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423需要作り

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雪も溶けラグテルの町に帰る事になった。
ニックさん、ピース医師、トリス練成術師、カイにレム、アーク、クリームが一緒の大所帯だ。

「拓さんが作っている魔道具は何ですか。」

移動中は春の景色を写真を撮りながら楽しみ、夜は魔道具を作って過ごしていた。
カイは俺の練成術を面白そうに眺めている。

「これは、毒と呪いを感知する魔道具。盗賊が持っていたのを真似てみたんだ。
 簡単な魔法陣だけど、意外と使えそうだと思って。着けてみる。」

カイに渡すと、直ぐに腕に着けてくれた。
試しにアクセルさんが闇魔法で簡単な呪いをかけようとすると

「あっ、腕輪が反応した。」

銀色の腕輪が赤くなり、熱を持っている。
呪いは少しづつ効果が表れるので、初めの時点で気が付ければ十分対応が可能だ。

「アクセルさん、それ感知するだけで防御する機能は無いので程ほどで。
 少しは使えると考えていますが、どう思います。」
「良いんじゃないか。無味無臭の毒や、気付き難い呪いによる不意打ちを食らう事は無くなる。
 実際、この手の魔道具は人気が有るから、金貨2,3枚で売れるぞ。」

値段を聞いてカイが直ぐにリングを外そうとするが、そのままプレゼントした。
材料も豊富に持っているので、使える魔道具なら作っておくか。


暫くして、ヨーゼフさんもラグテルの町に戻ってきて、孤児院の庭の確認をしてくれたのだが

「これは、岩をくりぬいて土を入れたのですね。
 凄いですが、ここに木を植えるのは厳しいです。
 ここだと水はけが悪過ぎて、根が深くなると根腐れを起こすかもしれません。
 畑として使うのが丁度良いかもしれないですね。」

ここ一面を覆っている巨大岩は道の方まで繋がっている。この際、道も壊してしまおうか。

「拓さん、変な事は考えずに、ここは孤児院の子供達に畑として使ってもらいましょう。
 後で、育てやすい野菜を用意しておきますよ。」

俺が何か言う前に、エチゴさんに釘を刺された。
この町で、もぎたての果物を食べる俺の野望は断たれてしまったか。

「今回は残念でしたが、ラグテルの町で開墾して領地を広げる計画が有ります。
 もしかすると、果樹園が出来るかもしれませんよ。」

そんな計画が出ていたとは知らなかった。

「ブルネリ公爵領に移住する人が多過ぎ、一部をラグテルの町で受け入れるそうです。
 ニック様が色々と動かれていますから、話を伺ってみては如何ですか。」

ニックさんの仕事の内容を知らなかったが、そんな事をしていたのか。
ヨーゼフさんに無駄足を運ばせてしまった事を謝り、夕食にニックさんを誘い開墾の話を伺った。
領地を広げる計画は当初の半分も進んでいないらしい。
税金の免除などを行うそうだが、難民の受け入れというイメージが強く治安の悪化等、否定的な考えが有るらしい。
当然、果樹園の計画も無かった。

「十分な雇用を作れれば問題が解決するんだろうな。」

浩司の言う通りなんだが、それが難問なのだろう。
せめて、俺が助けてブルネリ公爵に任せてしまった人達位は何とか対応出来ないだろうか。
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