異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

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130蕎麦打ち

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その日の夜は、心配して見に来てくれた村の人達も一緒に大バーベキュー大会。
バラン将軍達が用意した事にして、手持ちの小麦粉を取り出した。
そこで、俺とレオは密かに練習していた蕎麦打ちを披露
村の人間が全員注目している中、作るのは二八蕎麦。

蕎麦粉と小麦粉を混ぜて水を加えて練り込み、良い感じに纏まった所で塊を伸ばしていく。
伸ばした生地を折り畳んで包丁を当てるが、蕎麦の太さが若干バラバラなのは愛嬌という事にしておこう。
茹でた蕎麦を冷水で絞めて皿に盛りつける。
浩司が天つゆに浸けてすするのを真似て、皆が食べ始めると良い反応が返ってきた。
喜んでる、喜んでる。

「拓ちゃん、蕎麦になってるよ。やっぱり蕎麦って良いよな。
 今年は本当の年越し蕎麦を食べれるな。
 今度、俺にも蕎麦打ちをさせてくれよ。」

浩司も久しぶりの蕎麦に喜んでくれている。成功して良かった。
アイテムボックスの中にある、ボロボロやビチャビチャになった蕎麦粉をこさえた甲斐があった。
受けが良かったので、次は村の人に作り方を説明しながら作っていく。
作り方を教えた所で、実際に試してもらう。
バーベキュー大会が、料理教室になってしまったが皆も喜んでいるので良いだろう。
失敗してビチャビチャになった蕎麦粉はガレットにして楽しんでもらった。

最後にこの村で取れる材料で、つゆを作ってみた。
さすがに、醤油やみりんは入手できないからな。

「酒を飲んでいる人も居るから、ついでに何か作るか。」

飲んでいるテーブルに塩を振った揚げた蕎麦を置いてみるとあっという間に無くなってしまった。
仕方がないので、蕎麦の他に、天ぷら揚げていると、少し離れた所から村の人が興味深そうに見ている。

「良かったら、作るのを手伝ってもらっても良いですか。」

村の人が積極的に参加してくるので、何度か作ってもらい後は任せて皆と一緒に食事を楽しむことにした。

「エチゴさん、ラグテルの町でも蕎麦を栽培していないですかね。」
「それは聞いた事がありません。痩せた土地で小麦粉の代わりに作っていますので、わざわざ作る人は居ませんね。」

そうだよな。栽培していたら既に見つけていたよな。
また、買いにくるしかないか。

「皆さん、少し良いだろうか。」

バラン将軍と村長がやってきた。

「この度は魔獣の退治、負傷者の治療、そして、こんなに素晴らしい料理まで教えて頂き本当にありがとうございました。」

村長が他にも何か言いたそうだ。少し不安そうにしているのを感じる。
逆にバラン将軍は、嬉しそうだ。

「あの、何故皆さんはここまでしてくれるのですか?この料理なんて、簡単に教えて良い物ではないです。」
「村長は、不安なんだ。料理にしろ、簡単に技術を教えてくれるなんて普通はあり得ないからな。」

バラン将軍の言葉に、エチゴさんが俺の肩に手を置いて笑いかける。
そんな事まで考えていなかったが、教えた俺が何か話さないといけないのだろう。

「村長、皆さんに教えた料理は基本だけです。
 どんな料理も作り方を知っているだけでは駄目で熟練の技術が必要になります。
 正直、俺も数日練習しただけですので料理と呼べる様になるのは、この先ですよ。
 微妙にずれている麺の太さだけでなく
 材料、作り方、付け合わせ、改善する事なんて幾らでもあります。
 しかし、1人で考えつく事なんてたかが知れています。
 俺は、どんなに美味しくても10人居れば10人なりの工夫があると思っています。
 多くの人が考え、独自の工夫を凝らす、そうやって作られる料理は文化です。
 そうして地域に根を張れば、洗練され新たに進化していくと思っています。
 そこに自分が想像していない驚きと出会いが有ると思うとワクワクしませんか。」

途中から思わず、調子にのって力説してしまった。
何だか変な空気が・・・

「まぁ、料理を発展させてくれる事を期待して教えたと言う事です。」

村長やレオ、アルが俺の言葉に凄く頷いてくれているのに
他の奴等はあっけに取られ、バラン将軍はいつも通り笑っている。

「拓殿のお気持ちは十分に分かりました。きっと驚いて頂ける出会いを届けさせてもらいます。」

村長が俺の手を固く握るのを、レオとアルが頷いて見ている。
他の奴等の引いている姿なんて、俺の目には映って無いぞ。
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