異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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506身の程を知る

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「楽しい祭りだったな。」
「本当に楽しかった。屋台の料理も美味しかったし。」

それよりも、浩司と一緒に回れたのが一番楽しかった。
浩司が俺をかまう様になってから、女性が遠慮して2人だけで楽しめた。

『吾輩としては、もっと食べたかったにゃ。面白い味付けも有って楽しめたにゃ。』

『レオとルドルフ料理長が教えた料理を色々と発展させておるみたいじゃな。
 1年で、なかなか面白い事になっているじゃないか。』

2人だけでなく、グリムとヤマトが一緒だったが…

部屋に戻り浩司と風呂に浸かりながら祭りの感想を話していた。
ヤマトも、風呂の淵に前足を掛けて浸かっている。
それにしても、恋人と一緒にライトアップされた湖や城を見ながらの風呂って色んな意味で良いな。

残り2日のリゾートライフも終わり、明日は帰宅だ。
俺達が絵を描いたマグカップも出来上がり、食後に自分達のマグカップを使ってお茶を飲んでいる。
皆、自分の絵の出来に満足しているみたいだ。

サリナ姫とヨハン王子の関係は、少しは進んだみたいだが先は長いのかな。
頑張れ、ヨハン王子。

その日の夜、ヨギ魔道師が俺の泊っているコテージにやって来た。

「遅くに悪いな。どうしてもロダン侯爵領の復活に助力してくれた事に礼を言いたくてな。」

そう言って、ヨギ魔道師はアイテムボックスから雷と氷の魔道結晶を取り出した。

「ここまでしてれくたお礼だ。受け取って欲しい。」

俺が対応に困っていると

「受け取るだけの十分な事をしている。それに、私が持っているより有効な使い方をするだろう。」

雷の魔道結晶はヤマトの放出する雷を収束させる魔道具に使えるので助かるが、氷の魔道結晶は何もイメージが思い浮かばない。
浩司の魔法の強化も良いが、リッチから貰った光と闇の魔法強化程の魔法陣は俺に描く事も出来ない。
何か有効な魔道具を考え付くまで、アイテムボックスの肥やしになるだけだな。

しかし、何故ヨギ魔道師はここまでロダン侯爵領の事を気にするのだろうか。

「私が、ロダン侯爵領の事を気にするのが不思議か。」

何時もの事ながら、考えていた事が顔に出ていたみたいだ。

「グリム大魔導師を目指し、無茶をして死にそうになった所を先々代の侯爵に命を助けられた。
 子供のころから神童と呼ばれ、自分の力を過信し過ぎたんだな。
 怪我が癒えるまでここで世話になり、身の程を知った私は宮廷魔導師になったんだよ。
 以前、宮廷魔導師を勧めてしまったが、2人ならグリム大魔導師を目指せるぞ。
 その気になったら言ってくれ。助力は惜しまん。」

身の程を知って、宮廷魔道師か。いったいこの人の中でグリムの立ち位置はどうなっているのだろう。
グリム大魔導師を目指して、その道の先は何処に続いているのか考えているのだろうか。
俺のアイテムボックスの中で、その本人が

『どちらかではなく、2人に我が名を継がせるのも良いかも知れんな。』

と迷惑な事を言い始めているし・・・名を継ぐなら、もっと安全な名前にして欲しい。
陰ながら支えるので、この師匠の名前は浩司に譲りたい。
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