上 下
406 / 744

406でぶでぶヤマト

しおりを挟む
サリナ姫の帰りに合わせて俺達も帰る事にした。
ハンさん達もマクニス王国へ行く予定だったらしく、それならと俺達OZと一緒に行く事になった。
家の人達がマクニス王国に来ているらしく、これから合流するらしい。

「私もOZと一緒に帰らせてもらえないか。食事は私が運ぶという事でどうだ。」

とヨギ魔道師も俺達と一緒に帰る事になった。


帰る前に、俺達は知り合いに挨拶する事にし、ルドルフ料理長の所に居座っていたヤマトも連れて行こうとしたのだが

「なぁ、ヤマト。お前、更に太ったんじゃないか。
 年末から訓練が休みの間、ここで食べてばかりいたんだろ。
 流石にこれは、ちょっとヤバいぞ。」

持ち上げると重過ぎる。おまけに、この体重で頭の上に乗られるときつい。
たった10日程度で、良くもこれだけ太ったな。

「そう言ってやるな。確かにヤマトはそこに居続けたが、気配を消したりと色々やってたぞ。
 まぁ、こっちは消えたと思ったら急に現れたりと何度も驚かされたがな。」

ルドルフ料理長がヤマトのフォローをする。
ヤマトも練習をしていたのか。俺達に隠しておきたかったのか、そっぽを向いている姿が可愛い。
しかし、この重さは何とかした方が良いだろう。
試にレイアローを避ける訓練をしてみたが動きに切れが無く、前は避けられていた攻撃にも当っている。

『これは、まずいにゃ。
 愛くるしさがアップしても、攻撃力が下がっては意味がにゃいにゃ。
 ルドルフ料理長の魔法にやられてしまったにゃ。』

デブ猫が馬鹿な事を言っている。

「それに、リッチに色々と見せる約束はどうなった。食堂に居座って良かったのか。」

『拓は分かっていないにゃ。料理こそが人類の偉大な発明にゃ。
 吾輩は、その偉大な発明をリッチに見せる為に頑張っていたにゃ。
 見た目の美しさだけでにゃく、味や香りを伝える必要が有ったのにゃ。
 それに、OZの目的が世界中の料理を食べる事にゃら間違っていないにゃ。』

間違っていないような気がする。
武術大会の時は試合を見て戦い方を学んでいたから良しなのか。
それでも、元の体に戻すのは決定事項だ。元に戻ってもデブ猫には変わりないのだが・・・


ロダン侯爵領の劇団「虹」の様子を見に行くと、昼前だと言うのに客が並んでいた。
関係者用の入口から入らせてもらい、差し入れの料理を渡して話を聞いてみると、

「嬉しい事に、舞台の話が広がり最近は満員状態になっています。
 今では毎日上演する事になりました。
 本当に、皆さんのお陰です。ありがとうございます。」

劇団員が俺達に改めて礼を言ってくれたが、これは劇団の努力の結果だ。
また新しい劇を見せてもらう事を約束して、劇団員の練習の邪魔にならない様に引き上げた。

次にヨーゼフさんの店。昼時をずらしたが、それでも30分ほど待つ程繁盛していた。
未だヨーゼフさんは店に居て、俺達を見てわざわざ挨拶に出て来てくれた。
ヨーゼフさんにアルの考えた器を10個渡した。
せっかく素晴らしい盛り付けを考えられたので、料理に使ってもらおうと用意した物だ。
プレゼントするつもりだったが、こちらで勝手に用意したにも関わらず購入してくれた。
そして帰る事を伝えると、丁度ヨーゼフさんもマクニス王国に帰るらしく馬車に余裕があるのでOZ一緒にどうかと誘ってくれる。
後3人増える事を話したが問題ないと言ってくれるので、同乗させてもらう事にした。

他に、山脈の麓の村の蕎麦屋とエチゴ屋に挨拶をして屋敷に戻ると、ブルネリ公爵が支払いの準備をしていてくれた。

 警備代:銀貨5枚
 毒の対応。アリゲーター退治:白金貨1枚。
 マクニス王国の遺跡での毒薬工場破壊:金貨10枚
 兵士の治療代:金貨10枚
 寒天:金貨50枚
 光苔:白金貨1枚
 ポーション、解毒剤:白金貨2枚

兵士の治療代と寒天、薬の分は俺が受け取り、他は皆で分けた。
退治したアリゲーターの魔石や皮は俺に譲ってくれた。
しかし、俺が練成したポーションが1個銀貨4枚で売れるとは。
アルのポーションも銀貨3枚で売られていたし、気軽に飲める料金では無いな。
この他にも

 バラン将軍の部下から、色々な果物
 それとは別に
 バラン将軍の部下の女性兵士からはスキンクリームのお礼として、クッキーの詰め合わせ。
 性病の薬を渡した兵士達から、酒
 遺跡の情報代:黒磁鉱石2つ
 そして、マクニス王国に戻ったら、残りの兵士も身体検査を行って欲しいと
 今回の武術大会でヨギ魔道師が元締めとして儲けた賭けの売り上げ

を受け取っている。
正月に貰った物を考えると結構色々な物を頂いてしまった。
それに、ヨギ魔道師から渡された売り上げは去年よりも増えているみたいだ。
賭けに注ぎ込む金が有るなら、ポーションを買えばいいだろうに。
受け取った黒磁鉱石の1つでニックさんに薬保管用の拡張ボックスを用意し、1つは予備で取っておく事にする。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

処理中です...