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319大人とは
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気を取り直して食事を楽しんでいると、ブルネリ公爵とバラン将軍がやってくる。
「拓殿、少し相談があるのだが良いだろうか。
今回の武術大会なんだが、思った以上に好評で来年も行おうと考えている。
そこで、5得ナイフを優勝賞品として付けたいのだが、作って頂く事は可能だろうか。
一応、価格としては金貨13枚と考えているのだが、どうだろう。」
ブルネリ公爵より依頼をされた。
バラン将軍が持っている治癒の魔道具が金貨10枚もするらしい。
治癒の魔道具としては同等で、他の能力を考えて金貨13枚と設定したそうだ。
「作るのは問題ありません。滞在中に5つ程作ってお渡ししますね。
同じのだとつまらないので、色を変えましょうか。後で相談させてください。」
しかし、この程度の性能で金貨10枚か・・・この世界の価値観の方がズレているとしか思えない。
薬で十分だろう。
「拓殿、治せる傷は大したことはないが、直ぐに治り、何度も使えるのは有り難い。
薬と違い、時間が経っても効果は落ちないし、長期間の遠征でもかさばる事は無いしな。」
バラン将軍の説明に納得。って、バラン将軍にまで俺の考えている事を見透かされているのか。
驚いている俺に
「いや、拓殿は裏表もなく分かり易いのでな。何となく考えている事が分かる。」
横で、浩司が笑っているが、俺としてはショックだ。
裏表が無いなんて、まるで子供ではないか。
サリナ姫がカイやレム、クロイツ伯爵の息子トーマスと一緒にやって来て大会の話を始めたので、俺なりの大人のしぐさで話を聞いていると
「どうしたのよ拓ちゃん。お酒でも飲んでいるの?
そもそも、それほど大会自体に興味が無かったでしょ。顔に出てたわよ。」
とサリナ姫に言われると、浩司が大笑い。ブルネリ公爵やバラン将軍まで吹きだしていた。
浩司から先程のバラン将軍とのやり取りを聞くと
「もしかして、さっきは大人の態度のつもりだったの。そういう所は子供なのね。
拓ちゃんって、時々オジサンぽい所があるから、今のままが丁度良いと思うわ。」
オジサンぽいって何だ。大人びているの間違いだろう。
サリナ姫の話にカイとレムは頷き、浩司の笑いが止まらない。
ブルネリ公爵とバラン将軍も顔を背けて、いつまでも笑わないで欲しい。
トーマスだけが、普段と違う公爵や将軍の姿に戸惑っていた。
バラン将軍がトーマスとカイに大会の感想を尋ねると
「大会は色々な戦い方が見れて勉強になりました。
皆さん、色々な戦い方をしていて凄かったです。」
「僕もそうです。アークでは獣人は僕だけですので色々と教わる所が多かったです。」
と答えるトーマスとカイ・・・なんて素直で良い子なんだろう。
カイは普段から一緒に訓練をしているので、トーマスも興味が有るなら誘ってみるか
「良かったら、トーマスも明日から一緒に練習してみる。
流石に皆と同じ練習は無理だけど、少しは教えられるよ。」
「本当ですか。宜しくお願いします。」
と、良い感じで終わる所だったのに
「なんで、同じ子供なのに拓ちゃんだけ素直さが足らないのかしら。」
サリナ姫の余計な1言で、また俺が笑われてしまった。
暫くすると、広場の方から歓声が聞こえてくる。
人が集まっている所へ見に行くと、アークとクリームのメンバーが装備の上にパレードの時の光る装備を付けて演武を舞っていた。
「光る鎧での演武って奇麗だね。
それにしても、あの人達って未だあんな実用性の無い鎧のままで居たのか。」
パレードの後は、魔道具作りに精を出していて皆の警備は見ていなかったが、もしかして鎧を光らせて警備でもしていたのだろうか。
「あの光る剣、カッコいいよな。」
「振ると光の線か残って奇麗だな。」
カイとトーマスが演武で使っている剣を羨ましそうに見ている。
この位の男の子って、あの手の玩具が好きなんだよな。いい歳して、はしゃいでいる人達も目の前に居るが。
彼等が何度も壊すので、予備で作ったのが残っていたはず。
演武が終わった後、光る剣の玩具をカイとトーマスにあげると
「こんな凄いの貰っても良いんですか。」
「嬉しいです。本当にありがとうございます。」
さっそく剣を光らせて喜んでいた。
ただ、周りの大人が羨ましそうに見ているのは如何なものだろう。
更に、サリナ姫、ブルネリ公爵、バラン将軍の姿が見えないと思っていたら、パレードの時に用意した光る剣を持って来て、羨ましがる兵士達に剣を見せびらかして喜んでいる・・・
《サリナお姉さんはともかく、ブルネリ公爵とバラン将軍まで何をやっているのやら。》
それを見たヨギさんが、
「あれを作ったのは拓なのか。良ければ私に売ってもらえないか。」
あんな玩具が欲しいなんて、やはりバラン将軍の師匠だ。
気配の消し方を教えて頂いた礼として上げようとすると、
「子供が気を使うんじゃない。どうせ大会の賭けで儲けた泡銭だ。受け取っておけば良い。」
有難く受け取ると、結構な金額だった。賭けごとなんかに大金を注ぎ込んで本当に大丈夫なのだろうかと他人事ながら心配になる。
