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527サプライズパーティ

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バラキエ侯爵はパレードが終わった後マクニス王国に帰られ、何時もどおりの年末年始を過ごしている。
年末恒例となった餅つき、御節作りを行い、屋根の上で皆で初日の出を拝んだ。
ブルネリ公爵からお年玉をもらった後、ヤマトに耳に付けるタイプの魔道具を渡す。

「これは俺からヤマトにお年玉。
 浩司の持っているのと同じ雷の魔法攻撃を1点に集約する魔道具。」

『吾輩が貰ってもいいのにゃ。本当に嬉しいにゃ。』

所有者の縛りを行い、喜んでいるヤマトの耳に早速取り付ける。

「暫くは、魔道具に魔力を流して慣れさせておいて。
 場所を選んで魔道具を使ってみようか。」

俺の話を聞いているのか分からない位、ヤマトが浮かれていた。
一応、俺の居ない所では使わない様に念押しをしたが少し心配になってしまう。


広間でブルネリ公爵からの正月の挨拶が終わると、今年はカイとトーマスが14歳になると言う事で、サプライズパーティに突入。
驚いている2人に、皆からプレゼントが渡される。
女性からは旅立つ為の服を、男性は大人の仲間入りを祝う酒をプレゼントされた。
他にもブルネリ公爵とバラン将軍からは剣を、俺からは兵士達で行う武術大会の優勝賞品でもある5得セットの魔道具をプレゼントした。

「こんなに素敵なプレゼントを、ありがとうございます。」
「僕までもらえるとは思ってもみませんでいた。ありがとうございます。」

その後、ブルネリ公爵やバラン将軍だけでなく、サリナ姫やヨハン王子からまでお酒を注がれていたが

「やっぱり、ジュースの方が美味しいかな。」
「何で、大人はこんなのを飲むのかな。」

2人の素直な感想に、周りが大笑いしていた。
パーティも盛り上がり、次の日の2人は人生初の二日酔いになっていた。


そして年明け早々の武術大会が開かれたが、何時もなら治療の手伝いをして適当に見ていたのに、今年は初めに俺とガゼルス将軍が戦う。

「頑張れよ。拓ちゃんに金貨10枚掛けたからな。」

浩司が指し示す方を見ると、ヨギ魔道師が賭けを募っていた。

「俺達も拓に掛けたから、途中で戦うのを辞めるなよ。」

OZだけでなくアーク、クリームのメンバーまで・・・辞めて欲しい。
リチャード魔道師やハンナさんまで賭けをしている。
ブルネリ公爵がやってきたので親として止めるかと思ったが、同じ様に賭け金を払うと

「息子と娘はガゼルス将軍に掛けていたみたいだが、私は拓殿に掛けたからな。」

戦う前から疲れてしまったが、仕方がない。
努力はするが、負けても責任は取らないぞ。
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