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410鈍感姫

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******(サリナ姫)

バラン将軍が笑う中、ガゼルス将軍が頭を下げる。

「サリナ様と若が、お互いに普通の状態で話せるよう様に私の方からお願いしました。
 どうか、御怒りを沈めて頂けないでしょうか。」
「ガゼルス将軍、頭をお上げください。特に怒っている訳ではありませんので気になさらないでください。
 でも拓ちゃんは、きっと状況を楽しんでいたに違いないわ。」

そんな私に、ヨハン王子が話しかけてくる。

「サリナさんは、拓の事を随分と気に入っているんだな。」
「そうね。拓ちゃんって変っていて、一緒に居て本当に楽しいわ。
 ただ、ちょっとお人好し過ぎて、無理をし過ぎるのよね。年下なのに、年よりめいた所が有るし。気にしないでいる方が難しいわ。」

「もしかして、サリナさんは拓の事が好きなのか?」

私が拓ちゃんの事を好きだなんて・・・自分自身が気付いていなかった感情・・・全く無いわね。
一体、ヨハン王子は何を言っているのかしら。

「それは全くないわ。頭は良いけど出来の悪い弟って感じかしら。
 考え方が独特で、将来が心配になるのよ。それに、拓ちゃんには恋人が居るわよ。」

拓ちゃんと浩司さんが付き合っていると知った時は驚いたけど、素直に受け入れられた。
秘かに女性兵士、ブルネリ公爵邸のメイドの方々とで2人の応援隊を結成している。
応援隊情報だと、拓ちゃんの事が好きな男性兵士も居るらしく、変なところでモテているらしい。
これは、食べ物の効果かも知れないわね。男は胃袋で掴めって聞いた事が有るし。

「拓もなかなか隅におけないな。しかし、あれだけの実力者であれば女性の方が放っておかないか。
 見た目が可愛らしいから年上の女性からもてそうだな。」

浩司さんが恋人と知ったら、どんな顔をするかしら。
2人は付き合っている事を隠していないけど、私から言う事では無いわね。
しかし、あの拓ちゃんと付き合うなんて、浩司さんでなければ出来ないんじゃないかしら。


そろそろ、舞踏会の時間。嫌だけど行くしかないか。


******(ヨハン)

舞踏会に出ると、皆の視線が俺達に集まる。
皆から「おめでとうございます」との言葉が掛けられる。

「これは大変だな。横に居るのが貴方で良かった。お陰で笑顔で居られる。そうでなければ、顔が引きつっていたよ。」
「確かに今日は一段と酷いわ。1人より2人の方がまだマシね。」

俺の気持ちは全く伝わっていないな。
サリナ姫を口説くにはOZより強くなければならいか。

演奏が始まった。

「サリナさん、良ければ私と踊って頂けますか。」
「喜んで。」

サリナ姫の手を取り、フロアの中央へ向かう。
音楽に合わせステップを踏む。こんなに楽しいダンスは初めてだ。
国同士の決めた相手としてではなく、俺はヨハンとして この人の隣に居たい。
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