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361ロマン

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俺が構造物を調べていると、上に向かって伸びている道を見つけた。
そのまま道を辿った先は海に向かって切り立つ崖。
横穴の位置は10m位下だろうか。

「ロープを出します。崖を降りて横穴まで行ってみましょう。」

ポトリ教授がアイテムボックスからロープを取り出そうとするが止める。

「先に、通路の様子を見てきます。皆が動くのはそれからで良いでしょう。」

俺が提案すると、

「俺も行く。何か有った時、2人の方が良いだろ。」

浩司も付いてきてくれる。更に頭の上にヤマトが乗ってくる。

『吾輩も行くにゃ。やはり2人を見守る存在が必要にゃ。』

『そうじゃな。儂を入れて4人ならどんな状態でも対応出来るじゃろう。』

本当に、お人好しの2人組だ。
皆を見ると、ポトリ教授が少し残念そうにしていた。

「ポトリ教授も一緒に一番乗りをしてみますか。ポトリ教授だけなら何か有っても逃げ出す事は出来ますから。」

「本当に良いの。」

ここに来るのを1番楽しみにしていた人を外したら駄目だろう。

「勿論です。やはり、これはロマンですから。」

ポトリ教授が嬉しそうな顔で頷いてくれる。やはり、遺跡探索をする人にはロマンが分かるのだろう。
それに比べて、他の奴等の呆れた様な顔。
ロマンが分からない人間はどうしようも無い。

「しかし、ロープも無しで、どうやって降りるつもりだ。空でも飛ぶのか。」

疑問に思うヨギ魔道師に「見てて下さい」と言い、浩司と俺がポトリ教授の手を掴むと崖から飛び出す。

「エアウォーク」

俺達はゆっくりと落ちながら、慌てて崖の淵までやってきたヨギ魔道師に手を振り、入り口が見えるとシールドを蹴って飛び込んだ。
直ぐに探索魔法で奥を調べてみたが生物の気配はない。
あっけに取られているポトリ教授に声を掛け、ヤマトに警護をお願いして他のメンバーも穴まで連れてきた。

「アダマンタイトを使った魔道具とは恐れ入った。OZと一緒に居ると驚いてばかりだ。」

ヨギ魔道師が喜んでいる。
エアウォークを発動させた足に付けてういる魔道具を見せたが、俺と浩司の魔力に浸り過ぎ、所有者の縛りを解いたとしても他の人の魔力で起動させるには何年、魔力しだいでは何十年も掛かるみたいだ。
ヨギ魔道師でも、アダマンタイトを使った魔道具は数回しか見た事がなかった。
どれも貴族が厳重に管理をしていて、実際に使う所はもっていぶってなかなか見せて貰えなかったらしい。

暫く、ポトリ教授が入り口周辺を調べて分かったのは、この通路が切断されていた事。
ここが崖になる前、陸地が続いていた時は通路は地上まで続いていたのでは無いかと推測している。


ヘッドライトの他に、俺が光の玉を浮かべて洞窟を照らし、ポトリ教授を先頭に奥に進んで行く。
完全に人工的な通路で、多少劣化しているが強度には問題ないようだ。
所々に扉が有った跡が有る。
そして、ついに遺跡に辿りついた。
ざっくりと見て回ったが特に危険は無く、かなりの広さがあるので分かれて探索する事にした。
何処も埃が積もっていて、長い間、人の出入りが無い事を示している。
俺、浩司、ヤマトのチーム。ポトリ教授、ガラ、レオのチーム。ヨギ魔道師、エチゴさん、アルのチームに分かれた。
ヘッドライトが有るものの、光魔法を使える人をチームに1人組み込んだ。

「窓も何もないとなると、初めから地下に作って有ったんじゃないか。
 まるで秘密基地見たいだな。」

「そうだね。シェルターの機能のある軍の拠点って感じがする。
 しかし、何も残っていないな。」

俺達が見ているのは実験室の様な場所だった。
ただ、机と椅子が並んでいるが、机の上には何も残っていなかった。
壁は魔力を通さない為、探索魔法が使えず隠し扉が有っても分からない。
2重床になっていてケーブルの後をたどり動力源が有ったと思われる部屋に入ってみたが、何も無かった。

『つまらないにゃ。バーンと面白いものが発見されると思っていたにゃ。』

ヤマトが言うまでも無く、期待していた分、残念だ。
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