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280行き倒れ
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襲撃を受けた直後から、クルアの町の出入りする人のチェックが厳しくなった。
ナターシャを捕まえる為に、人が入れそうな荷物は必ず中を調べられる。
更に襲撃を行った異教徒が町に潜伏しているという事で、外から来た人間は予定を切り上げ帰ろうと門の前は長蛇の列。
俺達は初めの予定通り残り1週間泊ってから帰る事にした。
その間、ナターシャが捕まったという話は出て来なかった。
朝、早くに出発したが、出るまでに30分位かかった。
未だナターシャは捕まらず、町を出る為の検査は厳しいままだ。。
無事を知らせる為にブルネリ公爵領に寄る予定だが、マクニス王国経由となるためクルアの町を出た殆どの人がこの街道を歩いている。
宿泊用に設けられた広場で集団から離れた端の方でテントを設置した。テントの中でジュースで乾杯だ。
「お疲れ、拓ちゃん。これで、少しはダメージを与えられたか。」
「お疲れ様。それなりに上手く行ったと思うよ。とりあえず無事に済んで良かったよ。」
『拓は絡め手ばかり狙うな。スカッと叩き潰しても良かろうに。』
『そうだにゃ、もっと活躍出来ると楽しみにしていたのにゃ。』
今回の、神殿への襲撃の犯人は俺だ。
闇の魔力を纏い神殿内部へ忍び込み、ヤマトを頭に乗せた状態でヤマトを含んで変身魔法でナターシャに化けた。
変身魔法は光魔法を纏う事で相手に違った映像を見せる為、小さくなることは出来ないが、自分より大きい姿になる事が出来る。
後は、ヤマトに闇魔法を放ってもらいながら講堂に逃げ込み、大勢の信者にもナターシャの姿を見せつけ、最後は埃と人混みに紛れて別の姿に変身して逃げ出した。
「ギリス教が水晶の玉を潰されてダメージが何処まで受けたかは分からない。
潰したと言っても、あそこには50個位しかなかったしね。
とりあえず、ナターシャを追い込む事は出来たと思う。
彼女がギリス教と裏で関わっているのは間違いない。
今回の騒動で、ギリス教や関わっている貴族が敵に回り、きっと面白くなるよ。」
浩司に、その顔は止めろと言われてしまった。
どう見ても、俺の方が悪者にしか見えないそうだ・・・失礼な。
「しかし、大切な水晶の玉を置いてある部屋なのに、魔法結界も何も無いってずさんな管理だよな。」
『それは仕方が無いじゃろう。
結界が張られていては水晶の玉に吸収させた濁った気を空中に放出しても結界で阻まれ浄化出来んからな。
建物を強固にし、濁った気を吸収しない様に離れた所に見張りを立てるしか手段が無いのじゃ。』
「結構、面倒なんだな。拓ちゃんは濁った気をどうしているんだ。」
「回りの人の分も集めてとってあるよ。いざと言う時の武器としてね。
水晶の玉作りは大変な事では無いから保管に困る事も無いし。」
ピース医師だけでなく、アークのダニエルさんやクリームのトムさんも怪我をした冒険者に積極的に使っていて、結構な量の濁った気が集まっている。
いざという時の非常手段として真っ黒水晶の玉を5個は作る予定だ。
大量に集めれば、クリーンな破壊兵器になる。
「だから、その顔は止めた方が良いぞ。」
またしても、浩司に言われてしまった。いったい、俺はどんな顔をしていたのだろうか。
グリムやヤマトからも、ダーク拓とからかわれてしまった。
徐々に他の街道と合流すると獣人の姿も見えてくる。
その中に、酷く疲れているのにも関わらず、急いでいる獣人の2人組が居た。
気にして見ていると、ついに立ち止まってしまった。
周りの人間は何も無かったように進むか、ゴミの様に見ている。
街道を歩いているのは殆どがクルアの町から来ている人達なので仕方がないのか。
「大丈夫ですか。良ければ、水でもどうです。」
周りの人達を無視して、彼等に水を差し出す。
少し驚いていたが、差し出した水を飲み始めた。何杯かお代わりをし、一息付くと
「ありがとう。俺はスミス、こっちはアドルだ。」
と名乗った。スミスさんとアドルさんは犬属の獣人だ。
「急いで何処に行かれる予定ですか。」
「ブルネリ公爵の所だ。助けて頂いて悪いが、急の用の為、先に行かせて頂く。」
水すら飲んでないとすれば、食事もまともに取っていないだろう。
「少し先に広場が有ります。これから食事をするつもりなので、一緒にどうですか。」
「しかし、俺達は・・・」
「今の状態で、ブルネリ公爵領に辿り着くのは無理です。また途中で倒れるだけですよ。
