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ガラとジークさんはトムさんから治癒魔法を受け、ガラの試験は終了した。
試験の結果は、試験官の話し合いで決まり後日、本人に報告される。
午前中の試験は終わり、ジークさんとトムさんは試合を見ていた試験官と共にギルド会館の中に入って行き、訓練場にガラだけが残った。

「すまない。あれだけ特訓をしてもらったにも関わらず、ジークに一撃も与えられなかった。
 俺の試験はこれで終わりだが、浩司と拓は午後の筆記試験を頑張れよ、」

ガラは元気に振る舞っているようだが、落ち込んでいるのが分かる。
しかし俺も浩司も午後のテストが残っている。俺達だけでも頑張るしかない。

テストが終わり、家に帰ると試験の反省会を行った。
俺と浩司が筆記試験の答え合わせを行うと合格点が取れたと思う。先ずは大丈夫そうだ。

次はガラの実力試験だが、1番の問題はジークさんの攻撃が重いという事。剣で受けてしまうと次への動作が遅れる。
体術で捌けれる様な甘い攻撃では無く、攻撃をされてしまうと受けに徹するしか出来なくなってしまう。
後、ニコラスさんに言わせると、ガラの剣は素直すぎるそうだ。
最後の攻撃は手数とスピードで攻め続けられたが、剣筋が読まれやすい。

「剣筋に対しては、自分で試行錯誤しながら対応するしかないだろうな。
 今回はジークだから重い攻撃だったが、他だとスピードを重視した攻撃だったりと色々有る。」

ニコラスさんからアドバイスをもらう。
スピードについては、現状の特訓でも上を目指せるので、先ずは重い攻撃の対策か。
ガラだけ強化魔法を使わないのでは訓練にならないし、部分的な強化魔法というのは出来ない。
このメンバーでジークさん並みの重い攻撃を追加するには・・・

「俺達の試験が終わった後になるけど
 重い攻撃対策として練習方法を工夫してみようか。
 今回は残念だったけど、次の試験までに確実に強化しよう。」

俺の言葉に、ガラがやる気を出してくれたみたいだ。
次の試験の時には、もっと力を付けれるはずだ。

「拓ちゃん、ちょっといいかしら。」

ジェニファーさんが何か言いたいみたいだ。

「拓ちゃんは、私達の実力をどの程度と思っているの。その、Aランクの冒険者の中で。」

「そうですね。皆さん若いから、失礼ながらAランクの下の方ですかね。」

ジェニファーさんだけでなく、ロビンさん、ニコラスさんまで深いため息を吐いた。

「拓なら仕方が無いか。これでも俺達、Aランク冒険者の中でも上のクラスなんだぜ。
 ジークの攻撃力に限っては、トップレベルだ。」

「本当ですか?訓練でバラン将軍に手も足も出なかったですよね。」

ニコラスさんの言葉に驚き、余計な事を言ってしまったみたいだ。
ジェニファーさんが前に乗り出す様な感じで話し始めた。

「前から思っていたけど、拓ちゃんのバラン将軍に対する評価が低すぎるのよ。
 バラン将軍は最強の武人と言われるくらい凄い人なのよ。
 あの人を目標にして強くなろうとしている人も多いわ。もちろんジークもね。」

その後、ジェニファーさんの『バラン将軍武勇伝』が続いたが、俺は殆ど聞き流していた。
確かに一緒に戦い、訓練も行っていて強いのは分かる。
強い上に、見た目もカッコいい・・・だが、どうしても残念な人のイメージもある。
そこがバラン将軍の好きな所でもあるのだが。
長々と続くジェニファーさんの話しを遮ってくれたのはロビンさんだった。

「話しがずれたけど、Cランクでジークとあれだけ互角に打ち合えるなんて凄い事なの。
 BランクどころかAランクの冒険者でも、ガラさんほどの攻撃なんてなかなか出来ないわよ。
 結果が出るまで分からないけど、不合格と決まった訳ではないわ。」

「そうなのか、まだ落ちたと決まった訳ではないのか。良かった。
 でも、ガラが目指すのがAランクの冒険者なら特訓の改善は必要になるのか。」

ロビンさんの話に少しホッとしたが、特訓の改善は行った方が良いだろう。
今日は、ガラも浩司も俺も疲れていたので、食事をすると直ぐに自分の部屋で寝てしまった。
ジークさんとトムさんは、今夜はギルド会館の方に泊まるらしい。
明日の試験結果が発表されるまでは缶詰状態だそうだ。
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