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162港町

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港町に近づくと、向こうから兵士が近づいて来る。

「大隊長、OZの皆さん、クリームの皆さん、お疲れ様です。」

「「「大隊長?」」」

オリバーさんが俺達から見られて、照れくさそうに

「いや、部隊の中で年上だというだけですよ。」

「ここから船着き場へは自分が案内させて頂きます。」

町は、白い壁にオレンジ色の屋根で統一された家が並び、まるで写真で見た地中海の風景みたいだ。
しかし、気分が悪い。
馬車に乗るレオとアルを見る目つきが酷い。ここの獣人に対する差別は最悪の様だ。
わざと聞えるような嘲笑する言葉。

『何じゃ、この町は。本当に屑ばかりじゃの。』

闇魔力で魔力を隠しながら足元にシールドを張って転ばしたりしていた。

「拓殿、直ぐにこの区画を出ますので辛抱して下さい。」

オリバー隊長には気付かれてしまったみたいだ。いや、OZもクリームのメンバー全員に気付いたか。
分かっていないのは、案内をしてくれる兵士だけ。

『ほう、拓の魔力に気付くとは、さすがAランクじゃな。
 しかし、腕の1本や2本切り落としたらどうじゃ。
 この程度の考えしか出来ない馬鹿なら問題ないぞ。』

さすが、大魔道師グリム。この程度で腕を切り落としていたら人間全滅だよ。
思わす、浩司と顔を合わせて溜息を吐いてしまった
直ぐに白い壁の街並みが途切れ、大通りを渡ると獣人も見かけるようになった。

「あの区画は非常に差別意識が高い人間が住んでいるんです。
 ただ、港に出るにはあそこを通るしかなく、申し訳ありません。」

「それにしても、区画間の道幅が広く取られているんですね。」

「それは、区画毎に隔離出来るようにの計らいだそうです。
 疫病が発生した時、発生した区画を隔離し広まるのを抑えるそうです。
 この町は港町ですので、国の外から新しい病原体が持ち込まれる可能性がありますので。」

しばらく進むと、港に出た。かなり大きな船も並んでいる。

「あの辺の、大型船が先ほどの地区に住んでいる奴らの船です。」

大型船が全部で5槽。なるほど、金儲けだけは優秀みたいだ。
中心になっている人間が5人居て、それぞれ1層づつ所有しているらしい。
そこで働く他所から来た船乗りが、元々住んでいた人達を見下し町の雰囲気を悪くしている。
しかし、検挙するほどの問題を起こしていない。
その船の方には近寄らず、馬車は港沿いの道を進む。先ほどの大型船以外は中小規模の船しかない。

「あの船、凄いな。」

思わず、1隻の中型船を指さしてしまった。

「どの船だよ。もしかして、あの古いのか。そうは見えないな。」

浩司が馬車から身を乗り出して、俺が指さした船を見ていた。
その船から奇麗なオーラが見える。きっと、大切に扱ってきたのだろう。
どうせ船に乗るなら、こんな風に扱う船乗りの船に乗ってみたい。
馬車は、そのまま俺が指した船に向かって進んでいく。

「拓殿が気に入ってくれて良かったです。今回は、この船で遺跡に向かいます。」

馬車が着くと、直ぐにバラン将軍がやってきた。

「皆、良く来たな。オリバーもご苦労だった。出発は予定通り5日後だ。
 宿を取ってあるから少し休むといい。船長には後で紹介しよう。」
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