異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
上 下
487 / 761

487義手義足

しおりを挟む
「もう少し早く歩いてもらえないか。」「階段を上がってみようか。」「外の悪路での歩きはどうだ。」

義足を付けた人に指示を出し続けるピース医師。
意見を聞いて、トリス錬成術師が細かい修正を加えている。
同じ様に義手についても確認が終わる頃には皆さん疲れてしまっていた。
治療が終わり様子を見に来たダリアさんが呆れていたが、

「全く、2人は相変わらずだね。熱中すると周りが見えなくなっちまう。
 しかし、この義手や義足は凄いね。」

と感心していた。しかし、ここの人達に義手や義足を買うだけの余裕は無いだろう。
ピース医師とトリス練成術師は今回の評価に付き合ってもらった礼金を払いながら

「皆さんに、相談があります。
 皆さんに義手や義足を渡しますので、他の人にアピールしてもらえないでしょうか。
 貴族の方々が興味を引いたら、実際に見せて使っている感想を伝えて欲しいのです。」

トリス練成術師のやりたい事が伝わらず、相手が困っていると

「つまり、義手と義足を渡すから、貴族に売る手伝いをしろって事だよ。
 あんた達にはモデルになって欲しいそうだ。」

ダリアさんがそう言うと、「本当に良いのか。」「俺はまた歩けるのか。」と呟くと泣きながら

「「「お願いします」」」

とピース医師とトリス錬成術師に礼を言っていた。
これは、俺が提案した事だったが、目立ち過ぎるかもしれないと2人が代わりに対応してくれた。

俺が魔道具のコア、トリス練成術師が義手、義足を作る。
トリス練成術師が、長さの調整を出来る様に改造したので作る種類は少なくて済む。
全員に義手、義足を取りつけると、暫くは3日毎に使用した感想を伝えに来てもらう。
初めに5本の指を付けていた義手は3本指にしたり、義足の可動部を増やしたりと改善されていった。
肘より上の所から腕を失っている人も居たので、肘の関節や手首の関節も動かせるのも用意したが、何処を動かすかある程度繊細な魔力操作が必要な為、使いこなすのには少し時間が掛ってしまうだろ。

彼等は家の周囲で義手、義足を隠すことなく使用しているので、スラム街で噂になり始めた。
晒しものとして、偏見の目で見られるかと心配したが、逆に感心されているらしい。

俺が部屋で義手、義足に使うコアを作っていると練成していると浩司が様子を見に来た。

「頑張っているな。噂を聞いた貴族が興味を持つと良いな。」
「貴族が絡めば技術が広まる可能性も出てくるからね。」
「この世界たど障害者ってだけで本当に大変だからな。」

「それなんだけど、浩司は障害者って言葉が技術が未熟な為だと思った事は無いか。」
「どういう意味だ。何で障害と技術の未熟さが何で関係する?」
「そうだな、例えば視力。浩司は近視になったらどうする。」
「そんなの、眼鏡を掛ければ良いだけだよな。あっ、そう言う事か。」
「目が見えないのも障害だけど、眼鏡があるから障害という認識は薄い。
 足や手だって義手や義足が普通に有れば障害という認識が薄くなるだろ。
 残念だけど、どうすれば一般的にできるか良い考えが浮かばないけどね。」

ただ、1度生まれた技術なら育つ可能性は有るだろう。
貴族が興味を持ってくれれば良いのだが、そこまでは俺には読めない。
危険と隣り合わせの世界では、人の命は思っている以上に軽い。
そんな世界なら、貴族が興味を持たない限り義手や義足が広まるのは難しいだろう。

『この手の技術は、芽が育つのは遅いが大丈夫じゃろう。
 魔獣に腕や足をやられる貴族も多いからな。
 後は、騎士団に売り込むのはどうじゃ。あそこなら国の保護も有るじゃろう。』

それは考えられるな。ブルネリ公爵とバラン将軍に話をしてみるか。

『それより、皆が付けたく様な面白い義手を作ってはどうにゃ。
 ミスリル製の最強の腕や、剣が飛び出す腕なら貴族も興味津々にゃ。』

「それ面白いな、腕が飛び出すロケットパンチなんてどうだ。」

『それなら、火の魔道具を組みこんで、炎のパンチや炎のキックというのはどうじゃ。』

この会話って、小学生が考える必殺技だな。
面白そうだが、そんな機能が付いたら普段の生活で誤動作したら怖い。ライト位が限界だろう。
まぁ、遊びで1つくらい作ってみるのも面白いかもしれない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

処理中です...