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489変装

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宿舎にはカーン夫婦も引っ越してきて、子供達もしっかり働いてくれている。
カレー工場や店の方も、あの棟梁に任せておけば大丈夫だ。
義手、義足も冒険者のお陰で、町での認知度が上がり、特に問題は発生していない。
これで心置きなく、ロダン侯爵領のリゾートホテルに行く事ができる。
自業自得だが、手当たり次第に手を出し過ぎて忙し過ぎる。少しノンビリしても良いだろう。


皆に暫く町を離れる事を伝えて、ロダン侯爵領に向かった。
ニックさんやサリーは、孤児院の教育が有るので、今回も来ない。
木工細工のお土産を期待して待っていてもらう。

ピース医師とトリス練成術師が馬車を用意してくれた。
護衛依頼と、レオの料理代を払うと言ってパウロさんとヨーゼフさんも一緒にマクニス王国へ移動する。

マクニス王国で3日滞在し、サリナ姫やバラン将軍達と合流する予定だ。
ガラとはマクニス王国で合流する。
俺達も嬉しいが、レオが最も嬉しいのかもしれない。
大量に作り上げている料理は全てガラの好物ばかり。

最近は、マクニス王国とラグテルの町を結ぶ街道も人が多くなった。
その中、皆が乗って楽しんでいる自転車は注目の的だ。
パウロさんとヨーゼフさんまで自転車を持って来ていた。
マクニス王国で、パウロさん、ヨーゼフさんの店、バラン将軍の部隊の人が使っている話は聞いているが実物を見た事が無い人も多い。
テントを張って泊る時には、自転車を見せて欲しいと言う人が多く寄ってきた。
そして、俺達の中にトリス練成術師が居るのを見て納得している。

「自転車も広まりそうですね。拓さんは、本当に練成術師としての名誉は要らないのですか。」

周囲の視線を受けて困っているトリス練成術師が俺に聞いてくる。

「俺の我儘に付き合わせて、申し訳ありません。やはり、俺の事は仲間内だけに留めておきたいです。」

目立つと面倒だと言うのが一番だが、俺が開発した技術でもない。
俺としては技術が広まって、普通に使える様になるのが一番だ。
トリス錬成術師の名前なら、俺よりも信用されて広めやすい。


何事も無くマクニス王国に着くと、俺達はバラン将軍の兵士達の寄宿舎に行ったがガラの姿が見えない。
兵士に話を聞くと、女性とギルドで依頼を受けているらしい。

「ガラに女が出来たのか。」「どんな女性だ。」「綺麗なのか、可愛いのか。」

教えてくれた兵士も実際に見た事は無いみたいで、皆からの質問に答えられずにいる。
これは見に行くしかないな。
そうと決まれば、全員でギルドで、依頼から戻って来るガラを待ち伏せる事にした。
ピース医師やトリス練成術師、カイやレムは寄宿舎に残るそうだ。

俺達は見つからない様に変装して、会館のロビーにある飲み屋で待っているのだが
女性2人は問題ない。帽子に眼鏡をし髪形を変えて違う雰囲気になっている。
ダニエルさんとニコラスさんも何時もと違うナンパな男の感じに変装出来ている。しかし

「その変装は何ですか。
 何で長髪のかつらをジークさんとトムさんが被っているんです。
 ロウガさんやハンスさんみたいなマッチョな魔道師なんて違和感あり過ぎでしょう。
 アクセルさんやフェリックスさんは派手過ぎて目立ち過ぎます。」

全員で行くと目立つので、分かれてギルド会館で合流する事にしたのが失敗だったか。
これだけ違和感のある集団が、目立たない訳が無い。
他の冒険者はアークとクリームだと気が付いているだろうが、見た目の異様さに目も合わさずにいる。
仕方が無いので俺とヤマトで気配を薄くしてみたが、どうだろうか。
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