異世界遺跡巡り ～ロマンを求めて異世界冒険～

398降参

「シールド」

レイアローを避けながらのライトニングの連続攻撃だと。
焦った、アリゲーターとの戦いより力を抑えているのは分かるが、この雷魔法の威力は訓練で使う威力じゃない。
練習試合でこんな攻撃を使うなんてグランザム王国って怖すぎるだろ。
おまけに、完璧に俺を攻撃してきた。
ここまで俺の位置を把握できているのに、初めに剣の攻撃を受けていたのは様子見か。
しかし、初見で闇魔法で覆ったレイアローを避けるとは凄いな。

周囲に気配を同化させる技が、ここまで簡単に見破られてしまうとは思わなかった。
かと言って、土魔法まで使う気は無いし、試合でこれ以上の魔力を込めるのは問題だろう。
なら、レイアローを放ちながら移動し、死角からの剣での攻撃でどうだ・・・

ガゼルスさんに放ったレイアローは全て避けられ、剣の攻撃は剣で弾かれてしまう。
さらに同時にダークマインドを発動させたが、避けられてしまった。

「ここまで気配隠しが効果無いとは思わなかった。」

『いや、気配を消していなかったら簡単にやられていたじゃろう。』

これだけの攻撃を仕掛けたというのに、相手は焦ることなく涼しい顔をしている。
自分の気配を隠す技の未熟さを痛感した。正直、打つ手がない。
ガラには申し訳ないが、俺は両手を上げた。

「降参」


******（ガゼルス）

放ったライトニングが運よく当ったみたいだな。
しかし威力を込めた攻撃だったが完全に防がれてしまった上に、相手は未だ余裕か。
アリゲーターとの戦いで分かってはいたが、これ程の強者が居るとは世の中は広い。
練習試合で、これ以上の魔法攻撃は出来ない。
それに、攻撃をした所で、全て防がれてしまうのは、アリゲータとの戦いで分かっている。
接近戦に持ち込むしかないが、簡単な話ではない。

また、レイアローでの攻撃か・・・いや、何度も同じことを繰り返す様な拓殿では無い。
となると・・・
背後からの剣での攻撃を弾く。
やはり魔法攻撃と剣との合わせた攻撃だったか。
攻撃の直ぐ後に、足元から僅かな違和感を感じる。
なっ、更にダークマインドだと。
攻撃をしながら呪文を唱えていたのか。
この連続攻撃は危なかった。今避けられたのは、完全に運が良かっただけだ。
このままでは、じり貧だな。
次の攻撃に合わせて仕掛けようと構えた時、拓殿が両手を上げていた「降参」と。


******（ガラ）

今まで受けて来た剣術とは違うな。
ガゼルスさんは拓が完全に抑えてくれている。
皆に鍛えられて来たんだ。１対１なら負ける気はしない。
ハンさんの攻撃は鋭いが攻撃力で浩司に適う訳もなく、フェイントも拓の攻撃の方がずっと嫌らしい。
悪いが、初めて見る剣術を学ばせて貰う良い機会にさせてもらおう。

俺達が勝てると思っていたが、拓が降参だと。
さすがにガゼルスさんが加われたら手に負えない。
一気にけりを着けさせてもらう。
相手の攻撃を弾くと、喉元に剣を向ける。

「降参だ。」

ハンさんが両手を上げた。