異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
上 下
188 / 761

188白い空間

しおりを挟む
魔獣の叫びと共に暗闇の中で捕らわれ続けた魔獣の姿が浮かび上がる。

「浩司、魔法を放つな。」
「分かってる。分かっているが・・・ちくしょう、止められない。」

浩司も、魔獣の叫びと捕らわれていた姿を見たのだろう。
放とうとしていた魔法を止めようとしているが、もう抑えるのも限界みたいだ。

「やってやる。ロックウォール。」

俺は残りの魔力を全て使い、魔獣を覆った岩のドームの前に、更に岩の壁を出現させた。
浩司から放たれた炎の塊:朱雀がぶつかり、抑える事が出来たが・・・壁が持たない。

《駄目だ、魔力が足らない。》

「水虎」「ウォーターアロー」

レオとジェニファーさんが朱雀に対し、水の魔法を放ち炎の威力を弱めるが岩に亀裂が走り、壁が崩れる。
もう無理なのかと諦めそうになった時、

「ロックウォール」
「「「シールド」」」

アルが後ろにもう一つ壁を作り出し、同時にガラ、エチゴさん、トムさんがシールドを張った。
全てのシールドを壊し、岩の壁を崩して朱雀が消えた。
ギリギリの所で、魔獣に当たるのを防ぐことが出来た。

「浩司殿、拓殿、大丈夫か。」

バラン将軍、ジークさんが俺達の所に駆け寄って来る。

「あの魔獣を助ける事になったが、これで良かったのか。」
「ありがとうございます、人間に対して良かったかは分かりません。
 でも、ここで彼を殺すのは間違っている。」

正直、間違ってはいるが、助けて本当に良かったのかは俺には分からない。
しかし、魔獣の叫びと、その姿を見てしまったら、それ以外の道を選ぶことは出来なかった。

崩れた壁の向こうに魔獣が無事でいるのを見て俺は意識を失った。
気が付くと、見覚えのある白い空間だった。

『おっ、拓ちゃんも気が付いたな。』

声の方を見ると浩司とグリムがいた。
そして、その後ろには先ほどまで戦っていた魔獣が居た。

『ここはグリムの空間だよな。何で浩司と魔獣が居るんだ。』

『浩司と魔獣は拓の意識に巻き込まれた様な感じじゃな。ただ、この魔獣は自分の意志でここに留まっておる。』

『皆はどうなった。』

『安心しろ、全員無事じゃ。もちろんオリバーもな。』

良かった。そうか、全員無事か・・・

『本当に、オリバーさんも無茶をするよな。
 それにしても、グリムってこんな感じの人だったんだな。
 グリム大魔導師の噂を聞いていたから、もっと凄い外見をイメージしてたよ。』

グリムはサンタの格好が合いそうな、恰幅の良い優しい感じだ。
確かに、貴族を叩き潰していた人には見えない。

皆が無事だと知り安心した所で、俺は美しい漆黒の魔獣の前に立った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
 病弱な僕は病院で息を引き取った  お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった  そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した  魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

処理中です...