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246浄化
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「お主はパラライトを使い魔力増幅を行っているのか。」
パラライトは山脈に有る遺跡で手に入れた鉱物で、魔力を増幅する性質を持っている。
俺が頷き、パラライトで出来た短剣を見せると
「素晴らしく良質のパラライトだな。魔力の強化にこれを使うと良い。」
リッチから渡されたのは、光の魔道結晶。
それも、細かい魔法陣が描かれている。
「描かれている魔法陣は光魔法の強化だ。
パラライトと組み合わせれば、光魔法であれば更に強い増幅が可能となる。
アンデットを浄化の手助けになるだろう。」
魔力増幅の短剣と光の魔道結晶を合わせて浄化の魔法を発動させると、強い力が放出された。
『おぉ、良い性能じゃな。パラライトだけの魔力強化と言えば、2割増しが限界じゃが・・・』
「これは、5割増しの効果は得られているね。凄い魔道結晶だな。」
これは助かる。
「使いこなせそうだな。しかし、ここで浄化の魔法は放たないでもらえないか。
その魔法は、私にも効果が有るのでな。」
リッチに効果が有る事にすら気が回らないとは、どれだけ浮かれていたんだ。
直ぐに謝り、先ずは状況を報告する為に、上の洞窟に戻る事を伝えると
同じような魔法陣が描かれた闇の魔道結晶を渡された。
「もし、全員を神殿に連れてくる事にしても、その魔道結晶を使えば少しは楽になるだろう。」
リッチは、ここから俺達の動向を把握していたのか?
いや、魔力を把握できれば、簡単に推測が付くか。
扉の外で待っていたジークさんとニコラスさん、ヤマトにリッチとアンデットが2000年前の神殿に仕えた者だという事と、アンデットを浄化させて欲しいとの依頼を受けた事を伝えた。
勇者との話は黙っておいた。何もリッチの苦しみまで話す必要はないだろう。
ムハンマの神殿で待機するように伝えて、俺と浩司は上の洞窟に移動した。
上の洞窟に戻ると、皆さん、美味しそうに食事の最中
一緒に食べながら下の状況を伝えると、全員がムハンマの神殿まで来ると言ってくる。
『何か有った時の為に、数人は外で待機した方が良いじゃろう。』
グリムの言う事は全員考えていたようで報告の信憑性を考え、トムさん、ジェニファーさん、ロビンさんが地上で待機する事になった。
ジェニファーさんが露骨に不満そうな表情をしていたが、渋々従ってくれた。
ムハンマの神殿に戻り少し休んでから、ロックウォールで作った高台に登り魔法陣によるアンデットの浄化を始めた。
今までのアンデットは黒い霧が噴き出し細切れになりながら消え、体は砂となって崩れていたが、今回はアンデットの体自体が黒くなり、そのまま砂となって崩れて行った。
『アンデットと言っても幽体の魔獣に取りつかれた者と、自らアンデットとなった者の違いじゃな。
これで、やっと安らかに眠る事が出来るじゃろう。』
魂が安定し、光の魔力を増幅する魔道具のお陰で負担が少なかったが、魔力を込め過ぎその場で力尽きてしまった。
『魔力を込め過ぎじゃ。しかし、今までの中で最も温かい魔法陣じゃったぞ。頑張ったな。』
浩司に心配されてしまったが、無事に浄化は終える事が出来た。
全てが終わり俺が回復するのを待って、リッチに報告する為に全員で広間に戻った。
預かった光と闇の魔道結晶を返そうとすると、
「それは、私の依頼を成し遂げてくれた礼として受け取って欲しい。」
そう言ってくれるので、有りがたく受け取る事にした。
「これで、仲間の魂は救われるだろう。
最後にもう1つ願いが有る。
虫の良い話だが、外に出たら神殿に通じる穴を崩し、この神殿と私の事は黙っていてくれないだろうか。」
「貴方はどうするんです。一緒に外の世界に来ませんか。」
「その申し出は嬉しいが、私はこの神殿に残る。」
「そんな、たった1人で生きて行くなんて地獄じゃないですか。」
「罪を背負った私はここで生きて行くのが丁度良い。
それに、今の私が外の世界に出ては問題にしかならないだろう。」
