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494顔に出る

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「OZさえ良ければ、今回の功労者として国王に紹介したいと考えているがどうだ。」

そう話すブルネリ公爵に、ガラが

「お言葉は嬉しいのですが、辞退させて頂いても良いでしょうか。本当に嫌がるメンバーも居ますので。」
「その様だな。それにしても分かり易い。」

ブルネリ公爵とガラは俺を見て笑い始めると、バラン将軍とオリバー隊長まで笑いだしてしまった。
確かに面倒だとは思ったが、顔に出ていただろうか。
サリナ姫が人と獣人を同等に扱う事で立場が悪くなるなら、王に会うのは面倒事が増えるだけだろう。
俺は止めさせてもらうが、他のメンバーは良いのだろうか。

「拓が行きたくないなら、別に必要無いと思うぞ。
 結局、俺達はお前達のサポートをしていただけだからな。」

ガラの言葉に他のメンバーも頷いているが、どちらかと言うと俺の方が皆に依存していると思うが。
特に、残念がっていないみたいなので、良しとしておこう。ただ

『会って、何時までも貴族の馬鹿どもを野放しにするなと言ってやればいい。
 その場に、その馬鹿貴族も居るだろうから徹底的に叩きつぶしてはどうじゃ。』

グリムだけが別の意味で王との面会を望んでいた。

そんな事より、王の木と王妃の木の事が気になり、ブルネリ公爵に聞いてみると
どちらも特別な木で、王の木に成る実は中にたっぷり蜜が溜まり
王妃の木になる果実は果物の女王と言われている。
しかし、どちらも市場には出回らず、貴族でも食べた事の無い人が少なくない。

「果樹園を作っているので丁度良いじゃないか。
 ニックに話を通してあるので、良い場所を確保してあるはずだ。」

実際に植えるだけでは実は殆ど付かず、木属性の魔力を持つ専任の庭師が居て初めて実を付ける。

「専任の庭師が居ても数個も実を付ければ良い方だ。
 しかし、トレントを引きつけるだけの木属性の魔力に、木属性の魔力に変換する魔道具が有れば話が違う。」

そう言うと、王の木と王妃の木の育て方を書いた紙を渡された。

「私も数えるほどしか食べた事が無くてな。」

ブルネリ公爵が俺の目を見て話してくる。これは期待されているよな。
自分が食べる為に俺に木を贈呈したと言う事は無いだろうか。
しかし、こんな特別の木や魔道結晶をどうやって手に入れたのかと伺うと

「木は今回の功績に対する私の褒美として、入手する伝手をお願いした。
 木の魔道結晶は、騎士団の功績に対する褒美だ。
 皆で話し合った結果でこうなった。」

自分達への褒美を、俺達に回すなんて。

『これは責任重大じゃな。ここまで期待されて実がならなかったら悲しいぞ。」

『甘い蜜と果物の女王だにゃ。
 拓の魔力を全て注ぎ込んでも実を育てるのにゃ。
 吾輩達が食べる分と、配る分が必要にゃ。』

グリムはプレッシャーを掛けないで欲しい。
ヤマトはプロでも数個しか出来ない実に期待を込め過ぎない方が良いだろう。
ブルネリ公爵の所で育ててもらえないかと考えていると

「拓ちゃん、期待されているな。ここは頑張り所だ。」

浩司が逃げ道を塞ぐとは思わなかった。仕方が無い、諦めて俺達が木を育てるしかないか。
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