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171ババロア

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馬車を引いていた馬は、夜遅くに町に戻ってきた。
次の日、町の治安部隊が調査を行ったところ、街道を外れた森の中で荷台を発見された。
しかし、積み荷は見つからなかった。
仮面の男は山賊に襲撃され消息不明。殺されたのではないかという噂が流れた。
森の中を調べたが、結局何も発見する事は出来なかった。

町は活気を取り戻したが、カミーラ船長は大変な状態になっていた。
新しい船を買うために用意していたお金だけでなく、自分や部下の持ち金を全て注ぎ込んで大型船を6隻入手した。
全ての金を合わせても大型船1隻分にもならないことを考えれば破格の条件だったろう。
今まで大型船で仕事をしていた人間は、カミーラ船長に高額の賃金を要求してきた。
自分達が居なければ船を扱えず困ると高を括っていたのだろう。
彼等は、他所からやって来て、白い壁の区画の人間と一緒に、この町で好き勝手やってきた人間だ。
そんな彼等を雇用する気は無い。

その代わり、子供達が住んでいた地区の元船員に声をかけ船員の確保を行った。
全員が感謝し、体調も回復していたので直ぐに働き始めた。
しかし、急激に大きくなり手が回りきらない。
おまけに、船が有っても一文なしだ。
新しい仲間も、カミーラ船長に出来る限り協力をしているが大変みたいだ。
食堂の一画で、昨日から一日中カミーラ船長と、船乗りが頭を抱えて問題を片づけている。
しばらくは大変だと思うが、少しづつ落ち着いていくだろう。
バラン将軍は何も言わないが、船員の確保など裏で動いていたみたいだ。

「それにしても大変そうですね。予定通り明日、出発するんですか。」

食事の時にバラン将軍に伺うと、

「全く、拓殿は誰の所為でこうなったのか分かっているのかな。」
「もちろん、あの地区に住んでいた人間の所為ですよ。」

バラン将軍が思いっきり溜息をつくと、周りの兵士達が大笑いをする。

『ここに居る、全員が分かっている様じゃな。』

きっと、そうなのだろう。
クリームのメンバーも気付いているみたいだが何も言ってこない。

「遺跡への出発は、予定通り明日、出発する。
 拓殿は、無茶をして寝坊しないように気をつけてくれよ。
 後、預かった手紙と荷物はブルネリ公爵に送っておいた。
 遺跡から帰って来る時には、この町に返事が返ってきているだろう。」

「ありがとうございます。後はエリックとサーシャの生活も楽になれば良いけど。」
「それは、大丈夫だ。それにカミーラ船長は、その辺も考えている。」

子供達にも出来る仕事を与え、収入を得られるように配慮しようとしていた。

「拓殿は、皆の顔を見たか。
 確かに忙しくて大変だが、良い顔をしている。
 今まで歯がゆい思いをしていたからな。これからの未来に期待しているんだろう。
 ブルネリ公爵も動いてくれる。もう、この町は大丈夫だ。」

そう言って、何時ものようにバラン将軍は俺を見て笑っていた。
その顔をみて、本当に終わったと思えた。
気が早いと思ったが、お祝いに食後のデザートにババロアを兵士の皆さんにも御馳走することにした。

「嫌だ、牛乳寒天より美味しいわ。
 これも、あの子達から買った寒天で作ったの?この間とは食感が違うのね。」
「こっちの方がコクがあって私好みだわ。」

ジェニファーさん、ロビンさんの言葉を聞いた兵士の皆さん。

「もしかして、バラン将軍とオリバー大隊長も牛乳寒天というのを食べたのですか。」

思わず、しまったと顔にだしてしまった女性を見て、食堂はブーイングの嵐。
バラン将軍が慌てて、言い繕っていたが焼け石に水。
遺跡調査から戻ってきたら、全員に酒をおごる約束をさせられていた。

色々有ったが明日は、やっと遺跡に旅立つ。
いざ出発、ロマンが俺を待っている・・・なんて
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