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139粗品

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「そっ、それにしても2人はチョコレートを知っていたのね。」

涙を拭きながら、何とか笑いを堪えてサリナ姫が話しかけてくる。

「たまたま知っていました。それで、これは何処に行けば手に入りますか。」
「最近輸入される様になったから、市場に出回るのは先になると思う。
 でも、拓ちゃんが欲しがると思って出来る限り入手してあるから安心して。このブローチのお礼よ。」

以前、バラン将軍に預けた花のブローチが胸の所で光っていた。

「そんな玩具がチョコレートに変わるなんて、サリナお姉さんって男前。」
「私は女よ。」

姫チョップが俺の頭に炸裂する。これ癖になっているよな。俺がバカになったらサリナ姫の所為だと思う。
続けて何か言いたげそうにしていたが、変な溜息だけをつかれてしまった。

「良ければ、お代わりを如何ですか。」

40歳位の兵士の方がお代わりを持って来てくれた。確かオリバーさんだっけ。
何時もニコニコして何かと気を使ってくれる。

「ありがとうございます。警護だけでなく、屋台作りに売り子と色々と大変なのに嬉しそうですね。」
「当り前ですよ。このイルミネーションに自分がかかわれたのですから。
 今回の護衛任務は、全員が参加したがり凄い競争率でした。
 本当に運が良かったですよ。」
「人気が有るとはいえ、それは言い過ぎじゃないですか。」
「今や、王国はイルミネーションの話題ばかりで、見るだけでも大変な状態です。
 拓殿も本番になれば、きっと驚きますよ。」

人気が有るのは分かっているが、少し盛り過ぎな気がする。
しばらくして、ブルネリ公爵が音楽を止めると自分に注目するよう手を叩く。

「皆の者。今宵は、全員にOZからプレゼントが有る。
 これから配るので、1人づつ受け取とって欲しい
 今この場に居ない者には後日渡すから心配しない様に。」

そう言って、屋敷の人に一言づつ声を掛けながら、ガラスのブローチを渡して行く。
ブルネリ邸の人には男女関係なく花のデザインにした。
バラン将軍の部下は、全員剣のブローチだ。
配られると、皆さんが俺達の所に来て礼を言ってくれた。
OZやアークのメンバーには、それぞれの武器に合わせたブローチを既に渡してあったが、全員に行きわたるまで着けるのを待ってもらっていた。
バラン将軍がやってくると、真面目な顔で頭を下げてきた。

「拓殿、部下の分までありがとうございます。」

「バラン将軍、礼ならブルネリさんに
 今回も、小金を稼ごうとブローチを準備していたのですが
 前回、販売後に色々と問題が発生したらしく中止と公言してしまったそうなんですよ。
 それで、ブルネリさんが皆に配る為に買ってくれたんです。」
「それにしては、ずいぶん綺麗に出来上がっている様に見えるが。」
「流石に子供向けのままという訳にはいかないので、形成し直しました。
 バラン将軍やサリナお姉さんに渡したのより劣りますが祭りの粗品という事で。」

何だか、変な溜息をつかれたが、皆喜んでいるので全て良しとしておこう。
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