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524グランザムの雷神

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ブルネリ公爵、サリナ姫達が参加するパレードまで警備を手伝ってくれている貴族の私兵は、優秀な人達だと聞いている。
だがノリが体育会系で、脳筋なのではないかと疑ってしまう。

点灯式が終わった次の日から、良い機会だと言って相手を変えながら打ち合いを始めた。
更に、バラン将軍とガゼルス将軍が訓練場に現れ兵の訓練相手をすると、異常な盛り上がりとなっている。
貴族の私兵の集まりなので、俺達は参加せずに姿を消してサリナ姫やヨハン王子と一緒に訓練を観察させてもらっていた。

「本当に、凄く強い人達が集まってくれているのね。」
「ここまで来ると、精鋭と言えるだろう。」

パレードで彼等が守ってくれると分かれば、少しは安心してくれてくれるだろう。
それにしても、強化魔法を使ってもいないのに、人間離れした動きをする。

「皆凄いけど、バラン将軍とガゼルス将軍が、ずば抜けているな。
 バラン将軍は知ってたけど、ガゼルス将軍も凄いね。」

俺がそう言うと、ヨハン王子が驚いていた。

「拓は知らないで今まで会っていたのか。
 ガゼルスはグランザムでは雷神と呼ばれ、国ではバラン将軍と同等の立場だな。」

そんなに凄い人だったとは知らなかった。

「ガゼルス将軍はヨハンさんにずっと付いていますが、グランザム王国の騎士団は大丈夫なんですか。」
「将軍と言っても騎士団は他の将軍が引き継いでいる。
 ガゼルスは退役を望んだが国が彼を引きとめるので、俺の警護として国から出て来たんだ。」

上の立場になると面倒事が増えそうだからな。
辞めたくても辞められないなんて、優秀なのも大変だ。

「そう言えば、拓ともう一度、再戦したいと言ってたぞ。
 拓のお陰で、魔力感知が上がったから試したいそうだ。」

あれだけ俺が気配を消しても完全に感知しているにも関わらず、何を試すつもりだろう。

『これは拓にとっても良い機会じゃ。
 ヤマトから教わった技と拓が新しく考えた技が効くか試してはどうじゃ。』

『吾輩が教えた技がどれだけ使えるか楽しみにゃ。』

闇の魔力を使った、2種類の気配の消し方。
自分を覆い隠すのと、周囲に溶け込ませる方法を切り替えるのに一度姿を表してしまうのを、同時に行う事で姿を消したまま切り替える技。
ヤマトから教わったこの技を試してみるのも良いだろう。
しかし、試合をするにしろパレードの後の話だ。
今は、いざという時の為に無理はしない。


バラキエ侯爵の方はと言うと、何度も屋敷を抜け出し町中を歩きまわっていた。
何度も後を付けてみたが、何もせずに屋敷に戻ってきている。
初めの頃は、何かを探すかの様に動いているみたいだが、今は只の見周りをしているだけの様だ。
俺達の気付かない所で探していた物でも見つけたのだろうか。
それとも、パレードを妨害する奴等と連絡が付いたとか。
とにかく目的は達成されたと思って間違いないだろう。
しかし、この事をブルネリ公爵に話をしてみたが、「そうか」と1言だけだった。
何も問わなかったが、2人の間に何か有るのだろうか。
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