃ。』
2人だけのデートはお預けか。
直ぐにハングライダーに乗って、まだ雪の残る白銀の世界を空から見ていた。
「気持ちいいな。」
「拓ちゃんは、1人で頑張り過ぎなんだよ。一気に山まで飛ぶぞ。」
誰も踏み入れていない真っ白な雪の上に寝転んで真っ青な空を見上げていると
「なぁ、拓ちゃん。俺に魔道具を作ってくれないか。
悔しいが、今の俺ではオリジナル・グリムやブライに勝てない。」
浩司は起き上がり、俺をしっかりと見て言った。
浩司がこんな事を言うなんて珍しい。
「拓ちゃんが技術で皆を守るなら、拓ちゃんは俺が守る。」
何で浩司は、こんな言葉をさらっと言えるのだろうと思って見ていたら、照れたみたいで視線を逸らした。
《浩司って、格好良くて可愛い過ぎる》
多分、俺は酷くニヤケた顔をしていただろう。
カレー専門店は既に内装も出来上がり、開店を待つだけとなっている。
料理人として働いてもらうルミナスは店の2階に引越を終え、大工達へ提供するカレー作りを店で行っていた。
残った建物はカレー工場となるが、予定通りに作られている。
果樹園の方も、多くの木が植えられ、春になったタイミングで残りの木が一斉に植えられる様に土の準備は終わっている。
ニックさんのお陰で、全てが問題なく進んでいる。
今日は冒険者としての仕事は休みなので、皆と特訓を行った後は部屋で練成術で物作りをしている。
「襲われたのを忘れる位、平和だな。」
「拓ちゃん、どうした。」
俺のつぶやきに浩司が聞いてくる。
「ラグテルの町にいると、平穏な日常が続くと思って。」
「その割には、空いた時間は常に何か作っているよな。大丈夫か。」
「このまま、何も起こらなければ楽なんだけどね。
ナターシャ達の対策以外にも、色々と手を出しているから。
正直、こんなに大変になるとは思ってなかった。」
この世界の人達が使える技術の範囲で物作りをしている。
広めているのは、既にある技術の応用でしかない。
直ぐに手伝う必要がなくなると思っていたが、この状況は予想外だ。
「拓ちゃんって凄いよな。普通は、核となる技術は隠しておいて、他に真似できないようにすると思うけど。」
「特別な技術は使っていないからね。それでも、十分に儲けたよ。
ただ、それほど金の使い道が無いのが残念だけど。」
元の世界のように常に新商品が有る訳でもなく、特別な物でなければ自作品の方が良い。
実際に、この家に有るものなんて俺が作った物ばかりで購入品は殆ど無い。
「全ての件も片がついたら、拓ちゃんはどうするんだ。」
「優雅に遺跡と食の旅行をするに決まっているじゃないか。
町に出てきてから、一介の冒険者に対して過度の出来事が発生し過ぎなんだよ。
大体、闇組織と戦うなんて、過剰な設定だと思わないか。」
サリナ姫やヨハン王子が誘拐され、トムさんを初め仲間が大怪我をしている。
こんな危険な状態は要求していない。
少しでも安全になれるように、出来る対策は打っておきたい。
俺の顔を眺めていた浩司が、
「拓ちゃん、気分転換を兼ねて2人で出かけようぜ。」
誘ってくれると、すかさずヤマトが
『それは良いにゃ。我輩は、ハングライダーで空の散歩に行きたいにゃ。』
2人だけのデートはお預けか。
直ぐにハングライダーに乗って、まだ雪の残る白銀の世界を空から見ていた。
「気持ちいいな。」
「拓ちゃんは、1人で頑張り過ぎなんだよ。一気に山まで飛ぶぞ。」
誰も踏み入れていない真っ白な雪の上に寝転んで真っ青な空を見上げていると
「なぁ、拓ちゃん。俺に魔道具を作ってくれないか。
悔しいが、今の俺ではオリジナル・グリムやブライに勝てない。」
浩司は起き上がり、俺をしっかりと見て言った。
浩司がこんな事を言うなんて珍しい。
「拓ちゃんが技術で皆を守るなら、拓ちゃんは俺が守る。」
何で浩司は、こんな言葉をさらっと言えるのだろうと思って見ていたら、照れたみたいで視線を逸らした。
《浩司って、格好良くて可愛い過ぎる》
多分、俺は酷くニヤケた顔をしていただろう。
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