486 / 713
486シリコン
しおりを挟む
家に帰って来てから、義手や義足について考えていた。
バネになる素材は有る、頑丈で軽い素材も有る。
問題は義手、義足を取りつける為の体にフィットさせるシリコンの様な素材だ。
ゴムで対応しようとすると、弾力が有り過ぎる。
アイテムボックスから素材を取り出して、丸いボール状に形成して並べて見ている。
『儂の知識でも、この程度しか分からんぞ。』
真空状態で抜けない様にするには耐久性が足らない。
この際だから、ベルトで付けるしか出来ないか等と眺めていると机の端に熊の頭が
「うわっ、驚いた。アルは何をやっているんだよ。」
「クリームも帰ってきて晩飯と呼び気来たんだが、気付くまで待っていたんだよ。」
自分の考えに集中して、全く気付かなかった。
常時探索魔法を使っているとはいえ、普段は悪意や敵意が無いと気が付かなくなってしまう。
しかし、机の上に頭を乗せて待っているなんて何を考えているのやら。
食事をしながら、俺が考えていた義手や義足の話をするとピース医師とトリス練成術師が興味を示すので、実際に義手や義足を作ってみた。
遺跡で知った、回転させる魔道具で1か所だけ可動部をつけ、義手はマジックハンド、義足は足首か膝の部分が稼働する。
取り付ける部分も用意してみたので、実際に取り付けた状態を見てもらった。
「成程、このゴムの様な素材は腕の上にかぶすと密着して抜けなくなるのか。
そして、先端に取り付けた金属部分で義手や義足と接続すると。」
何か考え込んでいたトリス練成術師が、部屋から大量の素材と、素材の組み合わせを記入した紙を持ってきた。
それも、信じられないほど大量に…
トリス練成術士は組み合わせ表に追加で書き足すと、満足した顔で
「多分、使える素材が出来ると思います。早速、始めましょう。」
そう言うと、ピース医師が配合する素材の準備、俺が練成、トリス練成術士が練成物の確認を行う。
「やはり、拓殿の練成術は凄いですね。年単位で行う実験が、数週間で終りそうですよ。」
本当に、今回使う為の素材作りだけを行っているのだろうか。
どう見ても、シリコンとは似ても似つかない物が混ざっているのだが・・・
部屋に篭り続け何百種類の組み合わせを行い、丁度良い弾力と強度を持った素材が出来上がり、試作品が完成した。
それと同時に、トリス練成術士の練成術素材組み合わせ表も・・・
「ここまで、素材の組み合わせをまとめたのは有りません。
物質によっては均一に混ぜ合わせるだけでも大変な作業ですから。」
もの凄く良い笑顔のトリス練成術士がそこに居た。
昔から時間を作っては、素材の練成について調べてきたらしい。
正直、ここまで新素材を作り続ける作業は精神的にも疲れて切ってしまったが、
俺にとっても、基本になる技術は有り難いので、手伝うことを伝えると
終った実験用紙よりも大量の紙の束が出てきた。
「・・・」
どうやら、本当にシリコンに出来そうな素材だけを選んでいたらしい。
「暫くは、今回の実験のまとめが忙しいですが、一段落しましたら、是非ともお願いします。
多くはブルネリ公爵領に残しているので、今度持ってきます。」
「・・・」
俺の手を強く握るトリス練成術士の手をほどく精神力は無かった。
俺は自分の部屋に戻って寝たのだが、トリス練成術師とピース医師は徹夜で義手の改良を続けていたみたいだ。
「さぁ、スラム街に行きますよ。」
徹夜明けだからだろうかトリス練成術師とピース医師のテンションが高い。
しかし、やっと空が明るくなってきた時間だ。こんな朝早いと相手が困るだろう。
バネになる素材は有る、頑丈で軽い素材も有る。
問題は義手、義足を取りつける為の体にフィットさせるシリコンの様な素材だ。
ゴムで対応しようとすると、弾力が有り過ぎる。
アイテムボックスから素材を取り出して、丸いボール状に形成して並べて見ている。
『儂の知識でも、この程度しか分からんぞ。』
真空状態で抜けない様にするには耐久性が足らない。
この際だから、ベルトで付けるしか出来ないか等と眺めていると机の端に熊の頭が
「うわっ、驚いた。アルは何をやっているんだよ。」
「クリームも帰ってきて晩飯と呼び気来たんだが、気付くまで待っていたんだよ。」
自分の考えに集中して、全く気付かなかった。
常時探索魔法を使っているとはいえ、普段は悪意や敵意が無いと気が付かなくなってしまう。
しかし、机の上に頭を乗せて待っているなんて何を考えているのやら。
食事をしながら、俺が考えていた義手や義足の話をするとピース医師とトリス練成術師が興味を示すので、実際に義手や義足を作ってみた。
遺跡で知った、回転させる魔道具で1か所だけ可動部をつけ、義手はマジックハンド、義足は足首か膝の部分が稼働する。
取り付ける部分も用意してみたので、実際に取り付けた状態を見てもらった。
「成程、このゴムの様な素材は腕の上にかぶすと密着して抜けなくなるのか。
そして、先端に取り付けた金属部分で義手や義足と接続すると。」
何か考え込んでいたトリス練成術師が、部屋から大量の素材と、素材の組み合わせを記入した紙を持ってきた。
それも、信じられないほど大量に…
トリス練成術士は組み合わせ表に追加で書き足すと、満足した顔で
「多分、使える素材が出来ると思います。早速、始めましょう。」
そう言うと、ピース医師が配合する素材の準備、俺が練成、トリス練成術士が練成物の確認を行う。
「やはり、拓殿の練成術は凄いですね。年単位で行う実験が、数週間で終りそうですよ。」
本当に、今回使う為の素材作りだけを行っているのだろうか。
どう見ても、シリコンとは似ても似つかない物が混ざっているのだが・・・
部屋に篭り続け何百種類の組み合わせを行い、丁度良い弾力と強度を持った素材が出来上がり、試作品が完成した。
それと同時に、トリス練成術士の練成術素材組み合わせ表も・・・
「ここまで、素材の組み合わせをまとめたのは有りません。
物質によっては均一に混ぜ合わせるだけでも大変な作業ですから。」
もの凄く良い笑顔のトリス練成術士がそこに居た。
昔から時間を作っては、素材の練成について調べてきたらしい。
正直、ここまで新素材を作り続ける作業は精神的にも疲れて切ってしまったが、
俺にとっても、基本になる技術は有り難いので、手伝うことを伝えると
終った実験用紙よりも大量の紙の束が出てきた。
「・・・」
どうやら、本当にシリコンに出来そうな素材だけを選んでいたらしい。
「暫くは、今回の実験のまとめが忙しいですが、一段落しましたら、是非ともお願いします。
多くはブルネリ公爵領に残しているので、今度持ってきます。」
「・・・」
俺の手を強く握るトリス練成術士の手をほどく精神力は無かった。
俺は自分の部屋に戻って寝たのだが、トリス練成術師とピース医師は徹夜で義手の改良を続けていたみたいだ。
「さぁ、スラム街に行きますよ。」
徹夜明けだからだろうかトリス練成術師とピース医師のテンションが高い。
しかし、やっと空が明るくなってきた時間だ。こんな朝早いと相手が困るだろう。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
151
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる