上 下
202 / 744

202サリーの家1

しおりを挟む
俺達は来る時とは違う道を通ってラグテルの町に帰る事にした。
この道が通る町は少なく、人が居ないのでアイテムボックスを使い快適な旅が出来るが、魔獣の出現が多い。
その為、魔獣討伐を行いながら進んでいるが、俺と浩司の出番が全くない。
皆の攻撃が格段に上がっている。レオも魔道具を使いこなしている。

「どうだ。クリームに稽古をつけてもらったんだ。まぁ、拓が用意してくれた道具の力が大きいけどな。」

ガラはそう言うが、並大抵の訓練ではなかっただろう。
本当に凄い。俺も負けていられないな。

ラグテルの町に着いたのは夕方だったが、直ぐにニックさんとサリーに会って孤児院の授業の様子を伺うと

「事前に、あれだけ教えて頂いたんです。問題無く教えることが出来ましたよ。
 OZの皆さんが帰ってきたら、教育の成果を見せたいと思っていました。」

俺達の了解を取ると、直ぐに孤児院に話を通して明日、臨時授業を行なう事になった。

ニックさんとサリーの授業は凄く良かった。
俺達が旅立つ前は、ぎごちない所が有ったが、もう本当の教師だ。
説明も丁寧で、子供達も理解しやすい。正直、俺よりも説明が上手い。
そして、最後の料理の授業は中止にし、OZからの味のお土産の時間とさせてもらった。
今回のメインは、寿司。
浩司が握り、ガラとアルは押し寿司を作り、エチゴさん、レオは魚の煮付、天ぷらを作っている。
俺は給仕担当だ。
初めに1食分を出しておいたつもりだったが、お代わりが多く休む暇も無い。
喜んでくれるのは良いが、食べ過ぎではないだろうか。
案の定、苦しくて動けない子供多数。ニックさん、アークのメンバーも同様。
胃薬は持っていないぞ。
レオがデザートにゼリーを用意していると聞くと、そんな状態でも全員 最後まで食べきってしまった。 

孤児院から戻り近況を聞いていると、サリーはニックさんの秘書になる為の勉強も始めたらしい。
かなり遅くまでニックさんの所に残ったりしているみたいだ。
来年には孤児院を出て1人暮らしか。女の子1人だと心配だな。

「サリーは、孤児院を出たら何処に住むつもりなの。」

「この近くに住みたいと考えています。ここなら孤児院にも近いですから。」

「そうなんだ。この辺は、アークのお蔭で治安が良いしね。」

以前は獣人の住んでいる地区周辺は、獣人に絡む人間がそれなりに居たが
ニックさんやBランク冒険者のアークが住むようになり、冒険者達の獣人に対する態度が変わって来てからは治安が改善されている。
アークのメンバーが時々 地区一帯の見周りをしている影響も強い。
それでも、夜遅い女性の一人歩きは危ない。

「どうせなら、ニックさん達の庭に部屋を作ってしまうとか。」

ニックさん達の住まいは広い庭が付いているので、冗談で言ったつもりが

「拓さん、その案良いですね。
 この家の空き部屋も有りますが、四六時中私と一緒では気が休まらないでしょうし。
 どうせ使っていない庭です。夜、女性に外を歩かせるより、その方がずっと良い。」

ニックさんが乗り気になり、恐縮しているサリーを口説いてしまった。
サリーに希望する部屋を聞いてみたが、勉強と寝れるスペースが有れば良いとの事。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...