457 / 713
457宴会芸
しおりを挟む
******(船員B)
OZの皆さんから声が掛かり、拓殿が何か芸をする。
拓殿の困った顔を見るに、無理やり出さされたのだろう。
俺としては、どんな芸だろうと盛り上げるつもりだ。
ボールを持って出てきた拓殿は地面に向かって玉つきを始めたが、直ぐにしくじり俺の所にボールが転がって来た。
俺がボールを取り上げると
「すみません。ボールに魔力を流してから戻してもらっても良いですか。」
拓殿の言う通りボールに魔力を流すと、ボールが光った。
少し驚いたが、拓殿にボールを投げ返す。
「ありがとうございます。」
拓殿はボールを受け取ると右手から一度地面にバウンドさせて左手に渡し、空に投げて右手に戻し、それを続けていた。
綺麗だが、子供としてはこれが精一杯なんだろう。
俺だけでなく他の奴等も拍手をしようとしたが、その手が止まった。
残像だろうか、いや違う、ボールが2つになっている。
「ボールが2つになってるよな。」
「あぁ、俺も錯覚かと思ったが、確かに2つ有る。」
他の奴等もザワザワとボールが分かれた事を話し合っていた。
しかし、驚くのはこれからだった。
更に光るボールが3つ、4つ、5つと増え続け、無数のボールが線を描く様に宙を舞っていた。
その内に、少しづつボールが減り続け、1つを高く放り、拓殿の手元に戻った時にはボールは1つに戻っていた。
最後に拓殿が礼をして出し物が終了した。
理解出来ずに茫然と見ていた俺は、拓殿が礼をしたのに気が付いて拍手をすると、直ぐに他の奴等からも拍手や指笛が鳴り響いた。
一体どうなっているんだ、あんなのは見た事が無かった。
ここまでウケるとは思っていなかったのか、少し驚いた拓殿が再び礼をしていた。
そして、俺の所に来ると
「先程は、ありがとうございました。良ければ、このボールをどうぞ。」
そう言って、光るボールをくれた。
この様な物を貰ってしまって良いのだろうか。俺が対応に困っていると
「すみません。ゴミになってしまいますかね。」
拓殿を困らせてしまったみたいだ。
「とんでもない。この旅の記念にさせてもらう。ありがとう。」
慌てて俺が受け取ると、拓殿は笑ってOZの元に戻って行った・・・可愛い。
いや、いや、俺は何を考えている、拓殿は男だろう。
船乗りの中には拓殿をそういう意味で見ている奴もいるが、俺にそっちの気は無い・・・と思う。
直ぐに仲間の船員や兵士に取り囲まれ、貰ったボールを調べてみたが弾力のある光るボールだった。
しかし、何をしても分裂する様な事は無かった。
正直、分裂しないのは残念だが、光るボールはとても綺麗だ。
拓殿を見ると、一度テントに戻ってからOZに合流していた。やはり幾つものボールを隠し持っていたのだろう。
他の奴等も色々と試しているが光るだけだった。
「おい、そのボールは俺が貰ったんだからな。きちんと返せよ。」
ボールの素材は分からないが、固めの綺麗な球形だ。
光らなくても、そこら辺で売っている物では無い。本当に俺が貰っても良いのだろうか。
他の奴等に取られない様に気を付けないと。
OZの皆さんから声が掛かり、拓殿が何か芸をする。
拓殿の困った顔を見るに、無理やり出さされたのだろう。
俺としては、どんな芸だろうと盛り上げるつもりだ。
ボールを持って出てきた拓殿は地面に向かって玉つきを始めたが、直ぐにしくじり俺の所にボールが転がって来た。
俺がボールを取り上げると
「すみません。ボールに魔力を流してから戻してもらっても良いですか。」
拓殿の言う通りボールに魔力を流すと、ボールが光った。
少し驚いたが、拓殿にボールを投げ返す。
「ありがとうございます。」
拓殿はボールを受け取ると右手から一度地面にバウンドさせて左手に渡し、空に投げて右手に戻し、それを続けていた。
綺麗だが、子供としてはこれが精一杯なんだろう。
俺だけでなく他の奴等も拍手をしようとしたが、その手が止まった。
残像だろうか、いや違う、ボールが2つになっている。
「ボールが2つになってるよな。」
「あぁ、俺も錯覚かと思ったが、確かに2つ有る。」
他の奴等もザワザワとボールが分かれた事を話し合っていた。
しかし、驚くのはこれからだった。
更に光るボールが3つ、4つ、5つと増え続け、無数のボールが線を描く様に宙を舞っていた。
その内に、少しづつボールが減り続け、1つを高く放り、拓殿の手元に戻った時にはボールは1つに戻っていた。
最後に拓殿が礼をして出し物が終了した。
理解出来ずに茫然と見ていた俺は、拓殿が礼をしたのに気が付いて拍手をすると、直ぐに他の奴等からも拍手や指笛が鳴り響いた。
一体どうなっているんだ、あんなのは見た事が無かった。
ここまでウケるとは思っていなかったのか、少し驚いた拓殿が再び礼をしていた。
そして、俺の所に来ると
「先程は、ありがとうございました。良ければ、このボールをどうぞ。」
そう言って、光るボールをくれた。
この様な物を貰ってしまって良いのだろうか。俺が対応に困っていると
「すみません。ゴミになってしまいますかね。」
拓殿を困らせてしまったみたいだ。
「とんでもない。この旅の記念にさせてもらう。ありがとう。」
慌てて俺が受け取ると、拓殿は笑ってOZの元に戻って行った・・・可愛い。
いや、いや、俺は何を考えている、拓殿は男だろう。
船乗りの中には拓殿をそういう意味で見ている奴もいるが、俺にそっちの気は無い・・・と思う。
直ぐに仲間の船員や兵士に取り囲まれ、貰ったボールを調べてみたが弾力のある光るボールだった。
しかし、何をしても分裂する様な事は無かった。
正直、分裂しないのは残念だが、光るボールはとても綺麗だ。
拓殿を見ると、一度テントに戻ってからOZに合流していた。やはり幾つものボールを隠し持っていたのだろう。
他の奴等も色々と試しているが光るだけだった。
「おい、そのボールは俺が貰ったんだからな。きちんと返せよ。」
ボールの素材は分からないが、固めの綺麗な球形だ。
光らなくても、そこら辺で売っている物では無い。本当に俺が貰っても良いのだろうか。
他の奴等に取られない様に気を付けないと。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
151
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる