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198悪者扱い
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朝、早くに港に着いたが、大勢の人達に出向かわれた。
もちろん俺達では無く、カミーラ船長が目当ての人達で「カミーラ船長」「姉御」と黄色い声援が飛んでいる。
俺達が無人島に行っている間、港町は大きく変わっていた。
町を牛耳っていた、白い壁の区画の人間も、彼等の仕事を請け負っていた船員も全て町を出て行ったそうだ。
そして、彼等に虐げられていた元船員達が港で精力的に働いている。
あの子供達も、仕事を与えられ生活が改善されているらしい。
宿に戻り、食堂で休んでいると、宿の亭主が皆に水を出しながら、俺達が出港した後の話を聞かせてくれた。
「病が落ちついて、白い壁の区画が解放されるとあいつ等が家に戻ったんですがね、
直ぐに出てきて、金が無いだの、武器が無いだの騒ぐんですよ。
そうしたら、うちの副船長が
『お前達は、全ての金も持ち物も仮面の男に渡したはずだ。有るわけが無いだろ。』
と言って切り捨てたんですが、それでも、
『隠しておいた財産が全て無くなっているんだ。無一文でどうすれば良いんだ。』
なんて泣きつくんで、日雇いで荷物運びや船の清掃をやらせたんです。
今まで、散々迷惑を掛けたんだから、ほっとけば良いのに副船長も人が良いですよね。
で、あいつ等は、少し金が溜まったら直ぐに町を出て行きましたよ。
それにしても、隠し財産は何処に行ったんでしょうね。」
亭主が首を傾げているが、バラン将軍以下、兵士全員が何故か黙って俺を見ている。
更にOZのメンバーは露骨に呆れていた。
《嘘をついて、隠し財産なんて残す方が悪いだろ。何で俺が悪者の様に見られているんだ。》
「それにしても、あの仮面の人はどうなったのでしょうか。
この町の恩人なのに、遺体も見つからず・・・無事なら良いのですが。」
仮面の男が山賊に襲われた痕跡が見つかった後、町の有志が集まり大規模な捜査が行われた。
しかし、仮面の男どころか、山賊の痕跡も見つける事が出来ずに終わった。
皆、仮面の男が無事でいるか心配しているらしい。
非常に気まずい。そこまで、心配されるとは考えてもいなかった。
微妙な空気になったしまった所に、珍しい人が訪ねてきた。
「遺跡の探索はどうだった。」
「えっ、ブルネリさん、セバスチャンにルドルフさんまでどうしたんです。」
ブルネリ公爵もそうだが、執事のセバスチャンに、ルドルフ料理長の組み合わせは何だろう。
「何を言っている。拓殿に手紙をもらい、ここにやって来たんだ。
それに、最近は忙しく公務でなければ外出も出来なかったからな。」
ブルネリ公爵の出現に、兵士だけでなく、カミーラ船長、宿の亭主も全員直立不動だ。
「皆、座ってくれ。
OZの皆さん、バラン将軍、疲れている所申し訳ないが付き合ってもらえないか。」
ブルネリ公爵に連れて行かれたのは、寒天を作ってくれていた子供達が住んでいる区画の近くだった。
そこには、立派な囲いの中に、温室の様な建物が1棟、大型の物置サイズの窓の無い建物が3棟建っていた。
もちろん俺達では無く、カミーラ船長が目当ての人達で「カミーラ船長」「姉御」と黄色い声援が飛んでいる。
俺達が無人島に行っている間、港町は大きく変わっていた。
町を牛耳っていた、白い壁の区画の人間も、彼等の仕事を請け負っていた船員も全て町を出て行ったそうだ。
そして、彼等に虐げられていた元船員達が港で精力的に働いている。
あの子供達も、仕事を与えられ生活が改善されているらしい。
宿に戻り、食堂で休んでいると、宿の亭主が皆に水を出しながら、俺達が出港した後の話を聞かせてくれた。
「病が落ちついて、白い壁の区画が解放されるとあいつ等が家に戻ったんですがね、
直ぐに出てきて、金が無いだの、武器が無いだの騒ぐんですよ。
そうしたら、うちの副船長が
『お前達は、全ての金も持ち物も仮面の男に渡したはずだ。有るわけが無いだろ。』
と言って切り捨てたんですが、それでも、
『隠しておいた財産が全て無くなっているんだ。無一文でどうすれば良いんだ。』
なんて泣きつくんで、日雇いで荷物運びや船の清掃をやらせたんです。
今まで、散々迷惑を掛けたんだから、ほっとけば良いのに副船長も人が良いですよね。
で、あいつ等は、少し金が溜まったら直ぐに町を出て行きましたよ。
それにしても、隠し財産は何処に行ったんでしょうね。」
亭主が首を傾げているが、バラン将軍以下、兵士全員が何故か黙って俺を見ている。
更にOZのメンバーは露骨に呆れていた。
《嘘をついて、隠し財産なんて残す方が悪いだろ。何で俺が悪者の様に見られているんだ。》
「それにしても、あの仮面の人はどうなったのでしょうか。
この町の恩人なのに、遺体も見つからず・・・無事なら良いのですが。」
仮面の男が山賊に襲われた痕跡が見つかった後、町の有志が集まり大規模な捜査が行われた。
しかし、仮面の男どころか、山賊の痕跡も見つける事が出来ずに終わった。
皆、仮面の男が無事でいるか心配しているらしい。
非常に気まずい。そこまで、心配されるとは考えてもいなかった。
微妙な空気になったしまった所に、珍しい人が訪ねてきた。
「遺跡の探索はどうだった。」
「えっ、ブルネリさん、セバスチャンにルドルフさんまでどうしたんです。」
ブルネリ公爵もそうだが、執事のセバスチャンに、ルドルフ料理長の組み合わせは何だろう。
「何を言っている。拓殿に手紙をもらい、ここにやって来たんだ。
それに、最近は忙しく公務でなければ外出も出来なかったからな。」
ブルネリ公爵の出現に、兵士だけでなく、カミーラ船長、宿の亭主も全員直立不動だ。
「皆、座ってくれ。
OZの皆さん、バラン将軍、疲れている所申し訳ないが付き合ってもらえないか。」
ブルネリ公爵に連れて行かれたのは、寒天を作ってくれていた子供達が住んでいる区画の近くだった。
そこには、立派な囲いの中に、温室の様な建物が1棟、大型の物置サイズの窓の無い建物が3棟建っていた。
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