514 / 759
514料理人
しおりを挟む
その後、果樹園に寄ってみるとカーンさんの指示で子供達が一生懸命働いている。
小さい子も、自分に出来る事をしている。
既に木も植えられているのだが、想像していたのと違い立派な木だ。来年から収穫を見込めるらしい。
働いている様子を見ながら、美味しい実を付ける様に地中に木の魔力を染み込ませる。
お昼に合わせて寄宿舎に戻ると、台所で昼の準備がされていた。
ニックさんが、カーンさんの奥さんと一緒に居る人を紹介してくれた。
「こちらは料理人仮採用中のルミナスさんです。」
カレー専門店の料理長になるジャンさんの友人が女性だったとは驚きだ。
ジャンさんと2人で店の2階で生活をする。独立した部屋をそれぞれ用意したが、
「もしかして、ルミナスさんはジャンさんの恋人なんですか。」
一応、オーナーとして確認する為に聞いてみると、ルミナスさんは笑いながら
「私にとってジャンは友人です。
先に言っておきますが、私、心は女なんですが体は男なんです。
ジャンは好きですが、恋愛対象にはなりません。」
この人、男性だったのか。本当に可愛らしい人だな。
恋愛対象で無いと言っても、一緒に暮らすジャンさんの方が手を出さないか心配になってくる。
同意の上でなら全く問題はないが、一方通行だとすると・・・ジャンさんにはそれとなく話をしておいた方が良いな。
子供達が手を洗い席に着くと、直ぐにルミナスさんとカーン夫人が3種類のカレーにバター風味のナンを合わせを出してくれる。
「「「美味しい」」」
ルミナスさんの料理は繊細で美味しかった。全て食べ終わると
「オーナー、どうでしたか。私は合格でしょうか。」
先程とは違い緊張した感じで聞いて来る。
「十分美味しいです。これから宜しくお願いします。」
そう答えると、
「本当に・・・見た目で断られると思っていました。
ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします。」
ルミナスさんに抱きつかれてしまった。
同性愛好者の俺から見れば、トランスジェンダーが問題になるわけが無い。
そもそも、その事で否定するような人が居るのなら、その人の方がここに居て欲しくない。
「一番重要なのは料理人としての腕ですから。
それに、仕事としてジャンさんと気が合って、性格も問題なさそうですし。
誰に迷惑を掛けているわけでもないのに、心と体の性の不一致だからと言って断る理由になる訳無いですよ。」
ルミナスさんが、そう言った俺を不思議そうに見ている。
「オーナーは変わっていますね。
ジャンに本気でここで働きたいと思ったら、オーナーとは普段の自分のままで会うように言われていましたが
本当に、こんな私を受け入れてくれるとは思いませんでした。」
やはり、色々と苦労したんだろうな。
寄宿舎の子供達には「ルミナスお姉ちゃん」と呼ばれていた。
「もっと自分の事を好きになっても良いと思いますよ。
それどころか、こんなに美味しい料理を作れるなんて凄いじゃないですか。
俺の事は拓で良いです。オーナーって柄ではありませんから。
でも、俺に惚れるのは駄目ですよ。もう好きな人が居るので。」
少し場を和ませようと最後に一言付け加えたのだが、ルミナスさんは固まってしまった。
他のメンバーからは「何言っているんだ、こいつ。」と言わんばかりの視線。
誰もが無言になってしまった中、ガラが咳ばらいをし
「まぁ、ルミナスさんの個性は少し独特だが、何も問題ないだろ。
逆にこっちには、個性と言っていいのか分からない程の危険な変り者が居るから気を付けてくれよ。
色々と巻き込まれると思うが、呆れずに付き合ってやって欲しい。」
誰の事を言っているのか理解できない事を言い出した。
他のメンバーが俺の事を見て頷いているのはどういう事だろうか。
特に偏見が無いなら気にするのは止めておこう。
ただ、浩司まで俺を見るのは止めて欲しかった。
小さい子も、自分に出来る事をしている。
既に木も植えられているのだが、想像していたのと違い立派な木だ。来年から収穫を見込めるらしい。
働いている様子を見ながら、美味しい実を付ける様に地中に木の魔力を染み込ませる。
お昼に合わせて寄宿舎に戻ると、台所で昼の準備がされていた。
ニックさんが、カーンさんの奥さんと一緒に居る人を紹介してくれた。
「こちらは料理人仮採用中のルミナスさんです。」