こんな事、納得が出来ない。納得できないのに、何も言葉が出てこない。
パラライトは山脈に有る遺跡で手に入れた鉱物で、魔力を増幅する性質を持っている。
俺が頷き、パラライトで出来た短剣を見せると
「素晴らしく良質のパラライトだな。魔力の強化にこれを使うと良い。」
リッチから渡されたのは、光の魔道結晶。
それも、細かい魔法陣が描かれている。
「描かれている魔法陣は光魔法の強化だ。
パラライトと組み合わせれば、光魔法であれば更に強い増幅が可能となる。
アンデットを浄化の手助けになるだろう。」
魔力増幅の短剣と光の魔道結晶を合わせて浄化の魔法を発動させると、強い力が放出された。
『おぉ、良い性能じゃな。パラライトだけの魔力強化と言えば、2割増しが限界じゃが・・・』
「これは、5割増しの効果は得られているね。凄い魔道結晶だな。」
これは助かる。
「使いこなせそうだな。しかし、ここで浄化の魔法は放たないでもらえないか。
その魔法は、私にも効果が有るのでな。」
リッチに効果が有る事にすら気が回らないとは、どれだけ浮かれていたんだ。
直ぐに謝り、先ずは状況を報告する為に、上の洞窟に戻る事を伝えると
同じような魔法陣が描かれた闇の魔道結晶を渡された。
「もし、全員を神殿に連れてくる事にしても、その魔道結晶を使えば少しは楽になるだろう。」
リッチは、ここから俺達の動向を把握していたのか?
いや、魔力を把握できれば、簡単に推測が付くか。
扉の外で待っていたジークさんとニコラスさん、ヤマトにリッチとアンデットが2000年前の神殿に仕えた者だという事と、アンデットを浄化させて欲しいとの依頼を受けた事を伝えた。
勇者との話は黙っておいた。何もリッチの苦しみまで話す必要はないだろう。
ムハンマの神殿で待機するように伝えて、俺と浩司は上の洞窟に移動した。
上の洞窟に戻ると、皆さん、美味しそうに食事の最中
一緒に食べながら下の状況を伝えると、全員がムハンマの神殿まで来ると言ってくる。
『何か有った時の為に、数人は外で待機した方が良いじゃろう。』
グリムの言う事は全員考えていたようで報告の信憑性を考え、トムさん、ジェニファーさん、ロビンさんが地上で待機する事になった。
ジェニファーさんが露骨に不満そうな表情をしていたが、渋々従ってくれた。
ムハンマの神殿に戻り少し休んでから、ロックウォールで作った高台に登り魔法陣によるアンデットの浄化を始めた。
今までのアンデットは黒い霧が噴き出し細切れになりながら消え、体は砂となって崩れていたが、今回はアンデットの体自体が黒くなり、そのまま砂となって崩れて行った。
『アンデットと言っても幽体の魔獣に取りつかれた者と、自らアンデットとなった者の違いじゃな。
これで、やっと安らかに眠る事が出来るじゃろう。』
魂が安定し、光の魔力を増幅する魔道具のお陰で負担が少なかったが、魔力を込め過ぎその場で力尽きてしまった。
『魔力を込め過ぎじゃ。しかし、今までの中で最も温かい魔法陣じゃったぞ。頑張ったな。』
浩司に心配されてしまったが、無事に浄化は終える事が出来た。
全てが終わり俺が回復するのを待って、リッチに報告する為に全員で広間に戻った。
預かった光と闇の魔道結晶を返そうとすると、
「それは、私の依頼を成し遂げてくれた礼として受け取って欲しい。」
そう言ってくれるので、有りがたく受け取る事にした。
「これで、仲間の魂は救われるだろう。
最後にもう1つ願いが有る。
虫の良い話だが、外に出たら神殿に通じる穴を崩し、この神殿と私の事は黙っていてくれないだろうか。」
「貴方はどうするんです。一緒に外の世界に来ませんか。」
「その申し出は嬉しいが、私はこの神殿に残る。」
「そんな、たった1人で生きて行くなんて地獄じゃないですか。」
「罪を背負った私はここで生きて行くのが丁度良い。
それに、今の私が外の世界に出ては問題にしかならないだろう。」
こんな事、納得が出来ない。納得できないのに、何も言葉が出てこない。
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