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421拡張バッグ

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「しかし、盗賊は獣人を何処に連れて行こうとしたんだろうな。」

ガラがふと疑問を投げる。確かに獣人達を何処に連れて行こうとしたのだろう。
もしかすると、他にも同じような扱いを受けた獣人が居るかもしれない。
地図を見たが、町や村、大森林近くの地下資源の発掘など有り、行き先を絞り込む事は出来ない。
今更だが、情報だけでも仕入れておけば良かった。
盗賊の服や荷物はブルネリ公爵の方で引き取っているので、そこから何か分かると良いのだが…
残念ながら他に調べようが無い。


2週間ほどでアーク、クリームもラグテルの町に帰ると言うので、暫くはブルネリ公爵の所でお世話になり皆で一緒に帰る事にした。

「そうだ拓、俺達から拓への成人になったプレゼントが有るんだ。」

ジークさんが俺に箱をくれる。受け取った箱の蓋を開けてみると

「黒磁鉱石じゃないですか。本当に良いんですか。」

中には拡張バッグを作る為の黒磁鉱石が6個も入っていた。

「酒や服は大量に貰っていたから少し変えてみた。喜んでくれて良かった。」

こんな凄い物を貰って喜ばない訳がない。
市場に出回っても無いのに、どうやって手に入れたのか聞いてみると貴族の伝手だそうだ。
Aランクの冒険者になると、貴族達との繋がりが出来るらしい。

「やはり、Aランクの冒険者は違うな。」

と俺が感心していると、アーク、クリームの全員が呆れ顔。

「OZだって王族や貴族との繋がりが有るだろう。正直、お前達の方が凄いからな。」

確かに、サリナ姫、ブルネリ公爵、クロイツ伯爵、ロダン侯爵、ヨハン王子も知り合いだな。
本当に、全員王族や貴族とは思えないほど、気さくな人達ばかりだ。
気さく過ぎるから、その感覚が薄いのかも知れない。
この関係を維持できれば良いと思う。


これで黒磁鉱石は、この間ブルネリ公爵から貰った分を含めて全部で8個。
2個は予備で持っておき、6個は使ってしまうつもりだ。
先ずは、拡張バッグを4個作る。。
アイテムボックスから、バッグとコアとなる魔石を取り出し、貰ったばかりの黒磁鉱石とを合わせて練成を行った。

「拡張バッグを練成するのを初めて見たが、凄い量の魔力を使うんだな。」
「そうね。凄い圧力を感じたわ。」

ニコラスさんとジェニファーさんが俺の作業を興味深く見ている。

「これは、拡張バッグにする素材がレッドタイガーの皮だからですよ。
 レッドタイガーの皮は魔力を通し難いので大量の魔力が必要になります。
 他の皮ならもっと簡単に出来ますよ。」

そのまま続けて拡張バッグを3つ作り上げ、性能を確認すると4つとも満足できる出来だった。
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