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1693日目
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我儘お坊ちゃんの家族がやってくる。
3人とも明らかに、他の人より体調が悪くなり、歩くのも覚束ない状態だ。
お付きの自衛団も一緒に居るが、病気が怖いのか一定の距離を保っている。
「死にそうなんだ。頼む、助けてくれ。金は幾らでも出す。」
昨日の事が有ってか、結界には近付かない。
そこに、フードを被りマスクを着けた165cm位の小柄な男が結界に近付いていく。
その男を見たバラン将軍は何か気付いたみたいで、男の前に立ち塞がる兵士を引かせ、そのまま結界の傍まで行くことを許した。
「ほう、これは酷いな。もしかすると、俺ならお前達を救えるかもしれない。」
「本当か、治してくれるなら、幾らでも払う。」
「そうか、なら治す報酬として、お前の所有する大型船をもらおうか。」
「ふざけるな。大型船だと、そんな話を受け入れられる訳が無いだろ。」
「じゃあ、死ぬんだな。俺は、これに似た病気を見たことがある。
全身に黄疸が出たときには、もう手遅れだぞ。」
我儘お坊ちゃんが酷い状態になっている。息をするのもやっとみたいだ。我儘お坊ちゃんの家族は悩んだ末
「分かった。病気が治るなら大型船を渡す。」
「先ずは、その子供だ。結界の近くまで一人で来い。」
親から離れて何とか結界の近くに来ると、男はドロッとした異臭を放つ液体が入っている瓶を渡す。
むせながら何とか飲み終えると、男が何か呪文を唱えると我儘お坊ちゃんの全身が光で覆われ痛みでのた打ち回り始めた。
1時間すると、我儘お坊ちゃんの体から黒い瘴気が抜け出していく
「これで大丈夫だろう。このまま結界の中に居れば、また病気になるぞ。外に出してやるがいい。」
直ぐに医者が来て我儘お坊ちゃんの体調を調べて問題が無いことを確認すると、閉鎖した区画の脇に小さい結界を用意し、そこで隔離し容態を見ることになった。
「治る事は分かったな。では、お前達を助ける前に大型船の権利書をもらおうか。
かなり進行しているみたいだが、これ以上悪化してしまっては私では治すことは出来なくなる。
時間が無いぞ。助かりたければ急ぐんだな。」
そして、男はバラン将軍を見ると
「お前は、この兵士たちのまとめ役か。」
「バランという。将軍だ。」
「お前の知り合いに、船を買いたいという人間は居れば紹介してもらいたいのだが。」
バラン将軍が部下に指示を出すと、直ぐにカミーラ船長を連れて戻ってきた。
我儘お坊ちゃんの親が大型船の権利書を持って戻ってくると直ぐに治療を行い、隔離された場所に移動させられた。
そして、バラン将軍が保証人となり、その場で大型船の権利をカミーラ船長に売った。
その後、大型船を持っている人達の体調が悪化し、全員大型船を手放すことで治療を受けた。
男が手に入れた船をカミーラ船長に売ろうとすると
「その話は有りがたいが、私にはもう金が無い。」
初めの1隻を購入するのに、手持ちの金を全て使ってしまった。
それでも、普通に大型船を買えるだけの金額に届いていなかったが・・・
暫くすると、カミーラ船長の部下の船員、家族が各々、自分達の財産を持って集まってきた。
「我々の金を、船の購入に使って下さい。」
しかし、これだけの金では小型船すら買う事は出来ない。
「皆の気持ちは嬉しいが、この金額では無理だ。
しかし、大型船が1隻手に入った。宜しく頼む。」
微笑むカミーラ船長に船員が残念そうに下を向いている。
カミーラ船長が男の所に戻ると
「すまなかった。他に売るなら出来る限り手を貸そう。」
「諦める前に俺に売って貰えないか聞かないのか?別に、その金で良いぞ。」
「本当に、良いのか。」
「どうせ、俺が持っていても価値の無いガラクタだ。
ゴミにしかならないのなら、お前達に売った方がマシだろう。」
「しかし、これだけの船なら、買い手に困らないだろう。」
「俺はこの町に長居する気は無い。
あのバラン将軍に推薦された人間なら良いだろう。
邪魔になるなら、お前が信用できる人間に売ればいい。」
男は集まっていた船員、家族達に向かって
「カミーラ船長と話し、お前達の金で船を売る事にした。
どうする。お前達はこの取引に応じるか?」
船員達が礼を言いながら持って来た金を差し出すと、男は布袋に入れていく。
その布袋は拡張バッグになっているのか、船員たちの金が幾らでも入る。
並んでいる船員たちの中には女性も居て、その女性が大切そうなペンダントを取り出すと
「そのペンダントは・・・」
カミーラ船長が何か言おうとするのを止め、男に渡す。男は、そのペンダントを少し眺めると
「随分と大切な物の様に見えるが、このペンダントは何だ。」
「夫の形見です。私に出せる物はそれしか有りませんので。」
「こんな感情の入った物を受け取れば不運を招く。迷惑だ。持って帰ってもらおうか。」
そう言って、ペンダントを女性に返していた。
最後にバラン将軍や兵士の人達が手持ちの金を男に渡していく。
「お前達には関係ない話だが、何故金を出している。」
「僅かでしかないが、礼と思い受け取ってもらいたい。」
