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315誰の特訓?

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初めは、ガラや皆の特訓の手助けだと思っていたが、グリムからは

『お前達は、元からの膨大な魔力が有るから続けて魔法を放てて当たり前。
 良いか、拓、光魔法は攻撃力が弱い。なら相手の弱点を狙える様に魔力操作の精度を上げるんじゃ。
 簡単に避けられ過ぎじゃ。数を打つだけでなく、狙う所を考えるんじゃ。
 相手が避けた先まで考えるんじゃ。読みが甘い。
 浩司は、攻撃力の加減が甘いぞ。込める魔力量を調整して、緩急を付けるんじゃ。
 攻撃が単調に成り過ぎじゃ。フェイントを混ぜろ、ガラに慣れさせるんじゃない。
 お前達は無詠唱なのに遅いぞ。もっと早く放つんじゃ。遅い、遅い、遅いぞ。
 自分の魔力量に頼るな。もっと技を磨くんじゃ。』

俺達に対して1番多くの要求があり、俺達にとってもキツイ訓練となっている。
因みに、最も避けるのが上手いのはヤマトだった。

『皆、まだまだにゃ。もっと吾輩を見習うと良いにゃ。』

デブ猫にも関わらず、動きが素早い。それも最低限の動作で避けている。
次はバラン将軍、そしてモーゼスさん、ジークフリートさんとなり、後は同じくらいの力量だろうか。

午後は、OZ対アーク+クリームのチーム戦だ。
俺と浩司の魔力に制限しているとはいえ、フェイントが効きづらくなり良い試合になっている。
夜の警護に影響が出ない程度で訓練を終わりにする。

最後にOZのメンバーがランダムに俺と浩司に剣の訓練をしてくれるのだが…
俺は努力はしている、しているのだが、結果に全く現れない。
剣の才能は無いみたいで避ける事に集中して訓練を行っている。
俺と違い、浩司の剣術はかなり上達している。

「体を動かす才能も欲しかったな。」

『それだけの魔力を持っていて、何を贅沢を言っておるんじゃ。
 しかし、周りの奴等が凄いとはいえ、拓は運動神経がイマイチじゃな。
 魔道具でも作ってみてはどうじゃ。幾つか魔道結晶が残っておるじゃろう。』

「火、木、雷の魔道結晶が残っているね。
 ただ、接近戦での体術の対処が問題なんだよ。
 俺自身への強化魔法は、普通より強く効いているはずなんだけどな。
 ナターシャの体術相手だとシールドで対応する余裕は無いし
 浩司が居なければ距離を取る事も出来なかったからな。」

4本指・・・ナターシャには仲間がいるとすると、自衛手段を考えた方が良い。
結界の1部を解除して魔法を繰り出せればと思ったが、結界の1部だけの解除は出来なかった。
ナターシャの様に気配を周囲に同化させようと試してはいるが、その感覚が理解できずにいる。

「何を考え込んでいるんだよ。」

訓練を終えた浩司が俺の所にやって来た。

「接近戦を挑まれた時の、身の守り方。魔力が多くても出来ない事ばかりだね。」

「なら、俺が強くなれば良いんだろ。何か有れば、助けるから安心しろよ。」

全く、浩司って何でこんな事をあっさり言えるんだろう。本当にカッコよくて困る。
とは言っても、何か考えた方が良いだろう。


俺達の練習を見ていた兵士の人達も自主練習を行う様になっていた。
対戦を行ったり、結構盛り上がっている。

「折角だから、勝ち抜き戦でもやってみるか。」

バラン将軍の提案で、バラン将軍の部下とブルネリ公爵の兵士の合同で年明けにトーナメントを開催する事になった。
体育会系集団の凄い盛り上がり。
俺達と一緒に、皆さんも猛特訓をしている。
熱中し過ぎて怪我をする人も多く、ピース医師が呼ばれ治療を行ってくれた。
しかし、こういうノリって理解できないんだよな。
わざわざ、他人と対戦して何が楽しいのだろう。
練習ですら怪我をする様な人達なので、医療班としてピース医師と待機しておくか。

『拓、優勝者には景品を用意してはどうじゃ。
 お前が練習で魔法陣を描いたコアが有るじゃろ。何か面白い物でも考えてみろ。
 最近、気を張ってばかりじゃから、息抜きに良いじゃろう。』

『それは良いにゃ。最近の拓は、ちょっと考え過ぎにゃ。少し遊びを入れた方が良いにゃ。』

自転車を作ってから、遊び物を作ってない。
確かに何か粗品を用意するのも良いな。どうせなら使える物にしたい。
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