大切な用事なら、尚更考えて行動した方が良い。」
2人に回復魔法をかけて、広場で少し早い昼食を食べる事にした。
ナターシャを捕まえる為に、人が入れそうな荷物は必ず中を調べられる。
更に襲撃を行った異教徒が町に潜伏しているという事で、外から来た人間は予定を切り上げ帰ろうと門の前は長蛇の列。
俺達は初めの予定通り残り1週間泊ってから帰る事にした。
その間、ナターシャが捕まったという話は出て来なかった。
朝、早くに出発したが、出るまでに30分位かかった。
未だナターシャは捕まらず、町を出る為の検査は厳しいままだ。。
無事を知らせる為にブルネリ公爵領に寄る予定だが、マクニス王国経由となるためクルアの町を出た殆どの人がこの街道を歩いている。
宿泊用に設けられた広場で集団から離れた端の方でテントを設置した。テントの中でジュースで乾杯だ。
「お疲れ、拓ちゃん。これで、少しはダメージを与えられたか。」
「お疲れ様。それなりに上手く行ったと思うよ。とりあえず無事に済んで良かったよ。」
『拓は絡め手ばかり狙うな。スカッと叩き潰しても良かろうに。』
『そうだにゃ、もっと活躍出来ると楽しみにしていたのにゃ。』
今回の、神殿への襲撃の犯人は俺だ。
闇の魔力を纏い神殿内部へ忍び込み、ヤマトを頭に乗せた状態でヤマトを含んで変身魔法でナターシャに化けた。
変身魔法は光魔法を纏う事で相手に違った映像を見せる為、小さくなることは出来ないが、自分より大きい姿になる事が出来る。
後は、ヤマトに闇魔法を放ってもらいながら講堂に逃げ込み、大勢の信者にもナターシャの姿を見せつけ、最後は埃と人混みに紛れて別の姿に変身して逃げ出した。
「ギリス教が水晶の玉を潰されてダメージが何処まで受けたかは分からない。
潰したと言っても、あそこには50個位しかなかったしね。
とりあえず、ナターシャを追い込む事は出来たと思う。
彼女がギリス教と裏で関わっているのは間違いない。
今回の騒動で、ギリス教や関わっている貴族が敵に回り、きっと面白くなるよ。」
浩司に、その顔は止めろと言われてしまった。
どう見ても、俺の方が悪者にしか見えないそうだ・・・失礼な。
「しかし、大切な水晶の玉を置いてある部屋なのに、魔法結界も何も無いってずさんな管理だよな。」
『それは仕方が無いじゃろう。
結界が張られていては水晶の玉に吸収させた濁った気を空中に放出しても結界で阻まれ浄化出来んからな。
建物を強固にし、濁った気を吸収しない様に離れた所に見張りを立てるしか手段が無いのじゃ。』
「結構、面倒なんだな。拓ちゃんは濁った気をどうしているんだ。」
「回りの人の分も集めてとってあるよ。いざと言う時の武器としてね。
水晶の玉作りは大変な事では無いから保管に困る事も無いし。」
ピース医師だけでなく、アークのダニエルさんやクリームのトムさんも怪我をした冒険者に積極的に使っていて、結構な量の濁った気が集まっている。
いざという時の非常手段として真っ黒水晶の玉を5個は作る予定だ。
大量に集めれば、クリーンな破壊兵器になる。
「だから、その顔は止めた方が良いぞ。」
またしても、浩司に言われてしまった。いったい、俺はどんな顔をしていたのだろうか。
グリムやヤマトからも、ダーク拓とからかわれてしまった。
徐々に他の街道と合流すると獣人の姿も見えてくる。
その中に、酷く疲れているのにも関わらず、急いでいる獣人の2人組が居た。
気にして見ていると、ついに立ち止まってしまった。
周りの人間は何も無かったように進むか、ゴミの様に見ている。
街道を歩いているのは殆どがクルアの町から来ている人達なので仕方がないのか。
「大丈夫ですか。良ければ、水でもどうです。」
周りの人達を無視して、彼等に水を差し出す。
少し驚いていたが、差し出した水を飲み始めた。何杯かお代わりをし、一息付くと
「ありがとう。俺はスミス、こっちはアドルだ。」
と名乗った。スミスさんとアドルさんは犬属の獣人だ。
「急いで何処に行かれる予定ですか。」
「ブルネリ公爵の所だ。助けて頂いて悪いが、急の用の為、先に行かせて頂く。」
水すら飲んでないとすれば、食事もまともに取っていないだろう。
「少し先に広場が有ります。これから食事をするつもりなので、一緒にどうですか。」
「しかし、俺達は・・・」
「今の状態で、ブルネリ公爵領に辿り着くのは無理です。また途中で倒れるだけですよ。
大切な用事なら、尚更考えて行動した方が良い。」
2人に回復魔法をかけて、広場で少し早い昼食を食べる事にした。
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