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「ここから歩きだ。明日には死者の洞窟に着く。気を引き締めろ。」

ジークさんの言葉に、全員気持ちを切り替えたみたいだ。
それにしても、ゾンビの巣窟に向かうとなると、気持ち悪いな。
辿りつくまでに、何度かアンデットと遭遇。
中には、スケルトンまで居た。
ガラやエチゴさんもグリムの魔法訓練で浄化の魔法を使える様になっている。
他にも、光魔法を使えるクリームのトムさん、アークのダニエルさんも使用できる。
アンデットとの対戦は他のメンバーが足止めしている間に、この5人が浄化の魔法で仕留めていく。

俺も浄化の魔法を使ってみたが、以前と比べ体への負担が少なくなったみたいだ。
グリムに「この世をさまよい続ける苦悩を断ち切って欲しい」と言われ精神的に楽になったからだろうか。

「俺が誘っておいてなんだが、5人が浄化の魔法を使えって凄いパーティだな。」

ジークさんによると、浄化の魔法は光魔法の中でも上位になる為、この規模のパーティだと2人も居れば良い方らしい。

「しかし、徘徊しているアンデットが多過ぎる。」

辿りついた死者の洞窟は、溶岩の岩場だった。
遠くから見ていると、あちらこちらに洞窟の入口があり多くのアンデットが彷徨っていた。

「あんまり気持ちの良い眺めじゃないな。大丈夫か拓ちゃん。」

高くなった岩場の上で探索魔法をかけていた俺の所に浩司がやってきた。

「見えるだけでも数十体のアンデットが徘徊してるよ。当初の目論見が崩れた。」

「目論見って何だよ。」

「いざとなったら、洞窟を破壊して閉じ込めれば良いと思ってたんだ。
 ついでに、遺跡探索もしてみたかったんだけどね。この場所で影も形も無いという事は、溶岩に埋もれてる。」

『遺跡が地上に有れば、既に見つかっていたじゃろう。
 しかし、手付かずの遺跡なら新しい発見が有ったかも知れん。残念じゃな。』

「遺跡よりも、アンデット対応の方が先だろ。
 クリームやアークにも遺跡について説明しないのか。」

「何があるか分からないなら、知っておいた方が良いか。」

これ以上近付くのは危険と判断し、今夜はここでテントを張る事にした。
アークのハンスさんとフェリックスさんが結界を張るのを手伝ってくれるので、2種類の杭状の魔道具を渡す。

「助かります。では黒いのを外側に、白いのを内側に設置して下さい。」

「白いのはいつもの魔獣が近付いてくると知らせる魔道具だよな。黒いのは何だ。」

「闇の魔力の結界で、中の気配を隠します。
 機能の確認はしましたが、アンデットにどこまで効果かは実際に試してみないと分かりません。」

2人は感心してくれたが、本当に効果が有るだろうか。
結界を張り、しばらく待っていると3体のアンデットがやって来た。

「皆さん、静かに。」

結界の中に居る俺達に全く気付かない。
音も出だしてみるが、騒がなければ問題無さそうだ。

「この結界は凄いな。魔力さえ放出しなければ、ここを拠点に調査が出来そうだ。」

ギルドの情報では、外に出ているアンデットは数体だった。
しかし、現状は数十体のアンデットが確認できる。
ジークさんとしては、情報と開きが有りすぎる為、中止も考えていたらしい。
しかし、拠点が出来たので、無理をしない程度に調査を行う事にした。
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