光る剣を受け取ったヨギさんは早速バラン将軍と打ち合い、2人揃って俺に修理を依頼してきた。
「拓殿、少し相談があるのだが良いだろうか。
今回の武術大会なんだが、思った以上に好評で来年も行おうと考えている。
そこで、5得ナイフを優勝賞品として付けたいのだが、作って頂く事は可能だろうか。
一応、価格としては金貨13枚と考えているのだが、どうだろう。」
ブルネリ公爵より依頼をされた。
バラン将軍が持っている治癒の魔道具が金貨10枚もするらしい。
治癒の魔道具としては同等で、他の能力を考えて金貨13枚と設定したそうだ。
「作るのは問題ありません。滞在中に5つ程作ってお渡ししますね。
同じのだとつまらないので、色を変えましょうか。後で相談させてください。」
しかし、この程度の性能で金貨10枚か・・・この世界の価値観の方がズレているとしか思えない。
薬で十分だろう。
「拓殿、治せる傷は大したことはないが、直ぐに治り、何度も使えるのは有り難い。
薬と違い、時間が経っても効果は落ちないし、長期間の遠征でもかさばる事は無いしな。」
バラン将軍の説明に納得。って、バラン将軍にまで俺の考えている事を見透かされているのか。
驚いている俺に
「いや、拓殿は裏表もなく分かり易いのでな。何となく考えている事が分かる。」
横で、浩司が笑っているが、俺としてはショックだ。
裏表が無いなんて、まるで子供ではないか。
サリナ姫がカイやレム、クロイツ伯爵の息子トーマスと一緒にやって来て大会の話を始めたので、俺なりの大人のしぐさで話を聞いていると
「どうしたのよ拓ちゃん。お酒でも飲んでいるの?
そもそも、それほど大会自体に興味が無かったでしょ。顔に出てたわよ。」
とサリナ姫に言われると、浩司が大笑い。ブルネリ公爵やバラン将軍まで吹きだしていた。
浩司から先程のバラン将軍とのやり取りを聞くと
「もしかして、さっきは大人の態度のつもりだったの。そういう所は子供なのね。
拓ちゃんって、時々オジサンぽい所があるから、今のままが丁度良いと思うわ。」
オジサンぽいって何だ。大人びているの間違いだろう。
サリナ姫の話にカイとレムは頷き、浩司の笑いが止まらない。
ブルネリ公爵とバラン将軍も顔を背けて、いつまでも笑わないで欲しい。
トーマスだけが、普段と違う公爵や将軍の姿に戸惑っていた。
バラン将軍がトーマスとカイに大会の感想を尋ねると
「大会は色々な戦い方が見れて勉強になりました。
皆さん、色々な戦い方をしていて凄かったです。」
「僕もそうです。アークでは獣人は僕だけですので色々と教わる所が多かったです。」
と答えるトーマスとカイ・・・なんて素直で良い子なんだろう。
カイは普段から一緒に訓練をしているので、トーマスも興味が有るなら誘ってみるか
「良かったら、トーマスも明日から一緒に練習してみる。
流石に皆と同じ練習は無理だけど、少しは教えられるよ。」
「本当ですか。宜しくお願いします。」
と、良い感じで終わる所だったのに
「なんで、同じ子供なのに拓ちゃんだけ素直さが足らないのかしら。」
サリナ姫の余計な1言で、また俺が笑われてしまった。
暫くすると、広場の方から歓声が聞こえてくる。
人が集まっている所へ見に行くと、アークとクリームのメンバーが装備の上にパレードの時の光る装備を付けて演武を舞っていた。
「光る鎧での演武って奇麗だね。
それにしても、あの人達って未だあんな実用性の無い鎧のままで居たのか。」
パレードの後は、魔道具作りに精を出していて皆の警備は見ていなかったが、もしかして鎧を光らせて警備でもしていたのだろうか。
「あの光る剣、カッコいいよな。」
「振ると光の線か残って奇麗だな。」
カイとトーマスが演武で使っている剣を羨ましそうに見ている。
この位の男の子って、あの手の玩具が好きなんだよな。いい歳して、はしゃいでいる人達も目の前に居るが。
彼等が何度も壊すので、予備で作ったのが残っていたはず。
演武が終わった後、光る剣の玩具をカイとトーマスにあげると
「こんな凄いの貰っても良いんですか。」
「嬉しいです。本当にありがとうございます。」
さっそく剣を光らせて喜んでいた。
ただ、周りの大人が羨ましそうに見ているのは如何なものだろう。
更に、サリナ姫、ブルネリ公爵、バラン将軍の姿が見えないと思っていたら、パレードの時に用意した光る剣を持って来て、羨ましがる兵士達に剣を見せびらかして喜んでいる・・・
《サリナお姉さんはともかく、ブルネリ公爵とバラン将軍まで何をやっているのやら。》
それを見たヨギさんが、
「あれを作ったのは拓なのか。良ければ私に売ってもらえないか。」
あんな玩具が欲しいなんて、やはりバラン将軍の師匠だ。
気配の消し方を教えて頂いた礼として上げようとすると、
「子供が気を使うんじゃない。どうせ大会の賭けで儲けた泡銭だ。受け取っておけば良い。」
有難く受け取ると、結構な金額だった。賭けごとなんかに大金を注ぎ込んで本当に大丈夫なのだろうかと他人事ながら心配になる。
光る剣を受け取ったヨギさんは早速バラン将軍と打ち合い、2人揃って俺に修理を依頼してきた。
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