異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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140魔力暴走

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本番当日、前回と同様に俺達は守衛所の上から光の灯っていない庭を眺めている。
食べ歩きをしようと一度外に出てみたが、余りの人混みに諦めてしまった。
点灯まで時間が有るというのに門の前は更に恐ろしい程の人が集まっている。
オリバーさんが言った通り、これでは見るのも大変だ。

「皆さん、屋台の食べ物を色々と買ってきたので、良ければどうぞ。」

そんな俺達にバラン将軍の兵士の方々が、気を使って色々と差し入れをしてくれる。
全員、戻る時に笑いながら俺の頭を軽く叩いていく。
これって、完全に子供扱いされているよな。
見た目はこんなだけど、内側から滲み出る年上の貫禄を感じないのだろうか。
色々な食べ物を楽しんでいると、点灯式が始まる時間になっていた。
庭に設置されたステージに明かりが灯りブルネリ公爵とサリナ姫が出てくると、歓声と拍手に包まれた。

『この気配は何じゃ。』

入場者のオーラは確認していたのに、庭の中に急に嫌な気配が現れた。それも5人。
警備兵は気付いていない。

「敵がいる。力を貸して。」

全員をシールドを覆うとOZとアークのメンバーが捕まえに動く。

『更に気配が増えたぞ、いったいどうなっておるんじゃ。』

新たに増えた5人にシールドを展開していく。
シールドに気付き、下はざわついている。そんな中で更に5人
いや、2人は気を失ったのか魔力が感じられなくなった。

「一体、何なんだよ。これ以上、増えてくれるなよ。」

すると、急に捕まえた奴らの魔力が膨れ上がっていく。

『気を付けるんじゃ、奴等、魔力を暴走させるつもりじゃ。』

魔力を暴走させると、周囲一帯を巻き込むエネルギーの爆発が起きる。もちろん、暴走させた本人は消し済みの様になって死ぬ。
ふざけるな、自爆テロかよ。ちくちょう、人数が多い。
観客も、シールドで囲われているとはいえ、異常な魔力の高まりに外へと逃げ始めた。
アークのメンバーが初めの5人を取り押さえたが、市民の混乱で身動きが取れなくなってしまった。


******(クリーム)

一体どうなっていやがる。
水晶の玉の護衛を行った伝手で、イルミネーション初日のチケットを手に入れたと言うのに。
ギリス教の報復か。無駄な事をしやがって。

「私達はどうするのよ。」
「自爆する前に奴等を潰すしかないだろ。やるぞ。」

一体、何人紛れ込んでいるんだ。とにかく、市民が邪魔だ。

「慌てるな。シールドで抑え込んでいる。あわてずに非難するんだ。」

大声で叫んだが、混乱はますます酷くなるばかりだった。


******(バラン将軍)

これは・・・拓殿がシールドを張っているのか。
しかし、このシールドでは魔力暴走を抑え込むのは無理だ。

「公爵と姫を守れ。賊を殲滅しろ。」

キチガイ共め。死ぬなら1人で死んでいけ。勝手な真似をさせるか。

「犠牲者を出させるな。」

市民が邪魔で賊に魔法を放つ事も、近寄る事が出来ない。これでは、

「駄目だ、間に合わない。」

俺達は魔力の暴走を止める事が出来ず、シールドの中で賊の体が輝き体内の魔力が一気に外に放出された。


******(……)

「あれだけの魔力暴走を起こしておいて、本当に使えない男。」

逃げ惑う市民に交じり、女が魔力の柱を冷やかに見て呟き
人混みの中に消えて行った。
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