異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
上 下
388 / 761

388粗悪品

しおりを挟む
「皆さんありがとうございました。私の不注意で広めてしまって申し訳ありませんでした。」

とサリナ姫が謝るが、ポトリ教授が

「なかなか楽しい体験ができました。あの子達の思い出になると良いですね。
 それに、あんなに興味を持って遺跡の話を聞いてもらえると、私の方が楽しかったです。」

と言ってくれる。

「子供は純粋で良い。次は私が魔法に付いて面白おかしく説明してあげるとしよう。明日も何か作るんだろ。」

いや、ヨギ魔道師は何を言っているんだ。
そもそも、今回の料理教室ですらイレギュラーだと言うのに次なんて考えている訳が無い。

「直ぐに考えておいた方が良いぞ。今日参加できなかった子供も作りたがるだろうからな。
 貴族に対しては同等の対応をしないと後が面倒だぞ。
 そうだな。私は旅の時に食べたマドレーヌが良いと思うが。」

ニコニコ顔で話しているヨギ魔道師。どう見ても自分が食べたいだけの様にしか見えない。

「それは良いですね。あれは中々美味しかったですから。
 それに、子供達に今日の話の続きをしてあげられます。」

ポトリ教授の場合は、本当に子供達に話しをしてあげたいのだろう。
この2人が友人なんて不思議だ。


夕方になりタキシードに着替えると、エチゴさん、浩司、カイ、レムと一緒にパーティ会場に向かった。
レオは厨房で裏方、ガラとアルは、また何かするのか別行動をとっている。
会場に入ると、既に料理を作るステージが用意されていた。

会場に集まった人達の中にカミーラ船長が居たので挨拶をする為に近付くと

「皆さんも貴族でしたか。その節は、色々とお世話になりました。」

俺達に礼をするカミーラ船長に、自分達は只の平民でブルネリ公爵の好意でパーティで食事を楽しませてもらっている事を話すと

「この様な場で食事を楽しめるなんて、君達は大物だな。
 しかし、私達もこの様な場は初めての上、この格好で浮いていて困っていたんだ。
 知り合いと話せて助かったよ。」

カミーラ船長は船長服の姿だった。
男装の麗人という感じで、浮いていると言うより男性からは美しいと、女性にはカッコいいと噂されている。
部下の男性も船員としての礼服を着ていて男らしく決まっていたが、カミーラ船長の横では霞んでしまっている。
カミーラ船長に獣人のカイとレムが居ると周囲の注目を浴びてしまうが、特に近づいて来る人は居なかった。


ブルネリ公爵と、サリナ姫がやって来て乾杯をすると、少ししてガラとアルが登場しワサビを塗った鳥肉のソテーとニジマスの様な魚の塩焼きを作り始めた。
前回のパーティで慣れたのか、貴族の方々が出来たてのソテーと塩焼きを受け取るとテーブルに並んだ料理の方へ移動し始める。
今回の料理も好評。
少しづつ打ち解けてくると、カミーラ船長が女性陣に取り囲まれていた。
男性船員はカミーラ船長から離れる訳にもいかないのか可哀想な状態になっていたが、俺達は食事の方へと移動させてもらった。


想定外だったのは、エチゴ屋でガラスの食器と、ロダン侯爵の光る木工細工の問い合わせが多かった事だろう。
今回購入するつもりで町の散策に出たが、今年は販売されず、他の店を見たが価格が高い上に質が悪く困っていたらしい。
エチゴさんもロダン侯爵も、あれは特別な限定商品と言って謝り続けていた。
貴族から解放された所で、同じので良ければ来年は用意すると伝えると

「拓さんは気にされなくても良いですよ。そこまで大変な事では無いですから。」

とエチゴさんもロダン侯爵も言ってくれたが、

「しかし、酷い模造品が氾濫したり、異常な価格を吹っかけるのは俺が意図していた事とは違いますから。
 金儲けは分かりますが、彼等は技術を馬鹿にしている。
 もう少しまともな商売をさせる為にも、期間限定ですが販売した方が良い。
 この季節限定としてくれるのであれば、時間的に余裕が有るので問題ないですよ。
 来年になってしまいますが、貴族の方が変な物に手を出さない様に報告してもらえませんか。」

「ありがとうございます。しかし、本当に大丈夫ですか。」

「大丈夫ですよ。数年続ければ、俺の役目も終わりです。
 逆に店の方が大変かもしれませんが、宜しくお願い致します。」

前回が大量に売れたので、同じ量を作っておけば十分だろう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...