異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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375秋祭り最終日

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夜は秋祭り最後の劇が行われる。
前回と同様、大勢の町の人が集まっていた。
今回は、水の壁をスクリーンにした光と影の劇だった。
小道具も使い、前回とは違う楽しい内容になっている。
魔道具と自分達の魔法との組み合わせ方が、とても面白い。
この劇団なら、まだまだ色々な事を試してくれそうだ。

劇が終わり、俺達の所に挨拶にきれくれた所でエチゴさんから劇団に魔道具を渡す話をして頂いた。
今後の舞台収益から30%を俺に支払う事とし、魔道具の代金分を払いきれば譲る事とする。
ただし、途中で劇団の存続が不可能となった場合には、魔道具一式を返却し、それまで払った金は戻らない。
といった内容だった。
劇団員がその場で条件を承諾し、魔道具を貸し出す事になった所でブルネリ公爵が

「次の我が領地のイルミネーションの時、上演してみないか。
 イルミネーションの間、週1、もしくは週2でどうだろう。。
 もちろん、ステージや宿泊場所については私の方で用意させてもらう。」

と上演依頼をする。詳しい事を聞いていないにも関わらず、劇団員はその場で了解すると

「大変嬉しい事だが、君達はプロとして了解する前に条件を確認するべきだ。
 もう少し、しっかりしないと劇団の存続は難しいぞ。」

逆にブルネリ公爵に注意されていた。
今回の宣伝についてはブルネリ公爵の方で行ってくれ、ステージの規模やチケットの価格等について説明をしていた。
少しチケット代が高い気もするが、この世界での妥当な金額なのだろう。
初めに、ブルネリ公爵の所で行われるパーティに来られる貴族を相手に上演する事になった。
いきなり貴族を相手にすると聞いて緊張しているみたいだが、劇団員は皆、良い顔をしている。
エチゴさんのお陰で、良い結果が得られる事が出来た。

今日が秋祭り最後だという事も有り、まだまだ盛り上がっているが俺は眠い。
明日は帰る日なので、そろそろ寝ないと体が持たない。
皆に断り、先に引き上げさせてもらう事にした。


次の日の朝、最後に景色を見ようと浩司と広場へ行くと、誰も居ない。
未だ、外は暗く日の出前。
領民の方々も眠り、光の魔道具に魔力を供給する人も居ないので辺りは暗い。
朝靄が立ち込める湖面に朝日が差し込み美しい美しい景色を映し出す。
光が当たり、白く輝く古城。そして朝靄で影になって見える湖畔の木々。
この景色とも今日でお別れだと思うと残念だ。
食事前にトレントの所に行き、木の魔力を土に含ませておく。
植えたヒカリ苔も落ち着いたみたいだ。


帰りはマクニス王国までサリナ姫、ブルネリ公爵達と一緒に移動し、一度ラグテルの町に戻った後、ブルネリ公爵のイルミネーションに参加する事になっている。
ロダン侯爵領から出発する時は、大勢の領民が送り出してくれた。


******(サリナ姫)

ロダン侯爵領を離れた所で、拓ちゃんやカイ、レムが乗っている馬車に移った。

「リゾートが出来たら、泊りに来たいわね。
 拓ちゃん、私も招待してよね。」

「何を言っているんですか。サリナお姉さんは姫なんだから問題ないでしょ。
 俺の場合、貴族でも無い只の平民なんで頑張って伝手を用意しいるんですよ。
 でも、また皆で来たいですね。
 夏に、木陰でハンモックに揺られて昼寝するのも気持ち良さそうだし。」

そうなのよね。拓ちゃんって普通じゃないけど平民なのよね。
それに、これだけの事をしておいて、木陰で昼寝ねって。
拓ちゃんの希望って、やっている事に対して小さいと言うか平和と言うか。
今回のリゾートの話だって拓ちゃんがきっかけでエチゴさんが動かたのでしょうし。
そもそも、あのライトアップなんて、絶対に拓ちゃんの考えよね。

「サリナお姉さん。人の顔を見てどうしたの。
 移動中のお菓子は用意してありますから大丈夫ですよ。」

何でそうなるのよ。人の事を何だと思っているのかしら。
出してくれた揚げ餅は美味しいので頂くけど・・・
どら焼きというお菓子も美味しいわ。

「気に入ったみたいですね。
 どら焼きは冷めても美味しいから、後でお土産に用意しておきますよ。」

こんな料理を何処で覚えたのかしら。
美味しくて、もっと食べたくなってしまう。
これ以上食べると太るかしら。


******

特に危険な事も無く、無事にマクニス王国に辿りついた。
サリナ姫は城に戻り、ブルネリ侯爵も城に顔を出すそうだ。
アークとクリームは護衛として城まで付いて行く。
俺達は、マクニス王国に着く前に、サリナ姫達とは別れ、別行動をとっている。
流石に、只の冒険者がサリナ姫やブルネリ公爵と一緒に馬車に乗っているのは問題になる。

バラン将軍の所の騎士団寄宿舎で待ち合わせする事になっているが、時間が早いので屋台での買い食いや、市場の商品を覗いたりしていた。
ついでに、古代の地図に記載されていた遺跡の方へ行ってみる。
近付いて行くとバラン将軍の部下の兵士が私服姿で何人か居た。

『もしかしたら、4本指の調査で動いているのかもしれんな。
 邪魔にならない様に、近付かない方が良いじゃろう。』

地図の示していた場所には貴族の屋敷が建っている。
貴族の屋敷は、大抵は城の周りに有るにもかかわらず、この場所に1つだけ離れて建っている。

「こうして見ると、怪しいよな。遺跡自体を屋敷にしているんじゃないか。」

浩司がコソっと言うが、幾らなんでもベタ過ぎるだろう。
俺達は、それ以上近付かずに他の場所をブラッとして騎士団寄宿舎に向かった。
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