上 下
168 / 744

168疫病

しおりを挟む
港町は朝から慌ただしい空気に包まれていた。
白い壁の区画では体調を崩す人が続出した。特に地区の中心の方が酷く発熱、腹痛、嘔吐・・・
この区画には区画専任の医者も居るが、本人も体調を崩している。

「この区画で疫病が発生した可能性がある。隔離するので誰も外に出ないように。」

区画全体を結界を張り、完全に隔離することになった。
周辺を冒険者、バラン将軍の兵士たちも囲み、結界に近付かないようにしている。
我儘お坊ちゃんの両親が結界を張った魔道師に文句を言いに近づこうとするが、水の塊が父親を吹っ飛ばす。
結界と言って危険な細菌等や濁った気を封じ込める程度で、攻撃を防ぐほど強くはない。

「貴様、誰に向かって魔法を放ったか分かっているのか。」
「誰であろうと関係ありません。次は、命の保証はしません。」

ジェニファーさんが言い放つ

「このヤロー」

お付きの自衛団の1人が剣を抜いて掛かってこようとするが、火の魔法の攻撃を受けて全身炎に包まれ吹っ飛ばされた。
周りの人間が騒ぎ始め何人かが剣を抜いて向かってくると

「炎よ槍と化せ、ファイヤーランス。」

大量のファイヤーランスを放ち、全員を火達磨にする。

「先ほど、命の保証はしないって忠告を受けたのが聞えなかったの。
 今のは、そこの子供が使った遊び程度の火魔法よ。
 邪魔だから、ゴミを退かしておいてもらえるかしら。」

ロビンさんはそう言うが、我儘お坊ちゃんが放った魔法とは火力が桁違いだ。
何時もと同じ微笑みで分かりずらいが、昨日の事に腹を立てていたのだろう。敵に回したくないタイプだな。
更に、向かって来なかったが剣を抜いた男達に雷と風の刃が襲う。

「俺達は、ギルドから誰もここから出さないように依頼を受けた。
 もし、話しても分からない奴がいる場合は殺してでも阻止しろと言われている。
 どうする、かかってくるなら次は無い。」

ジークさんとニコラスさんが彼等に剣を向けると、騒いでいた人達も完全に黙ってしまった。
さすがに格の違いを分かったのだろう。怪我を負った自衛団を連れて戻っていった。

他の出口でも同じ様な状態になっていたが、全員怪我をして家に戻ったみたいだ。
この区画専任の医者が出てきて状況を説明するが、原因は分からないらしい。
毒の可能性は無く、病原菌などを発見する事も出来なかった。
彼の知らない病気との事だ。
他の医者が幾つか質問をしているが当てはまる病気は無く、一応考えられる薬を渡すことにした。


区画内の人々は更に症状がが悪化し、2日目には医者も寝込んでしまったみたいだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

無敵の力で異世界無双~ただし全裸~

みなみ
ファンタジー
下半身を露出したまま風呂で溺死した葉山宗一は、神様見習い少女シエルの手によって異世界ルナティカルへと転生したが、宗一にはなにやら不思議な力が備わってしまい……。異世界の常識やいざこざを全裸パワーでぶち破っていく異世界転生コメディー!

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

処理中です...