カレー専門店の料理長になるジャンさんの友人が女性だったとは驚きだ。
ジャンさんと2人で店の2階で生活をする。独立した部屋をそれぞれ用意したが、
「もしかして、ルミナスさんはジャンさんの恋人なんですか。」
一応、オーナーとして確認する為に聞いてみると、ルミナスさんは笑いながら
「私にとってジャンは友人です。
先に言っておきますが、私、心は女なんですが体は男なんです。
ジャンは好きですが、恋愛対象にはなりません。」
この人、男性だったのか。本当に可愛らしい人だな。
恋愛対象で無いと言っても、一緒に暮らすジャンさんの方が手を出さないか心配になってくる。
同意の上でなら全く問題はないが、一方通行だとすると・・・ジャンさんにはそれとなく話をしておいた方が良いな。
子供達が手を洗い席に着くと、直ぐにルミナスさんとカーン夫人が3種類のカレーにバター風味のナンを合わせを出してくれる。
「「「美味しい」」」
ルミナスさんの料理は繊細で美味しかった。全て食べ終わると
「オーナー、どうでしたか。私は合格でしょうか。」
先程とは違い緊張した感じで聞いて来る。
「十分美味しいです。これから宜しくお願いします。」
そう答えると、
「本当に・・・見た目で断られると思っていました。
ありがとうございます。こちらこそ宜しくお願いします。」
ルミナスさんに抱きつかれてしまった。
同性愛好者の俺から見れば、トランスジェンダーが問題になるわけが無い。
そもそも、その事で否定するような人が居るのなら、その人の方がここに居て欲しくない。
「一番重要なのは料理人としての腕ですから。
それに、仕事としてジャンさんと気が合って、性格も問題なさそうですし。
誰に迷惑を掛けているわけでもないのに、心と体の性の不一致だからと言って断る理由になる訳無いですよ。」
ルミナスさんが、そう言った俺を不思議そうに見ている。
「オーナーは変わっていますね。
ジャンに本気でここで働きたいと思ったら、オーナーとは普段の自分のままで会うように言われていましたが
本当に、こんな私を受け入れてくれるとは思いませんでした。」
やはり、色々と苦労したんだろうな。
寄宿舎の子供達には「ルミナスお姉ちゃん」と呼ばれていた。
「もっと自分の事を好きになっても良いと思いますよ。
それどころか、こんなに美味しい料理を作れるなんて凄いじゃないですか。
俺の事は拓で良いです。オーナーって柄ではありませんから。
でも、俺に惚れるのは駄目ですよ。もう好きな人が居るので。」
少し場を和ませようと最後に一言付け加えたのだが、ルミナスさんは固まってしまった。
他のメンバーからは「何言っているんだ、こいつ。」と言わんばかりの視線。
誰もが無言になってしまった中、ガラが咳ばらいをし
「まぁ、ルミナスさんの個性は少し独特だが、何も問題ないだろ。
逆にこっちには、個性と言っていいのか分からない程の危険な変り者が居るから気を付けてくれよ。
色々と巻き込まれると思うが、呆れずに付き合ってやって欲しい。」
誰の事を言っているのか理解できない事を言い出した。
他のメンバーが俺の事を見て頷いているのはどういう事だろうか。
特に偏見が無いなら気にするのは止めておこう。
ただ、浩司まで俺を見るのは止めて欲しかった。
13
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果
kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。
自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。
魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界を服従して征く俺の物語!!
ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。
高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。
様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。
なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる