異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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487義手義足

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「もう少し早く歩いてもらえないか。」「階段を上がってみようか。」「外の悪路での歩きはどうだ。」

義足を付けた人に指示を出し続けるピース医師。
意見を聞いて、トリス錬成術師が細かい修正を加えている。
同じ様に義手についても確認が終わる頃には皆さん疲れてしまっていた。
治療が終わり様子を見に来たダリアさんが呆れていたが、

「全く、2人は相変わらずだね。熱中すると周りが見えなくなっちまう。
 しかし、この義手や義足は凄いね。」

と感心していた。しかし、ここの人達に義手や義足を買うだけの余裕は無いだろう。
ピース医師とトリス練成術師は今回の評価に付き合ってもらった礼金を払いながら

「皆さんに、相談があります。
 皆さんに義手や義足を渡しますので、他の人にアピールしてもらえないでしょうか。
 貴族の方々が興味を引いたら、実際に見せて使っている感想を伝えて欲しいのです。」

トリス練成術師のやりたい事が伝わらず、相手が困っていると

「つまり、義手と義足を渡すから、貴族に売る手伝いをしろって事だよ。
 あんた達にはモデルになって欲しいそうだ。」

ダリアさんがそう言うと、「本当に良いのか。」「俺はまた歩けるのか。」と呟くと泣きながら

「「「お願いします」」」

とピース医師とトリス錬成術師に礼を言っていた。
これは、俺が提案した事だったが、目立ち過ぎるかもしれないと2人が代わりに対応してくれた。

俺が魔道具のコア、トリス練成術師が義手、義足を作る。
トリス練成術師が、長さの調整を出来る様に改造したので作る種類は少なくて済む。
全員に義手、義足を取りつけると、暫くは3日毎に使用した感想を伝えに来てもらう。
初めに5本の指を付けていた義手は3本指にしたり、義足の可動部を増やしたりと改善されていった。
肘より上の所から腕を失っている人も居たので、肘の関節や手首の関節も動かせるのも用意したが、何処を動かすかある程度繊細な魔力操作が必要な為、使いこなすのには少し時間が掛ってしまうだろ。

彼等は家の周囲で義手、義足を隠すことなく使用しているので、スラム街で噂になり始めた。
晒しものとして、偏見の目で見られるかと心配したが、逆に感心されているらしい。

俺が部屋で義手、義足に使うコアを作っていると練成していると浩司が様子を見に来た。

「頑張っているな。噂を聞いた貴族が興味を持つと良いな。」
「貴族が絡めば技術が広まる可能性も出てくるからね。」
「この世界たど障害者ってだけで本当に大変だからな。」

「それなんだけど、浩司は障害者って言葉が技術が未熟な為だと思った事は無いか。」
「どういう意味だ。何で障害と技術の未熟さが何で関係する?」
「そうだな、例えば視力。浩司は近視になったらどうする。」
「そんなの、眼鏡を掛ければ良いだけだよな。あっ、そう言う事か。」
「目が見えないのも障害だけど、眼鏡があるから障害という認識は薄い。
 足や手だって義手や義足が普通に有れば障害という認識が薄くなるだろ。
 残念だけど、どうすれば一般的にできるか良い考えが浮かばないけどね。」

ただ、1度生まれた技術なら育つ可能性は有るだろう。
貴族が興味を持ってくれれば良いのだが、そこまでは俺には読めない。
危険と隣り合わせの世界では、人の命は思っている以上に軽い。
そんな世界なら、貴族が興味を持たない限り義手や義足が広まるのは難しいだろう。

『この手の技術は、芽が育つのは遅いが大丈夫じゃろう。
 魔獣に腕や足をやられる貴族も多いからな。
 後は、騎士団に売り込むのはどうじゃ。あそこなら国の保護も有るじゃろう。』

それは考えられるな。ブルネリ公爵とバラン将軍に話をしてみるか。

『それより、皆が付けたく様な面白い義手を作ってはどうにゃ。
 ミスリル製の最強の腕や、剣が飛び出す腕なら貴族も興味津々にゃ。』

「それ面白いな、腕が飛び出すロケットパンチなんてどうだ。」

『それなら、火の魔道具を組みこんで、炎のパンチや炎のキックというのはどうじゃ。』

この会話って、小学生が考える必殺技だな。
面白そうだが、そんな機能が付いたら普段の生活で誤動作したら怖い。ライト位が限界だろう。
まぁ、遊びで1つくらい作ってみるのも面白いかもしれない。
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