「そうか、その気持ちを受けよう。」
残りの大型船の権利がカミーラ船長に譲渡された。
3人とも明らかに、他の人より体調が悪くなり、歩くのも覚束ない状態だ。
お付きの自衛団も一緒に居るが、病気が怖いのか一定の距離を保っている。
「死にそうなんだ。頼む、助けてくれ。金は幾らでも出す。」
昨日の事が有ってか、結界には近付かない。
そこに、フードを被りマスクを着けた165cm位の小柄な男が結界に近付いていく。
その男を見たバラン将軍は何か気付いたみたいで、男の前に立ち塞がる兵士を引かせ、そのまま結界の傍まで行くことを許した。
「ほう、これは酷いな。もしかすると、俺ならお前達を救えるかもしれない。」
「本当か、治してくれるなら、幾らでも払う。」
「そうか、なら治す報酬として、お前の所有する大型船をもらおうか。」
「ふざけるな。大型船だと、そんな話を受け入れられる訳が無いだろ。」
「じゃあ、死ぬんだな。俺は、これに似た病気を見たことがある。
全身に黄疸が出たときには、もう手遅れだぞ。」
我儘お坊ちゃんが酷い状態になっている。息をするのもやっとみたいだ。我儘お坊ちゃんの家族は悩んだ末
「分かった。病気が治るなら大型船を渡す。」
「先ずは、その子供だ。結界の近くまで一人で来い。」
親から離れて何とか結界の近くに来ると、男はドロッとした異臭を放つ液体が入っている瓶を渡す。
むせながら何とか飲み終えると、男が何か呪文を唱えると我儘お坊ちゃんの全身が光で覆われ痛みでのた打ち回り始めた。
1時間すると、我儘お坊ちゃんの体から黒い瘴気が抜け出していく
「これで大丈夫だろう。このまま結界の中に居れば、また病気になるぞ。外に出してやるがいい。」
直ぐに医者が来て我儘お坊ちゃんの体調を調べて問題が無いことを確認すると、閉鎖した区画の脇に小さい結界を用意し、そこで隔離し容態を見ることになった。
「治る事は分かったな。では、お前達を助ける前に大型船の権利書をもらおうか。
かなり進行しているみたいだが、これ以上悪化してしまっては私では治すことは出来なくなる。
時間が無いぞ。助かりたければ急ぐんだな。」
そして、男はバラン将軍を見ると
「お前は、この兵士たちのまとめ役か。」
「バランという。将軍だ。」
「お前の知り合いに、船を買いたいという人間は居れば紹介してもらいたいのだが。」
バラン将軍が部下に指示を出すと、直ぐにカミーラ船長を連れて戻ってきた。
我儘お坊ちゃんの親が大型船の権利書を持って戻ってくると直ぐに治療を行い、隔離された場所に移動させられた。
そして、バラン将軍が保証人となり、その場で大型船の権利をカミーラ船長に売った。
その後、大型船を持っている人達の体調が悪化し、全員大型船を手放すことで治療を受けた。
男が手に入れた船をカミーラ船長に売ろうとすると
「その話は有りがたいが、私にはもう金が無い。」
初めの1隻を購入するのに、手持ちの金を全て使ってしまった。
それでも、普通に大型船を買えるだけの金額に届いていなかったが・・・
暫くすると、カミーラ船長の部下の船員、家族が各々、自分達の財産を持って集まってきた。
「我々の金を、船の購入に使って下さい。」
しかし、これだけの金では小型船すら買う事は出来ない。
「皆の気持ちは嬉しいが、この金額では無理だ。
しかし、大型船が1隻手に入った。宜しく頼む。」
微笑むカミーラ船長に船員が残念そうに下を向いている。
カミーラ船長が男の所に戻ると
「すまなかった。他に売るなら出来る限り手を貸そう。」
「諦める前に俺に売って貰えないか聞かないのか?別に、その金で良いぞ。」
「本当に、良いのか。」
「どうせ、俺が持っていても価値の無いガラクタだ。
ゴミにしかならないのなら、お前達に売った方がマシだろう。」
「しかし、これだけの船なら、買い手に困らないだろう。」
「俺はこの町に長居する気は無い。
あのバラン将軍に推薦された人間なら良いだろう。
邪魔になるなら、お前が信用できる人間に売ればいい。」
男は集まっていた船員、家族達に向かって
「カミーラ船長と話し、お前達の金で船を売る事にした。
どうする。お前達はこの取引に応じるか?」
船員達が礼を言いながら持って来た金を差し出すと、男は布袋に入れていく。
その布袋は拡張バッグになっているのか、船員たちの金が幾らでも入る。
並んでいる船員たちの中には女性も居て、その女性が大切そうなペンダントを取り出すと
「そのペンダントは・・・」
カミーラ船長が何か言おうとするのを止め、男に渡す。男は、そのペンダントを少し眺めると
「随分と大切な物の様に見えるが、このペンダントは何だ。」
「夫の形見です。私に出せる物はそれしか有りませんので。」
「こんな感情の入った物を受け取れば不運を招く。迷惑だ。持って帰ってもらおうか。」
そう言って、ペンダントを女性に返していた。
最後にバラン将軍や兵士の人達が手持ちの金を男に渡していく。
「お前達には関係ない話だが、何故金を出している。」
「僅かでしかないが、礼と思い受け取ってもらいたい。」
「そうか、その気持ちを受けよう。」
残りの大型船の権利がカミーラ船長に譲渡された。
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